佐川急便が週休3日制を導入
最近、佐川急便が週休3日制を導入するというニュースがありました。ヤマト運輸も検討をしているそうです。
物流業界大手に関わらず、昨今の人材不足を背景に、多くの業界で待遇改善や多様な働き方を採用する傾向が見られます。
週休3日制で本当に人材不足は解消されるのか
週休3日制といっても、いくつかのパターンがあります。例えば、今まで1日8時間×5日=週40時間だったものを、変形労働時間制という仕組みを導入し、1日10時間×4日=週40時間で給料はそのまま変わらず、というパターンです。
では、このような週休3日制を導入することによって、本当に企業の人材不足は解消するのでしょうか。
私は、人材不足解決の一助になると考えています。なぜなら、今や働き手の価値観は多様化しており、それに対応できる企業がますます選ばれる時代になってきているからです。
週休3日制は勿論それ自体インパクトはありますが、週休3日制そのものよりもむしろ「働き手に配慮ある会社」「働きやすい会社」というイメージを持ってもらえることの方が採用場面では有利に働きます。
また、人材不足の中で、既存従業員の離職は何としても防ぎたいところです。お金よりも時間を大切にしたい、子育てや介護の合間で働きたい、仕事だけでなく地域活動にも積極的に参加したい、等の多種多様なニーズに応えることで離職率の低下につながります。
週休3日制を導入する企業側のメリット
企業側のメリットとしては、まずは、さきほど述べたように採用場面で有利であるという点です。「働き手に配慮ある会社」というイメージは、他社との大きな差別化になります。
次に、生産性の向上という効果が得られることです。週5日で行っていた業務を週4日で行わなければならない、となると業務の効率化を図る必要が出てきます。
無駄な業務はないか、不必要な会議はないか、もっと効率的な配送ルートはないか、残業前提の仕事量になっていないか、等見直すことが必要になります。その改善が生産性の向上に結び付きます。
さらにもうひと工夫
週休3日制を導入するのであれば、さらに、副業容認についても検討してみてはいかがでしょうか。特に、週休3日にして労働時間が少なくなった結果、その分給料が減るような従業員について、副業を認めるという方法です。
本人にとっては収入アップになりますし、会社は本人の収入安定化により会社への定着率アップを図ることができます。また、副業を通して得た知識や技術等を本業で活用してもらうことも可能となります。
ひとつの会社に縛られるのは嫌だ、という方もいるかもしれません。そのようニーズに応えるひとつの方法だといえます。
日本において、副業は多くの企業では就業規則等で禁止されてきたという背景があります。しかし、政府の「働き方改革」の議論等の中身を見てみると副業の促進にも力を入れているのが分かります。
週休3日制にせよ、副業容認にせよ、クリアすべき課題は多くあると思いますが、「働きやすい会社(=人が集まり定着する会社)」の実現のためには一考に値するものといえるでしょう。
(三谷 文夫/社会保険労務士)