働き盛りの20~40代のスポーツ実施率は3割程度と低水準
「今年こそ定期的に運動しよう」などと決意したものの、日々の仕事を言い訳に実行できない働き盛り世代。あなたにも心当たりはありませんか?
スポーツ庁健康スポーツ課の調べによると、特に20~40代のスポーツ実施率は3割程度ということで、日常的な運動をしている人の割合は少ないことがあらためてわかりました。運動しない理由は「仕事や家事が忙しい」が32.8%と最も多く、この世代はスポーツ、運動のための時間の確保が難しいということがうかがえます。
文科省の調べでも、男女ともに、運動(スポーツ)をするのは中学生の時期がピークで、あとは下降線。
再び、何か運動を始めるのは、男性は定年後、女性は子育てがひと段落ついたあたりの年齢からとなっています。
運動不足による身体の劣化は加齢での病気を招くことに
(文部科学省PDFより)
運動しない理由の3割が、「仕事や家事が忙しい」ということでした。
1日は24時間。
一般的な数値で考えると、そのうちの8時間、通勤なども入れると一日の半分以上は仕事関連で費やしています。
残りは睡眠や食事、生活のための時間。
となると、確かに「運動する時間」を入れ込む余地がないのもうなずけます。
個人の努力でどうにかなる範囲を超えていると言っても過言ではありません。
働き盛り世代は、まだ身体は若いので多少の無理はききます。しかし、ストレスや運動不足による身体の劣化は徐々に蓄積され、40代後半から50代で「病気」という形で現れてきます。また、病気までは行かなくても、年齢に関わらず「不調」という状況に悩まされる人が多いのです。
仕事で忙しいのなら仕事場で改善することが必要
運動、スポーツの意義については、体力の維持・向上の他にもあります。職場や仕事前、後で運動をすることでストレスの軽減や鬱病の予防、職場でのコミュニケーションの促進という効果も期待できます。
特に職場で複数人で運動を行う場合、一人で取り組むよりも長続きしやすいと言えそうです。従業員の健康は職場の生産性の向上にもつながることから、会社にとってもメリットがあります。
しかし、現実的には休憩中は業務時間外のため参加を義務付けられません。
そこで、社員の中から講師役や呼びかけ役を育成して任意参加を促したり、工場の稼働を一時停止して勤務時間内に実施したりと、企業側からの工夫が必要となります。
大手企業では、さまざまな「イベント」や「ごほうび」で支援する動きも始まっています。
例えば、東京都は昨年度、都内147社にインストラクターを派遣。肩凝り、むくみなどを軽減するプログラムを実施しました。
また、花王は、健康づくりイベントに参加することでマイルがたまり、健康グッズと交換できるといったことや、ミズノは、通勤時にひと駅手前で降りて歩くと「ウォーキング手当」がもらえるなどの支援策を行っています。
もちろん会社側だけに頼るのでなく、各自が自分の身体のために、通勤中や昼休みなどの「すきま時間」を活用し、1駅分を歩いて通勤したり、エレベーターを使わず階段を利用したり、と手軽な運動に取り組んでもらえるといいですね。
また、休日はゴロゴロするだけでなく、思い切って仲間とアウトドアやスポーツにいそしむことも心身のリフレッシュになります。何か目標を立てて(山に登る、レースに出る、動画投稿するなど)そのためのトレーニングをするということを「サークル」として行うのも人間関係の向上につながります。ぜひ、会社、自分、そして仲間をまきこんでの「スポーツ活動」にチャレンジしてみてください。
(吉田 真理子/健康運動指導士、 フィットネスインストラクター)