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幼児期からの早期教育 大切なのは「体験させる」こと

JIJICO 2017年10月26日 7時30分

「早期教育」は乳児の頃から始まっている

早期教育というと、幼児期から文字や九九などを教えることを想像するかもしれません。しかし、早期教育は実はもっと以前から始まっています。

例えば、赤ちゃんが物を口に入れたり触ったりしながら全身で物を感じ学びます。指で押したり掴んだり、そんな他愛もないことから指先訓練は始まります。また、家族とのスキンシップで愛情を知り、言葉のシャワーを浴び、どんどん言葉が入り、いっぱいになると溢れ出るように話し始めます。

あるいは、ハイハイで体幹を鍛えることで正しい姿勢が作られます。それをせず、早くからベビーウォーカーなどに座らせると、体幹が鍛えられず顔から転んで大けがをしてしまうかもしれません。

以上勘案しますと、乳幼児期から親が意識して子どもの成長に合わせた環境づくりや遊具などを与えることで早期教育は既に始まっているのです。そして、この体験がその後の成長に大きく関わることは言うまでもありません

早くから「覚える」学習は子どもたちの誤解を招く可能性も

では、幼児期の学習はどうでしょう。

私の教室での考え、指導方針から申し上げると、覚える学習による早期教育はお勧めしません。なぜなら、覚える学習から始めると、子どもたちは無意識に「覚える=勉強」と勘違いし、たとえば計算する際、自ら考え工夫するのでなく、式や答えを丸覚えしようとするのです。

このことが問題を解こうともせず、ひたすら解法や答えを教えてもらうことを待つ、消極的学習態度につながっていきます。

日本語の語彙や文法はすべての学習の基礎

また、英語を始める際もお気を付け下さい。英語が達者な分、年相応の日本語の語彙が乏しくなり、助詞の使い方もあやふやで、本を読んでも十分に理解が出来なくなる可能性があります。自分の意見が言いたくても、英語は出ても日本語が出てこない。実際、就学前に英語漬けだった子どもが小学生になり、苦労する場面をよく目にします。もちろん全ての子どもとは申しませんが、よく見る現実です。

ところで最近の英語偏重の背景には、日本語は普段から話したり書いたりしているから改めて学習しなくても大丈夫だろうという危険な勘違いもあるのではと感じています。

決して英語教育を否定しているのではありません。しかし、軸になる母国語習得の土台が無ければ、普段ものを考える上でも、その後の学習や生活でも支障をきたす可能性があります。子どもの能力の見極め、学習のバランスが肝心です。

実は名前に「算数」が付く私の教室ですが、しっかりとした日本語力を身につけることも大切にしています。それは、学習全ての土台となるからです。

作文講座では最初、子どもたちは不思議な文章を書きます。無理もありません。きちんと教えてもらっていないのです。そこで、低学年から、文法として覚えるのでなく、主語述語の関係や修飾被修飾の関係を意識した文章から書き始め、日本語のきまり、論理構造など自然に身に付くようにします。

重要なことは、覚えることでなく、早い時期から体験し、習得することなのです。

早期教育の重要なポイントは「親の子どもへの関わり」

そして最後に、早期教育において重要なことを申し上げます。それは、ご両親の関わりです。たとえば、自然に親しむ目的で、子どもを野山に解き放つだけでは教育とはなりません。ご両親が一緒になって楽しんだり不思議に感じたりする、関わりが大切なのです。

「どうして葉っぱの色が変わったのかな。赤や黄色の葉っぱもあるね」そんな言葉がけが、子どもの知的好奇心のスイッチとなります。親子で話し合ったり、解からないことは一緒に調べたり、野外学習の基本姿勢をご両親自ら示すことも重要です。

親子で様々な体験・経験を積み重ね、それが子どもの知的好奇心をかき立て、調べ学習や将来の自学自習の習慣化につながる、これこそ早期教育の原点ではないかと考えます。

(増本 真一/塾講師)

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