提出物を出さない子への心配は無用?
12月といえば、小・中学生をお持ちの父兄の方にとっては、三者面談があり緊張のシーズン。
特に、宿題や提出物をきちんと出せていない子どもさんがいる家庭にとっては、また先生から「提出物が出ていません」と聞かされるたびに「親の躾が出来ていません」と言われているようで、恥ずかしく情けない気持ちになってしまいます。
その度に子どもに強く言い聞かせ、普段から注意しているものの子ども本人は一向に反省の気持ちがなく、毎度同じことの繰り返しで「どうして?」と首を傾げたくなります。
「叱られるのがわかっているのにどうして宿題をしないの?」と尋ねると、ただただ宿題をするのが面倒らしく、字を書くのはもちろん、問題文を読むことすら面倒に感じている子どもは少なくありません。
こんなに面倒くさがり屋で将来、社会に出て仕事ができるのだろうかと親は心配になりますが、子ども時代に勉強や宿題は全然やらなかったけれど、社会人になって仕事はきちんと出来る人は皆さんの周りにもたくさんいるのではないでしょうか。
これは仕事はきっちりとこなせるのに、家の掃除や片付けが出来ない人がいるのと同じで、勉強や宿題をしないことと仕事の勤勉さは決してイコールではないようです。
そうは言ってもやらなければいけないこともちゃんと出来ないなんて、と親はそんな子どもの様子に腹が立ちます。しかし怒ってみても一向に改善されないばかりか、ガミガミ言いすぎて親子関係が悪くなるばかりです。
ダメなところを完全に『受け入れてしまう』という解決方法
では、どうすればいいのか?
もっとも現実的でベストな解決方法は、子どものそのダメなところを完全に『受け入れてしまう』ということです。言い換えると、子どもを直そうとすることを諦めるということです。
「とんでもない!」とお叱りの言葉が飛んできそうですが、実際のところ親に子どもを変えることは出来ません。その子を変えることができるのはその子自身だけであり、その子の決意と覚悟だけです。そのためには親の決意と覚悟が必要なのです。
先生から躾が出来ていない親と思われることを覚悟し、子どものありのままを受け入れると同時にそれでもなおこの子は素晴らしい子であると信じると決意することです。
これは生半可な覚悟や決意ではありません。でもだからこそ、それは親の真心や信実を表すものとなって子どもの心を変える力と成り得るのです。
三者面談で恥ずかしい思いをしたあと、帰り道で「恥をかくのも、先生に頭を下げるのも親の仕事やから。気にしなくていいよ。」と本心から言ってあげることが出来たら、それは親である自分が決意と覚悟を持って変われた証であり、子どもの変わる決意や覚悟もそこから生まれるのだと思います。もし、たとえそうはならなくても親子の信頼関係を築ける良い機会にはなると思います。
親から子どもへの無条件の信頼が、子どもからの信頼を育む
子どものダメなところを直そうとするのではなく、「あなたは大丈夫」と信頼していくところに親子の強い信頼関係が生まれ、その温かく信じ合う関係が子どもを自然に良くしていくように思います。
親から無条件に愛され、信頼されていると感じているなら、その子だってそれに報いたいと思うのは自然なことではないでしょうか。
誰でも無条件に愛され信頼されたなら、その人の信頼に応えようとするのが人情です。
無条件に愛しているよ、無条件に信頼しているよと伝える機会として、子どもはダメなところを表すのかもしれません。
ダメな所がなければ、無条件に愛していることも、無条件に信頼していることも示しようがありませんから。
そして、その素晴らしい機会を私たち親は常に持っているのだと思います。
(長谷川 満/家庭教師派遣)