勉強とゲームは似ている?
「勉強なんて、大嫌い!」こういう子供はたくさんいます。
いや、そういう子供だらけ、と言っていい状況かもしれませんね。
では、そんな子供たちを勉強好きに変えるには、どうしたら良いのか。
今日は、そんな話を「理系塾長」の視点からお話させて頂きます。
不思議な事に、勉強嫌いの子供たちも「ゲーム」はけっこう好きだったりします。
けど、本質的に、「勉強」も「ゲーム」も、数々のハードルをクリアし、自己のレベルアップを果たし、最終的に「ラスボス」を倒す(「勉強」ではさしずめ「目標校に合格する」って事ですね)までみんな一緒。
よく似ています。
では、ゲームは喜んでやるのに、勉強は敬遠するその理由は何なのでしょう。
この理由を知るには、それこそ、生命進化の初期に立ち戻らなければなりません。(え?大げさすぎるって?実は、ここからが理系塾長の本領発揮なのです。)
目標を達成するためにはモチベーションの維持が必要に
ある「目標」に対して「達成」した時、通常、動物系の生物は「快感」を得ることになります。
たとえば「餌を取る」という目標を達成した時、その生物は強い「快感」を感じる、と言えばお分かりになるでしょう。
逆に、この「快感」を感じない生物は、進化上、絶滅していたはずなのです。
もちろん人間も例外ではありません。
しかし、人間は、大脳があまりに発達してしまったため、「目標」と「目標達成」の間が複雑化し、また時間的距離も大きくなりました。
たとえば、「食物」を得るために罠を作ったり、また、農耕をして半年後に収穫したりとか、というように。
このため、「モチベーションの維持」という事が大切になりました。
しかし、「モチベーションの維持」は、この発達した人間の大脳をもってしてもそうたやすいものではありません。
たとえば、ある目標のために、10年がんばれば結果が出せる、とわかっていても「モチベーション」を維持するのは並大抵のことではありません。
大きな目標の細分化と小さな目標達成にも面白味を持たせることが重要
では、どうすればよいのか。
進化の初期に戻るのです。
つまり、「目標」と「目標達成」をうんと近づけるということです。
すると「快感」がすぐに得られるようになります。
具体的には、大きな目標を細分化して、小さな、簡単な目標に再設定するのです。(スモールステップ化と言います。)
ギリギリ飛び越えられる小さなハードルを飛び続けるイメージです。
ハードルを飛び越えるたびに、「やったぁ!」という「快感」を感じ続けることができるので、一種の中毒のようになるのです。
また、ハードルを飛び越える行為自体に面白みを持たせる事も重要です。
毎回同じ反応だと飽きてしまうからです。
この、①ハードルのスモールステップ化、と②ハードル自体の工夫が、初期の「モチベーションの維持」には欠かせないのです。
そしてこれこそ今隆盛を極める「ゲーム」がやっている事そのものなのです。
最初は弱い「雑魚キャラ」を倒し、低いハードルを次々飛び越える。
その倒し方にもそれぞれ意味づけを行い、飽きないように面白みをもたせています。そうするうちに「快感」が連続的に発生し、「モチベーションエンジン」が回りだすのです。
そして自ら「快感」を求めてより高いハードルを希求するようになるのですね。
子供の勉強に活かすには?
「勉強」にこれを利用しない手はありません。
問題を生徒が解けるところまで細分化し、とにかく解かせて、褒めて、「快感」を感じさせ続けることです。
最近は、あらかじめスモールステップ化した問題集もたくさんありますし、「うん〇漢字ドリル」のように問題自体に趣向をこらした面白い問題集もでき始めています。
最初は親の方も大変ですが、いったん、「モチベーションエンジン」に火が付いたらしめたもの。
勝手に、ハードル越えの快感を求めるようになり、「今度は10番以内に入ってやる!」とか、「今度のテストは絶対にあいつを超えてやる!」みたいな事を言い出すようになってきます。
ハードル越えの成功体験を繰り返し、「達成感の快感」が恒常的に押し寄せるようになると、頭の中のもう一つの回路が強化されます。
「セルフエスティーム」、自己肯定感です。
「僕は、ダメ人間じゃない。やればできるんだ。」という感覚です。
この「セルフエスティームエンジン」が「モチベーションエンジン」ととともに回り始めると、お互い補完しあいながらすばらしい相乗効果を発揮して、その子供の将来を大きく切り開く原動力となって行くのです。
では、今日のお話はここまでにさせて頂きます。
(北川 実/理数専科塾塾長)