転売行為のどこが問題?3つの視点で考える
アイドル・アーティストのライブチケットなどについて、転売目的での購入が問題になっています。またチケットに限らず、最新ゲーム機なども転売対象となっているようです。
一方で、価値あるものが高く売れるということに着目すれば、それは市場経済における自然な行動ともいえます。
チケットの転売のどこが問題か考えると、
①転売目的の購入が殺到することにより、本来売り手が勝手欲しい人たち(アイドルのファンなど)へ行き届かなくなるおそれがある
②転売対策を講じることにより人件費(入場時の本人確認等)、チケット発行費(電子チケット等の発行)などが発生し、結局チケット代を従来よりも高く設定せざるを得なくなる
③公共の場でのダフ屋行為は都道府県迷惑防止条例で禁止されているのに、インターネットなどを利用すれば罪にならないのはおかしい
といったところでしょうか。ライブを行う人目線で見れば、純粋に楽しんでもらえる人にチケットを買ってもらいたいという希望はあるでしょうから、心情的にも①の理由については特に共感は得られそうです。
転売は商売の基本ともいえるが「チケット」だからこそ問題になる?
一方で、転売という行為自体はありとあらゆる場面で用いられています。問屋商売にしても、不動産業にしても、転売を商売の基本としているが、これが問題視されることはあり得ません。なぜ、チケットについてのみ規制されなければいけないのか、という疑問が生ます。
そこにはやはり、チケット特有の問題があるのでしょう。その特有の問題こそが、上記①のような理由ではないかと思います。
チケットの転売を取り締まるべきか否か、という問いについては、答えは分かれるところであると思います。それだけ難しい問題だと思います。
しかし、個人的にはこのままチケットの高額転売を野放しにしておくことには違和感があります。「本当に行きたい人に適正な価格でチケットを売りたい」というチケット販売側の思いを無視することは良くないのではないかという、素人じみた意見がその違和感の根底にあります。
2020年には東京オリンピックがあります。今のままでは、このチケットも転売目的の買い占めにより高騰することは目に見えています。
これを懸念してか、政府与党内では、コンサートチケット等の高額転売を禁止する法案を作成する動きもあるそうです。こういった動きから、実際に法律で規制されることになるのか、なるとしてどの程度の規制となるのか、規制の効果はあるのかなどについて、注目していきたいと思います。
(河野 晃/弁護士)