菜食主義は健康にいい?
肉や魚などの動物性タンパク質を摂取しない菜食主義、いわゆるベジタリアンは本当に体に良いことなのか?疑問に思っている方も多いと思います。
菜食主義とは健康、道徳、宗教等の理由から植物性の食品による食生活を送ることです。一口に菜食主義と言っても様々な種類の菜食主義があり、もっともストイックな完全菜食主義者の場合は、卵、乳製品はもちろん、他の菜食主義者は摂取をしているはちみつまで摂取しないという徹底した考えもあります。
菜食主義によっては卵、乳製品などを摂取しても良いとしている場合もあるので、完全に動物性食品がゼロというわけではありませんが、共通していることは菜食主義ではない人に比べると動物性のタンパク質などの摂取量が圧倒的に少ないということです。このような食生活は果たして健康面で良いことなのでしょうか?
道徳、宗教上などの考えで菜食主義をしている方はそれぞれのお考えがあってのことなので、それに対して否定をしたりするものではありませんが、菜食主義が健康に良いか?悪いか?それは一言に是か非か言えるものではないと思います。
「皮膚粗しょう症」の心配も 体調や肌の調子に合わせた食事を
菜食主義に関しては目的により向いている方と向いていない方がいると考えます。女性の方で美容面を考えて菜食主義になられる方がいらっしゃいますが、近年では美容の世界でも肌の状態をしっかりと維持するためには、動物性脂質やタンパク質が不可欠だという考えが広まっています。
動物性の食品をとらないと脂肪組織やコラーゲン線維が少なくなり肌のハリが少なくなる『皮膚粗しょう症』になりやすいとも言われています。特にコラーゲンは植物からは摂取できない(植物性コラーゲンと言われているものもありますが、厳密には動物性のコラーゲンと同じものではありません)栄養素なので良い肌を維持したいということが目的であればこのような栄養素をしっかりとっておいたほうがプラスだという考え方です。
肌の材料であるタンパク質は大豆製品など日本の精進料理などでも多様するように植物性の食品でも摂取ができますが、お肌のことを考えるとどうしても足りなくなってしまうものが出てきます。
お肌のためにと菜食主義にしたけれども、肌のハリなどがなくなってしまった、となっては本末転倒です。また、菜食主義の場合はたくさんの種類の食材を摂取しないと栄養バランスが賄えないことが多いので多品目を食べるなどの工夫が必要なので注意したほうが良いでしょう。
体重コントロールをしたい、カラダの脂質過多を改善したいなどの目的であれば菜食主義は向いていますし、日本でも古来から精進料理があったように、動物性食品をほぼとらなくてもバランスにさえ注意をすれば健康的に過ごすことは可能です。ご自分の目的に応じた食事コントロールすることが大切でしょう。
そして、体質や体調も考慮しないといけません。健康維持が理由で菜食主義にしているけれどもどうも体調が悪い、美容目的で行っているけれどもどうも肌の調子が悪い、そんなときは体質や体調にあっていないこと場合もありますので、一度食生活を見直して見ると良いでしょう。
『食は命なり』と言います。我々のカラダは食べたもので作られていますので、毎日の食事で何を食べるかということはとても大切なことです。一人ひとり体質、体調、環境が異なりますので答えは一つではありません。毎日を健康的に過ごすためにも自分にあった食生活を送れるようにご自分の体質、体調、環境を見つめ直してみましょう。
(早川 弘太/健康コンサルタント)