「生活の質が高い都市ランキング」ウィーン1位、東京と神戸は50位
生活の質が高い都市ランキングで、ウィーンが9年連続1位という発表がありました。
ウィーンと聞いてその暮らしぶりを想像してみると、たしかに質の高い生活をしているイメージがありますがヨーロッパは全般的に質が高い都市ランキングで上位にランクインしている都市が多いようです。そして日本の最高ランクは東京と神戸が同位で50位となっています。
このように見てみると、質の高さというよくわからない曖昧な基準で評価されたというよりも単純に物価の高さがダイレクトに反映されたようにも感じられますし、やはり貧困地域の都市では軒並みランキングが低いことも結果に表れています。
経済力と共に、治安の良さや衛生面での評価が大きく影響したといったところでしょうか。また、表現の自由や国内情勢による政治と宗教の影響も忘れてはなりません。
やはり犯罪率の高い都市やテロの危険性があるようなところでは常に不安を抱えながら暮らさなければなりませんし不衛生によるウイルスの蔓延や病気の発症率が高い都市も同じように心の平穏を保てずストレスも多く、とても質が高く住みやすい都市だとは言えないでしょう。
地域住民の努力にもよりますが、街の美化に取り組んでいるようなところはそこで暮らす人自身の意識も高いため自然に都市の質が高くなる傾向にあるのかも知れませんね。
住心地の良さに関して言えば、京都なんかは人気観光地ランキングでも常に上位に選ばれるくらいで観光資源の豊富さと暮らしに溶け込んだ歴史文化との調和から世界でもトップクラスの住心地だと言えますが生活の質の高さとは無関係だからでしょうか、今回の調査では調査対象にもなっていないようです。
生活の質と幸福度は別軸と考えた方が良さそう
しかしどこに住もうと最終的に言えるのは、「住めば都」ということではないでしょうか?生活の質にかかわらず、自分が暮らしている土地は最も住み心地が良いですし、居心地が悪ければ自然に離れていくでしょう。
ですから生活の質が高いか低いかでそこで暮らす人々の幸福感が決まるのではなくいくら社会福祉制度やインフラ、およびライフラインなどが整っていたとしてもそれだけで人の心の幸福度は計れないのです。
ですから今後は都市の定住率を調べれば、幸福度の高い都市がわかるかもしれませんね。生活の質が高い都市ランキングでは上位であろうとそこに住む人の幸福度もそれに比例するかと言うと決してそうであるとは言えません。
「心の居場所」を見つけることが豊かな生活につながるのでは
ではどこに住めば幸福感を高く感じられるのかと言いますと、私はやはり自分の中に安住の地、つまり“心の居場所”を見つけられるかどうかではないかと思います。
自分が住んでいる都市の生活の質が高いかどうかで他人との幸不幸を比較するのではなく自分の中に心の居場所を見つけること。これこそが自分にとっての究極の浄土(安息の地)になるのではないでしょうか。どこに住んでいても心の居場所だけは失わないように気をつけたいものですね。
(宮本 章太郎/心理カウンセラー)