前向きに終活に取り組むことが大切
「終活」という言葉が定着してきましたが、あなたは「終活」と聞いて、どのような行為を思い浮かべますか?一言で終活といっても、資産継承や遺言書の事から施設への入居などの生活スタイルの事、介護や終末期医療の事、お葬式やお墓の事、など多岐に渡ります。
もちろん死に向かって暗く考える必要はなく、「何をどう次の世代に引き継ぐか?」「最後まで自分らしく安心して暮らす」為にも前向きに終活に取り組む事が大切です
気力・体力・記憶力・判断力のあるうちに片付けを
昔と違い、1人の持ち物の量は格段に増えています。核家族化や独居高齢者の増加で、1人の方が亡くなった後に不要となる物も増えました。
大きな郊外のお宅に、子供たちが独立した後も、ご主人が亡くなった後も何十年も前から溜め込んだモノが使われることなく、家の中を埋め尽くしているお宅も少なくありません。
「もったいない」「思い出が…」と思いがちですが、どこかで誰かが片付けなければならないのです。そして、片付けてみると意外な発見があったり、探し物が見つかる事もあります
年を取るとなかなか出来なくなってしまうのが、お片付けです。足腰が弱る、やる気が出ない、毎日の身の回りの事で精一杯になります。ですから、気力・体力・記憶力、そして何より判断力のあるうちに、片づけに取り組む事が必要です
安心・安全に暮らすための片づけ
地震や火事などの防災面を考えても、棚の上置きのモノが落ちてくる危険があります。あるいは、床置きのモノにつまずいて転んでしまい、入院して要介護になってしまうということもよくあることなのです。家を安全で安心して暮らせる居場所とするためにも、早めのお片付けに取り組み、スッキリとした暮らしを手に入れましょう。
自分が亡くなった後で周囲が困る事とは?
自分が亡くなった後で一番困ってしまうことは、残された家族にとって大事なモノが見つからないということです。整理されていないことで、大事なモノが有るのか無いのかさえ分からないということもよくあることです。
貸金庫を借りていたり、へそくりなどのタンス預金があったり、大切な貴金属の鑑定書はあるのに指輪が無い、ということで探す羽目になることもあります。せっかく溜めた資産を、引継げずに捨ててしまったりする事の無いように、大事なモノを管理把握し、引継げるように伝える手段を残しておきましょう。
そして、何より残された人の負担になるのは、モノの量が多い事、です。時間的・経済的・精神的な負担になり、手に取ってもどうすれば良いか迷ってしまったまま何年も放置してしまい、空き家になるケースも少なくありません。自分たちで処理できず業者に頼んだが、法外な料金を取られ「全て捨てられた、持って行かれてしまった」等の被害もあります。
「捨てる」という判断を家族に委ねてしまうのではなく、自分の所有してきたモノに向き合い、思い出は心にしまい、モノと決別していく事も終活のお片付けでは必要になりますね。
毎日5分でも良いので少しずつ片づけていく
整理するということは棚に詰め込む事ではなく、不要なモノを取り除く事です。そうは言われても、「なかなか捨てられないのよね」と言いたくなりますね。
今まで何十年も溜め込んで捨てて来なかった方に、「捨てて」と言われても、そうそう上手くいかないのが現実です。人は習慣になった事をしてしまうので、今現在が「仕舞い込む習慣」であるのならば、これから「手離せるように溜め込まない習慣」に少しずつ変えて行くようにしていってはいかがでしょうか?
そして、出来れば毎日5分でも、一か所ずつでも片付けるようにしてください。例えば、引き出し一つ、棚一つ、机の上だけ、で良いので、少しずつ始めてみて下さい。棚の上や重いモノなどは、足を滑らせたり腰に負担になったりします。
お片付け中にケガをしては元も子もありません。押入れや納戸などの大掛かりな場所を行う際は、確認作業も含めて、家族などで一緒に行う方が良いかも知れませんね
ご家族は「捨てて」「こんなもの」とは言わずに、少しずつ一緒に手伝ってあげて下さいね。
大事なものを書き出してみる
「資産」の部分を引き継ぐ事が重要なのですが、意外に困るのがそれ以外のモノです。絵画や掛け軸の価値が不明だったり、貴重品や貴金属などの所在の有無、印鑑や通帳・有価証券類・タンス預金・土地の権利証などを探す事も少なくありません。家財道具や思い入れのあるものなども処分すべきかどうか判断に迷います。
また、何年も経ってから遺言書が見つかってしまうのも困りものです。片付けと同時に、大事なモノを自分自身でも忘れないためにも、エンディングノートや目録などに書き出してみる事で、頭の整理も進むのではないでしょうか?
今後はデジタル遺品と言われるネット上の資産や痕跡の事も考える必要が出てくるでしょう
お片付けを早めに始めましょう!
お片づけを早めにすることが、自分の歴史を振り返る良い時間にもなります。いつかやろう!と思っていた事を思い出した方もいらっしゃいます。
また、片付けたことで部屋がスッキリとして家族が同居する事になり、仲良くなったという方もいらっしゃいます。広過ぎた戸建てを売り、駅近で安心な暮らしになった、部屋が広くなり、人を呼べるようになり、性格も明るくなったなど、『いつかやらなければ』と気になっていた事が出来ると安心して暮らせるようになります。
モノは持つ人を映す鏡、と言いますね。最後まで自分らしく、安心した暮らしを送るためにも遺された人に負担にならないように、次世代に本当に大事なモノを引き継ぐためにも、元気なうちから、早めのお片付けに取り組まれてはいかがでしょうか?
(古川 めぐみ/)