健康食品などを摂取することで健康被害も
特定保健用食品(トクホ)や健康食品などを日頃からの健康維持の一環として摂取している方は非常に多いと思います。手軽に不足した栄養素を補える手段として、一度は口にしたことがある方も多いでしょう。
しかし最近では「健康のために」と思って摂取している健康食品や特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品などを摂取することが原因で起こる健康トラブルがあとを絶ちません。
製造過程や販売方法に問題があることがほとんどですが、今回国民生活センターが呼びかけた注意によると、健康食品系の商品を摂取した場合、「体質によって重篤な肝障害を起こす場合がある」という非常にショッキングな内容でした。
国民生活センターでは「発症はまれだが、倦怠(けんたい)感や発熱、発疹などの症状が続く人はすぐに摂取をやめ、医療機関を受診してほしい」と発表しています。内容を要約すると、トクホや健康食品を使用することで2014年から9件のアレルギー性薬物性肝障害が発症したという事例が報告されました。
カラダに良いはずの健康食品・サプリメントでどうして健康被害が?
多くの方は「体に良いはずの健康食品やサプリメントを摂取することでどうして具合が悪くなるのか?」「健康食品で副作用?サプリメントでそんなことが本当に?」このように考えがちだと思います。
しかし、実は健康食品やサプリメント、ハーブなどと様々な名称で販売されている「健康的なイメージで販売されている食品」は医薬品に比べると非常に基準が曖昧であること、医薬品と異なり様々な注意事項の表示が義務付けられていないこと、安価な粗悪品が出回るなど安全面などで問題になっているものも多いのです。
サプリメントの過剰摂取などで薬物性肝障害が起こることも
日本で使われている医薬品は安全確保のため世界的に見ても非常に厳しい安全基準が定められており、どんな成分がはいっていて、どんな作用があり、どんな副作用があるかもしっかりと確認されています。注意すべき点もハッキリとしています。
それとは反対に食品なので安心かと思われがちな健康食品ですが、もともとアレルギー疾患を持っている方や、病気や疲労などで肝臓の機能が低下している方、さらに肝臓疾患がある人などは、サプリメントの過剰摂取などで薬物性肝障害が起こる可能性が前述のように指摘されています。
食品はある意味で未知数なことが多く、サプリメントなどに含まれている特定の成分を大量に摂取してカラダにどんなことが起こるかはきちんと研究されていないものもあります。
よくCM等で「◯◯(食品名)何百個分の◯◯(成分の名前)が摂取できます」という表現を見ますが、食品の中でも毒性が強いものはたくさんありますし、仮にその成分に対するアレルギーを持っている方が知らずに摂取をしたら一度に大量の成分を摂取するだけにアレルギーの症状もひどく出るでしょう。
栄養素を摂取するだけで健康になるというのは、とても簡単で誰でも飛びつきたくなりますが、現代人は栄養素が不足してなる病気よりも、栄養を摂りすぎて病気になる方があとを絶ちません。
健康食品を摂取するときの注意点
健康食品などを摂取する時の注意点としては、体調が悪い時、アレルギーを起こしているときは、普段は反応しない成分でもアレルギー反応が起きやすいので摂取に注意することです。
また、「過ぎたるは及ばざるが如し」で、どんな物も過剰摂取になっては逆にカラダにとってマイナスになることがあるので、「カラダに良さそうだから」「友人にすすめられた」「他の人が摂取して調子が良かったと聞いたから」などの理由で安易に摂取をしないことをおすすめします。
さらに、購入するところもネット通販から観光地のお土産物屋さん、はたまた100円ショップなど、どこでも購入できるのも健康食品などの注意したい点です。
消費者庁でも度々摘発していますが、まるで医薬品かのような宣伝で騙して販売する通販業者や成分がしっかり含有されていない粗悪品などを店頭販売している業者もあとを絶ちません。
食品を購入するときに信頼できるお店で購入するのと同じように、信頼できるところで、きちんと相談をして購入することなども自分の大切なカラダを守るためには必要でしょう。せっかくカラダのためにすることなので、正しい知識で正しく使いたいですね。
(早川 弘太/健康コンサルタント)