食べる速度を遅くすると肥満に効果があるということ
先日、九州大学の研究論文が発表されその内容が『だらだら食べが肥満予防に』というタイトルでニュース配信されて話題になりました。
これはニュースのタイトルが注目を集めやすいように「だらだら」という言葉を使っていますが、九州大学の研究論文の内容は『食事の速度は肥満や体格指数(BMI)の値、腹囲に影響すると指摘し、「食べる速度を遅くすることを目的とした治療介入は、肥満予防や肥満関連の健康リスクの低減に効果的とみられる」と結論づけた。』という内容であり「だらだら」というよりも「ゆっくり」食事をとる、という方が正確だと思います。
「だらだら食べ」は「ながら食い」でなはい
『だらだら食べ』というとテレビなどをみながら食事をとるいわゆる『ながら食い』を想像する方が多いと思います。
研究チームでは『食べる速度を遅くすることで肥満の防止につながることを示唆している』と述べており、『ゆっくり食べる』ことと『だらだら食べる』ということは根本的に意味合いが違うと思います。
「食事に集中してだらだら食べる」のであれば良いのですが、食事に集中しない「ながら食い」でだらだら食事をするのは逆効果、肥満の原因になってしまいます。
テレビを見ながら、スマホを見ながら、パソコンしながらのながら食いは食事への集中力を欠いてしまいます。この「だらだらながら食い」は糖尿病などの生活習慣病への近道になってしまい、肥満予防とは正反対の結果になるので注意が必要です。
食事に集中をしていないとどれくらい食べたのか確認ができず、噛む回数も減りやすいので満腹中枢にしっかりと信号が届きにくくなります。気がついたら食べ終わっていることもあるので気分的な満足感も当然得にくくなります。
なので、まずはこのニュースの見出しについている「だらだら食べ」と言うのは「ながら食い」のことではないということをぜひ知っていただきたいと思います。見出しだけ見てしまうと「テレビとかを見ながらだらだら食べると痩せるのか?」という誤った情報となってしまいます。
早食いをしないこと=ゆっくりよく噛んで食べるという基本の実践
このニュースの本質は「早食いが肥満の元」ということです。早食いは「ゆっくり」食事を取ることとちがい噛まないで飲み込むような食事になってしまうことが多いです。咀嚼して食べることの大切さは多くの方が知るところだとは思います。
よく噛むと脳にある満腹中枢が働いて、私たちは満腹を感じます。 また噛むことで唾液の分泌が促され噛み砕いて消化の助けになるだけでなく、唾液の分泌が良くなると、唾液中に含まれる酵素やホルモンなどによりガンの予防と抑制、認知症の予防、粘膜の保護と代謝促進、消炎作用、殺菌作用、血液循環を良くするなど、様々な働きがわかっています。
食事にかける時間は量や食材によって異なるので、噛む回数を目安にする
食事は「◯◯分かけて食べないといけない」ということは当然ですが食べる量や食べているものによって異なります。一つ食べる時間の目安になるとしたらそれは食事の時に口に入れて噛む回数です。
食事時間が短い方はぜひ一口食べたら「30回」噛んで食べることを意識しましょう。最初は難しいと思いますから、最初の一口だけでも、一食だけでもやってみましょう。10文字の言葉を頭で浮かべながら一文字1回噛むようにするとわかりやすいかもしれませんね。
よく使われているのが「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」×3回でだいたい30回程度かめますから、ぜひ食べれることに感謝して、食事に集中して「ありがとうございます」の気持ちでゆっくり「だらだら」と食事をとってみてはいかがでしょうか?
(早川 弘太/健康管理士)