テレワーク・デイとは
テレワーク・デイは、総務省、厚生労働省などが展開する、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした「働き方改革の実現へ向けた国民運動」です。
2017年から2020年までの毎年、開会式に相当する7月24日を「テレワーク・デイ」と位置づけ、テレワークが可能な企業において、朝の通勤電車や自家用車等を極力利用せず、始業~10時30分まで、テレワークの一斉実施またはトライアルをします。
実施の背景には、会期中の交通混雑を回避することに加え、オリンピック・パラリンピックを契機として全国的にテレワークの普及を進め、働き方改革を実現していくことがあります。
テレワークの意義と効果
テレワークとは、「ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のことをいい、自宅を就業場所として会社とパソコンや電話で連絡を取る「在宅勤務」、施設に依存せずパソコンや携帯電話を使っていつでもどこでも仕事が可能な「モバイルワーク」、勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用する「サテライトオフィス勤務」などの形態があります。
また、テレワークを導入することで、人材の確保や生産性の向上、ワーク・ライフ・バランスの実現、環境負荷軽減などの効果が期待されています。
テレワーク・デイは働き方改革につながるか?
テレワークは場所や時間にとらわれることなく働くことができるため、これまで育児や介護のために離職せざるを得なかった人たちにとっては仕事と家庭の両立の手段となり、また管理部門や研究・開発部門、営業の人たちの新しい働き方としても活用できます。
さらに企業にとっても、テレワークの導入は、社員や求職者に対して「多様な働き方に寛容な職場である」ことをアピールすることに繋がります。
つまり、テレワークは働く人にとってメリットがあるだけでなく、現在多くの企業で課題となっている「人材不足の解消」にも繋がる可能性が高い働き方と言えます。
今後オリンピックの盛り上がりに連動してテレワーク・デイという国民運動がさらに注目を浴びてくれば、より多くの企業の働き方改革につながる可能性は十分にあるでしょう。
しかし、一方で、テレワークの実施には、労働時間、進捗状況、情報セキュリティなどの「管理」、賃金や評価などの「処遇」、機器や実施説明等の「コスト」、さらに「コミュニケーション」などの問題や課題を挙げている企業が多くあるのも現実です。
テレワーク・デイが多くの企業の働き方改革実現の契機になるためには、テレワークが働く人や企業にとって「どんな効果やメリットがあるのか」を知る機会になるだけにとどまらず、「導入により発生が予想される問題・課題にどのように対応すればいいか?」「どういう手順で実施していけばいいか?」という実施の足かせとなる不安をどれだけ解消していけるかが重要なカギとなります。
(岸本 貴史/人事労務コンサルタント、社会保険労務士)