記憶とは何か?つらい記憶は「体験記憶」に分類される
虐待やいじめなどで受けたトラウマ、ストーカーやDVといった犯罪被害など思い出したくもないつらい記憶はどうしたら忘れられるのでしょうか?そこまでつらい記憶ではなくても、嫌な事はなるべく早く忘れたいものです。
良かった事とは違って嫌な事はいつまでも記憶に残り続けるのでなかなか忘れるのは難しいところですが、嫌な事を忘れるために、まず記憶とはどういうものなのかについて考察してみましょう。
記憶と言っても身体感覚のように身体が覚えているもの。トラウマや楽しかった思い出のように、体験して覚えている体験記憶。そして勉強など頭で覚える記憶に暗記があります。
どれも記憶ではありますが、それぞれ少しずつ性質が違います。暗記はしようと思ってもすぐ忘れてしまい、なかなか覚えておくことが難しい一方で、身体感覚や体験記憶は忘れようとしてもなかなか忘れられません。
そしてつらい記憶というのは体験記憶に分類される記憶です。わざわざ覚えようとしてつらい記憶を覚えませんよね。ですから暗記のようにいくら能動的に忘れようとしても、つらい記憶はなかなか忘れられないのです。
つまり記憶とは能動的だと忘れることも覚えることも難しいもので、受動的だといつまでも記憶に残る、忘れたくても忘れられない記憶であるといえるでしょう。
思い出さないように記憶の上書きを繰り返す
では嫌な事は忘れられないのかというとそうではありません。記憶には残っていても、思い出さなければ憶えてないのと同じでつらい記憶や苦しい思いも思い出さないように和らげることは出来るんですね。
先ほど記憶は能動的だとなかなか忘れられないとご説明しました。
忘れられないならなるべく思い出さないように記憶の上書きを繰り返せば良いんですね。楽しい記憶、良い思い出をどんどん増やしていくのです。そうする内にいつの間にか嫌な事も忘れてしまうでしょう。(完全に忘れられなくても和らげることは出来る)
「今」という時間に集中して心から楽しみ、日常を充実させる
では具体的にはどうすれば良いのかといいますと、嫌な事があったとしても忘れようとするのではなく“今”に目を向け(集中して)心からエンジョイするのです。日常生活を充実させること。
忘れられないものを忘れようとする。それはつまりわざわざ自分から嫌な事を思い出している行為に他なりません。忘れよう忘れようと、能動的に忘れようとしてるからいつまでも忘れられないんですね。
嫌な事やつらい記憶であっても過去を顧みず“今”だけに目を向けてこれから先をエンジョイすることだけを考えるのです。
つらい心情を信頼できる人にぶつけてみよう
しかし、つらい記憶を抱えたままではなかなか先に進んでいけません。嫌な事やつらい思いを全部外に吐き出してみてください。自分の中に全て抱え込まず、誰か信頼できる人に思いの丈をぶつけてみてください。
もし誰も聴いてくれる人がいないなら心理カウンセリングを受けてみるのも有効です。
心理カウンセラーがつらい思いを受け止めてくれますし、つらい思いを共有してくれますので苦しい思いをわかってくれたという安心感に繋がり気持ちを新たに前に進んでいけるスタートラインに立つことができるでしょう。
それでもまた思い出してつらい気持ちになるかもしれませんが、その時はまた気持ちを受け止めてもらって今、そしてこれからをエンジョイすることだけに集中してみてくださいね。自分が幸せになって、気持ちで相手を見返してやるのです。
(宮本 章太郎/心理カウンセラー)