忖度(そんたく)の意味を理解
忖度(そんたく)は、「他人の気持を推しはかる」という意味ですが、最近の報道で、「手加減をする」とか「手心を加える」と言った悪いイメージが出来上がってしまいました。
本来は、優しい心遣いの事をさす、この忖度の意味を理解して人間関係やチームで仕事をする場合の行動について考えてみましょう。
3つの行ってはいけないこと
「相手の立場になって、考え、理解する事」も広い意味での忖度になりますが、過度な気遣いにより発生する、次の3つは決して行わないように肝に銘じて下さい。
(1)ルール違反をする:特に上下関係の中で確認をしないまま(又は、確認が出来ないまま)に、良かれと思って行ってしまいがちですが、ルール違反が発覚した場合には誰もかばってくれません。
(2)確認を怠る:相手の気持ちを気遣う事と不明瞭や理解できない言葉をそのままにする事とは違います。
それこそ、相手の立場や気持ち気遣って、相応しい言葉で確認を行いましょう。
(3)感情(気持ち)と起きた事実を一緒くたにする:相手の気持ちに寄り添いつつも、伝えるべきことはキチント伝える。その際は、環境(場所、雰囲気)や伝え方には、気を遣う事。
人間関係や仕事が上手く進む具体例
以下に具体例を示します。
これまでの経験や先人の教えから出来上がったもので、既に私たちが仕事をスムースに進めるために行ってきている事ですが、忙しかったり、ちょっとした感情の高ぶりなどで省いてしまいがちですので、出来る事から身に付けて行きましょう。
《クッション言葉の活用》
例1:「○○課長、少し時間を頂けますか?先日依頼された書類が出来ましたので確認をおねがいします。」
⇒良くない例:「課長、この前の書類が出来たので見て下さい」
例2:「せっかく誘っていただいたのに申し訳ありませんが、都合が悪く懇親会は欠席させていただきます」
⇒良くない例:「懇親会、出られません」
※注意:上司や目上の人に「なるほど・・・・・・」は、厳禁です!
《仲間の体調を気にする》
「人間は自分の疲労を過小評価する」と言われます。
又、与えられた仕事を最後までやり抜こうとして、ついつい無理をしがちになります。
疲労を客観的に見る事が出来るのは、チームの仲間ですので、朝礼などでは、仕事の進捗の確認などと同時に、仲間の体調、顔色を見て下さい。
《以心伝心では伝わらない》
「以心伝心」「阿吽の呼吸」の関係を作ろうとしないで下さい。
「以心伝心」「阿吽の呼吸」の関係は作るものではなく、性格や考え方が合って偶々出来るものです。
従って作る必要もありません。
それに代わって、「言うべき事は言う、聞くべき事は聞く」の関係を構築しましょう。
そのためには、「じっくり聞くは、聞き上手ではない」と言う言葉がありますが、話を聞いているだけでなく、相手の話にテンポ良く質問をしながら、相手が伝えたい事、求めている事を見つけて下さい。
《挨拶は、自分から》
「俺が先に出社したのだから、後から来た者から挨拶をすべき」と言う方が居られました。
当然ですが、職場では浮いてしまいます。
挨拶には順番はありません。
誰が先にしても構いませんので、大きい声と笑顔で仲間ひとり一人に挨拶をしましょう。
そして、一緒に仕事をしているチームメンバーだけでなく、同じ会社の仲間、同じビルで働く仲間へと挨拶の輪を広げて下さい。
(島本 長範/ヒューマンエラー防止コンサルタント)