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クリエイティブな人材になるためのコーチング入門

JIJICO 2017年10月5日 11時50分

そもそもマインドは過去志向になりやすい

突然ですが、今から腕を組んでみてください。

皆さんは右腕を上にして組みますか?それとも左腕を上にして組みますか?

ところで、どちらの腕を上にするのか?ということについて論理的に考えて判断した上で腕を組んだ方はいますか?ほとんどの方は「考えること無く組んだ」と思います。なぜ皆さんはそうしたのか。それは、「これまでそうしてきたから」、無意識の中に「これまで繰り返し腕を組んできた映像」があるからです。その映像に従って自然に自動的に行動したのです。コーチングではこれを「無意識の行動」と言います。

では、今度は先ほどとは反対に腕を組んでください。気持ち悪い感じがしませんか?

これもマインドの仕組みで、「創造的無意識」と呼ぶ機能が引き起こさせています。「創造的無意識」は「マインドの整合性の維持」を行います。

どういうことかというと、皆さんの無意識の中には、「これまで組んできた腕の組み方の映像」がありますが、反対に組むと無意識の中にある情報とは違う情報(反対に腕を組んでいる状態)を外から知覚することになります。そして、整合性を保つ為に「元に戻したい」という「気持ち悪さ」をフィードバックしたのです。

マインドは、無意識が持つ情報をベースに判断・行動し、それを維持しようとするため、個人も組織も「過去ベース」になり易いといえます。

クリエイティブ思考やイノベーションに必要な「未来志向」になるには

さて、現在の社会では「クリエイティブな人材」「イノベーションを起こす企業」の必要性をいたるところで耳にします。しかし、これらは過去にとらわれていると成し遂げることができません。「現状維持」の先には、クリエイティブもイノベーションも起こり得ないからです。

では、どうすれば未来志向になれるのでしょうか?

ポイントは、【意図的】に「現状を超えたゴールを設定する」「自己のイメージ(エフィカシー)を高める」ことです。

大抵の場合ゴール(≒目標)を設定する際、「前年比+〇%」や「これまでこうしてきたから」という過去の延長線上にゴールを設定しがちです。しかし、こういった過去からの延長線のゴールは、ますます「これまでの自分」に縛り付けることになります。

大切なのは、「現状の外側のゴール」(今の自分、延長線上の自分では達成できないゴール)を設定することです。

過去から推測できないゴールでも、自然と辿りつける

このような話をすると、「過去の経験を活かせないのに、どのように達成したらいいんだ?」という声が聞こえてきます。しかし、正しくゴールを設定する事ができれば方法や手段、リソースはマインドが勝手に探してくれます。

皆さんも、たとえば「車を買う」と決めた時に、今まで見えていなかった広告や町中での車の情報が急に見えて来た、といった経験があるはずです。同じように、現状の外側のゴールであったとしてもゴールを設定すれば後から方法はしっかり見えてきます。

それから、自己イメージを高めることもポイントです。

人間は無意識の中に保存している「自己イメージ」に合わせて行動しています。たとえば、常に町中のファミレスに行っていた人が、ある日突然、理由もきっかけもなく高級レストランに通い詰めるようになることはありません。同様に高いゴールを設定したとしても、そのゴールが「自分らしい」と思えなければ達成への推進力は弱まり、知らず知らずのうちにゴールを下げてしまいます。逆にいえば、自己イメージを高めることで、達成の推進力が強くなるというわけです。

自己イメージを高める為の方法は様々あるのですが、ここでは、「セルフ・トーク」についてお伝えします。「セルフ・トーク」とは、簡単に言えば脳内で行われる「自己対話」です。人間は一日に5万回もの自己対話を行っていると言われており、この「セルフ・トーク」が自己イメージを作っています。

もし、自分を下げるような「セルフ・トーク」をしていれば低い自己イメージが形成されます。セルフ・トークは常に肯定的にすることが大切です。たとえ何か仕事でミスをしたとしても、「自分らしくない。次はこうしよう!」と自分に語り掛けましょう。

部下をクリエイティブな人材にする為には

自分自身がクリエイティブな人材になる方法を見てきましたが、今度は上司の立場から見てみましょう。マネジメントする側として大切なのは、「部下の自己イメージ(エフィカシー)を上げること」と「部署内のコーポレート・トークを肯定的にマネージすること」です。

部下がミスをした時、皆さんはどのように指導を行っていますか?最悪なのは、「またミスをしたのか」や「なんでいつも同じことを繰り返すんだ」といった指導です。本人が奮起することを意図して敢えて言っている方もおられるかもしれませんが、こういった声掛けは部下の自己イメージを下げるため、パフォーマンスが上がるどころか更に下がる可能性すらあります。そうではなく、「君らしくない」と語り掛け、「次はこうしてみては?」と新しい置き換えの映像を提示してあげるのが効果的です。

また、普段から「君ならできる」や「君だからこそ、この仕事を頼んでいる」といった声掛けで相手の自己イメージを上げるように働きかけましょう。

次に、個人の自己対話は「セルフ・トーク」と呼ばれる一方、組織内で語られる言葉は「コーポレート・トーク」と呼ばれ、組織構成員のセルフ・トークに大きな影響を与えます。

上司として組織をクリエイティブな組織にしていく為には、この「コーポレート・トーク」が肯定的になるようにマネージすることが大切です。まず一番初めにできることは、リーダーである自分自身が声に出す言葉を含めた「セルフ・トーク」を徹底的に管理することです。

さらに、上司自身が過去ベースではなく「未来志向」な発言を常にしていることも重要です。組織の現状の外側のゴールやビジョンについて繰り返し繰り返し部下に語り掛ける。そういったメッセージを通じて、組織全体が現状の外側に意識が向き各々のクリエイティビティが引き出されることが期待できます。

上司も部下も、自分のマインドをうまくマネージして、自分と組織の力を引き出すことで、よりクリエイティブになれるでしょう。ぜひ一度コーチングについて深く学んでみることをお勧めいたします。

(渡邊 佑/)

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