危険を知らせるアラート
日本は地震大国ですね。天災は避難や対策で被害状況は大きく左右されます。
地震が発生すると、その揺れが波になって地面を伝わります。この波が「地震計」にキャッチされ、その情報が気象庁へと送られます。緊急地震速報は、地震における最初の小規模な地震動の初期微動の揺れを感知して、初期微動より遅れてくる「主要動」という大きな揺れの危険を知らせてくれるシステムです。地震の多いこの日本ではとても便利なシステムだと思います。
最近では、北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する場合、弾道ミサイルは極めて短時間で日本に飛来することが予想さるため、政府は、24時間いつでも全国瞬時警報システム (Jアラート)を使用し、緊急情報を伝達します。
これらは、勿論生活している人たちにとっては、急に発せられる音であり、何故か不安感や緊張感を感じやすい人も多いようです。3.11の地震以来、この緊急地震速報の音がトラウマになっている人も多いようです。
緊急速報の音はなぜ怖いのか?
私たちにとって、音による合図は、とても身近ですよね。
運動や競技のスタート音 目覚ましアラーム音 電話やメールなどの着信音 テレビの緊急速報 横断歩道の音 電車内で流れる発着音私たち日本人は「オノマトペ」という擬音を言葉の文化として持っています。トントン、カンカン、ドーン、といったオノマトペの効果には、瞬時に脳の中の五感や運動など色々な脳の領域が働くようになっています。心地のよい音もあれば、緊張感を伴う音もあります。私たちには動作や状況に応じて、音を使い分ける文化があります。
そして、動作や状況に応じた音文化を子供の頃から体験している私たちは、反射的に音と記憶と結びつけています。つまり、日本人にとっては、音はイメージと結びつきやすいんですね。
緊急速報が届く時には、瞬間的に「よくないことだ」と感じられる音が、ひとりひとりに対して一斉に鳴ることで、自分自身の記憶や経験、過去に見たニュース映像記憶と結びつき、また、ひとりひとりの身に起こる大規模な非常事態であることを思わせ、より緊張を感じさせるのでしょう。
緊急速報の音は、緊張感を持った和音を使っているようですが、あまりに怖い音だと人間の身体は恐怖ですくんでしまい、緊急速報の意味をなさなくなってしまいます。
そのため、「怖すぎず、あまり明るすぎない」ということを考えて設計され、この音になったそうです。危険を察知できるよう警報というのは作られているのですね。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)