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与野党の「質問時間」のあり方はどう考えるべき?そもそもどうやって決まるのか?

JIJICO 2017年11月30日 7時30分

与野党の質問時間の配分はどう考えるべきか?

衆議院予算委員会における与野党の質問時間の配分について、与党側が「5対5」の提案をしたのに対し、野党の立憲民主党が拒否し、これまでと同様に「2(与党)対8(野党)」を維持するよう求めるなど、質問時間の配分に関する攻防が続いています。

この質問時間の配分については、国会法や衆議院規則にも特に定められていないものの、民主党政権時代から野党の質問時間を多くすることが慣例となっておりました。

では、そもそも与野党の質問時間の配分については、どう考えるべきなのでしょうか。国会の役割を念頭に、議院内閣制、現代の政党政治の状況といったものから考えて行く必要があります。

野党に質問時間を割り当てる意義とは?

法律や予算を作成する権能を有しております国会は、国民の代表者たる国会議員によって構成されており、各国会議員は、提出された法案等に対し、国会での議論を戦わせることにより、国民にとってより良い法案等にしていくことが求められています。そして、政党政治が支配する現代の民主主義社会では、議席数を獲得した割合に応じて各政党に質問時間を割り当てるというのは、一見すると理にかなったようにも思えるところです。
しかしながら、憲法が定める議院内閣制のもとでは、内閣総理大臣は与党から選ばれることになり、政権そのものも与党を基盤として組織されますので、政権与党が提出する法案等も、基本的には与党内での審議ないし擦り合わせをすでに経ていると考えられます。

ましてや、党議拘束をかけられている場合には、政権与党が提出する法案等について国会の場で与党議員が法案等の欠陥を指摘したり反対の意思を表明するなどということは、党の規則に違反するものとして処分の対象となり、将来的に冷遇されることになりかねませんので、与党議員にはそのような行動をそもそも期待できません。結局のところ、国会の場で法案等の欠陥を指摘することを期待し得るのは、野党ということになります。

このようなことを考えますと、与野党の質問時間の配分について、獲得議席数を考慮することなく野党側の割合を多くすることは、国会の役割を十分に全うために必要なことといえます。

国会議員は「国民にとってより良い法律や予算を作ること」が求められている

与党の若手議員が地元に帰ったときに、有権者から「国会で何もしていない。」などと揶揄されるなどと訴えたことに端を発して、若手議員にも質問の機会を与えるべく、与党の質問時間を増やすなどということは、まさに選挙目当てというほかありません。国会議員に求められているのはパフォーマンスではなく、国民にとってより良い法律や予算を作ることですから、与党内で若手議員を積極的に活用し、あるいは積極的に意見を言わせる党内風土を作り、議論を尽くさせた上で法案等を提出することの方が遥かに重要です。

先の衆議院選挙で圧勝した政権与党は、「謙虚に」とか「丁寧に」などと連発しておりますが、その舌の根の乾かぬうちに、野党の質問時間を減らすようを求めるなど、矛盾しているとしか言いようがありません。

(田沢 剛/弁護士)

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