お酒の飲み方を間違えると「アルコール依存症」に
これから飲酒の機会も増える年末になりますが、みんなと飲むお酒はストレス解消や同僚、友人との親睦も深まるため、楽しみにしている方も多いのではないでしょうか?
でも、楽しいはずのお酒が飲み方を間違えると、いつしか気づかぬうちに怖い「アルコール依存症」という病気に発展してしまいます。
最初は何かの機会に飲む程度でも、日常的に飲んでいるうちにお酒に強くなり、飲酒が習慣化し、お酒が無いと物足りず、ほろ酔い程度では飲んだ気がしなくなります。周囲からもお酒を控えるように注意されたり、お酒を飲まないと落ち着かなくなったり、寝つけなくなったりして、飲まずにはいられなくなります。
そしてアルコールが切れると風邪のように汗をかき悪寒がします、迎え酒や飲むための嘘をつく、隠れて飲むなど、酒が原因の問題が繰り返され、いつでもやめられると思っていたはずが、自分では控えることが出来なくなります。連続飲酒、幻覚、体を壊し、仕事や日常生活が困難になるプロセスをたどります。
そして怖いことに飲酒量が増えるほど、脳が小さくなる脳萎縮が見られ、ますますやめる事が困難になる場合もあるそうです。
飲酒を習慣化させないことが重要
アルコール依存症にならないためには、飲酒を習慣化させない事が重要です。毎日飲酒をするといつの間にか飲まなくてはいられなくなります。習慣になるとアルコールに対する耐性が出来、だんだんにお酒の量が増えてしまいます。最低でも週2日はお酒を抜き、肝臓を休めるようにすればアルコール依存症のリスクはかなり少なくなります。それから寝つきが悪いから飲酒して寝るという人もいますが、アルコール依存症のきっかけは寝酒という場合も多いので、寝る前のお酒も控えましょう。一定の量を超える寝酒は睡眠にも健康にも悪影響を与えます。
お酒の適量(アルコール依存症にならないとされる量)を守ることも大切です。厚生労働省の基準による一般男性の適量は一日20グラム以下(高齢者や女性などお酒の弱い人は10グラム)と言われています。
ビール 500ml 1本 焼酎(アルコール25度) 100ml 日本酒 1合 ワイン グラス2杯程度 ウイスキー ダブル1杯アルコール依存症は急に発症するものではありません。正しい知識を持って習慣化しないように気をつければ、ストレス解消、スムーズなコミュニケーションツールにもなります。でも、嫌な事や辛いことを忘れるためのお酒は癖になりやすく、アルコール依存症のリスクも高まるので気をつけましょう。
アルコール依存症は決して他人事ではありません。自分だけでなく大切な家族の人生も変えてしまう場合もあります。その事を理解して、アルコールとの付き合い方を考えて、楽しいお酒を飲むために、病気にならない飲み方を心がけてください。
お酒以外の楽しみを家族で見つけてみよう
最後に、アルコール依存症にならないためには、家族関係も大切だと思います。会社の人間関係が思うようにいかない場合や退職後仕事以外の趣味もなく、人との交流も少なく孤独を抱えていた場合、救いは家族になります。本当は夫側、妻側、子供側、それぞれに想い合っていたとしても、伝えなければ家族でも分かりあうのは難しいものです。
近い存在だからこそ遠慮なく相手を非難したり、そっけない態度で接したりしがちですが、そのため孤独を強く感じ、お酒に走る場合も多いのです。「あなたの身体が心配だから、お酒を控えて欲しい」「あなたは大切な存在」と、素直に思っている事を言葉に出すことも時には必要です。お酒をやめられなくなる前に、お酒以外の発散方法や楽しみ方を家族で見つける事も予防につながると思います。
(飯塚 和美/心理カウンセラー)