顕在化する教師から生徒への「スクールセクハラ」
学校で自分を護ってくれるはずの先生から性的な被害を受ける生徒がいる。信じたくない話ですが、こういったスクールセクハラが今問題となっています。
文部科学省の発表によると、2016年度わいせつ行為で処分を受けた教職員の数は226名。「体を触る」「性交」「盗撮・のぞき」等の行為によって多くの子ども達が傷ついてきました。
このようなスクールセクハラが明るみになってきたのは最近の事ですが、被害は昔から存在し、被害者が声をあげなかったり隠ぺい工作によって表にでなかっただけという部分もあります。
子どもが被害に遭っているかも?SOSを見逃さないために
また、子どもは親に心配をかけまいという思う事があり、被害にあっても、表面化されにくいという面あります。このような要素も含めて、親や家族はどういった関わりが大切になってくるのか。ここでは2つとりあげたいと思います。
1つは子どものSOSを見逃さない事です。
例えば、「元気がない」「妙に明るい」「口数が減った・増えた」「体重の増減」「体調不良を訴える」等、日常生活でのちょっとした変化を見逃さない事が大切です。これはスクールセクハラのみならず、いじめや不登校など、子どもが抱える問題全般に言える事です
そして、子どもが事実を語ってくれた時には否定的な態度をとるのではなく、「よく話してくれたね」や「お父さんやお母さんはあなたの味方だよ」というメッセージを伝える事も重要です。
そのためには、親を頼ってもいいという思いが子どもの中にある事も大切です。何かあった時だけ親に言ってくれるほど、現実は甘くありません。親を頼ってもいいと言う安心感を、小さい時から感じ取ってもらう関わりが大切です。
スクールセクハラを許さない風潮を学校で作っていく
2つ目には、スクールセクハラは許されないという風潮を学校の中で作っていく事です。例えば、PTA等でこれらの問題をとりあげ、教職員と保護者で意見交換や勉強の場を持つ事も一つの方法です。
教職員や保護者の知識や意識が高まる事によって、周囲からの目がより厳しくなり、未然に防いだり早期対応の可能性が高まってきます。
一方で、スクールセクハラが明るみになった時、学校に声をあげれば確実に解決をするというものでもありません。不適切な対応や隠ぺい工作等によって、傷ついたケースも少なからずあります。
そのような場合は、教育委員会、学校運営協議会、児童相談所等、他の場所にSOSを出す事も一つの方法です。
問題のある教職員を処分する事がゴールではない
この際注意すべき点は、わいせつ行為をした教職員を処分する事が最終ゴールではないという事です。加害者を罰する事は必要な事かもしれませんが、罰したからといって子どもの傷が癒えるわけではありません。
子どもが抱えた心の傷を長期に渡ってサポートしていく。同じような事が繰り返されないようにしていく。このような取り組みが欠かせない要素かと思います。
(中原 崇/社会福祉士)