上司が怒るときの傾向をつかんでおく
怒りっぽい上司といえど、四六時中怒っているわけではないはず。どういう時に怒るのか?自分で予測できるようになっておくといいですね。天気予報と同じで雨の予報が出れば、傘を持って出かけるようなものです。そこで、上司が「いつ」「どこで」「どのように」怒るのかを、まずは上司の怒るときの傾向を見つけてみましょう。
いつ?(怒りやすい時間や月日) 1日の中では? 1か月の中では? 1年の中では? どこで?(怒りやすい場所や状況) 社内? 外回り? 探し物をしているとき? 自分がミスしたとき? 部下がミスしたとき? どのように?(怒る前や怒るときの表情や言動) 舌打ちを始める? 眉毛が吊り上がる? 貧乏ゆすりをする? 口癖がでる(なんだ!まったく!もう!)不用意に近づかず話すときは毅然とした態度をとる努力も必要
日頃から怒りっぽい上司を観察し始めると、そのうち怒り方のパターンが見えてきます。パターンがわかれば、できる限り上司がイライラしていたり、怒りそうなときには近づかないようにするのも必要です。要は上司の怒りスイッチを押さないこと。
しかし、仕事上どうしても上司へ関わらなくてはいけないときもあります。上司に怒られやしないかと、モジモジしたり、伝えることがシドロモドロになってしまうと、上司の怒りスイッチを押してしまうことになりかねません。毅然とした態度で必要最低限のことを伝えるようにしましょう。
上司が怒っていないときにも注目して傾向を把握する
どんな時に怒るのかを観察することをお伝えしましたが、逆に考えれば、怒っていないときを観察しておくことも有効です。怒りっぽい上司が調子の良さそうなときって「いつ」「どこで」「どのように」の視点で観察しておくわけです。
そうやっておくことで、上司がイライラしているときよりも調子のいい時に仕事の相談を持ち掛けたり、頼みごとをしたりするわけです。
怒りの裏にある感情・事情・心理を察してみる
怒りが起きるとき、怒りの裏にはネガティブ感情が潜んでいます。それは、疲れ、痛み、苦しみ、虚しさ、さみしさ、不安といったものです。上司に貯まっているネガティブ感情を察してみるのです。
お子さんに手がかかって疲れているのかな? 持病の腰痛で痛みがあるのかな? 昇進できるかどうか不安なのかな?怒りはいきなり降って沸いてくるのではなく、怒りの裏にあるネガティブ感情がたまって、怒りを引き起こすという仕組みなのです。ですから、上司の様子を見ていて怒りにつながりそうな裏の感情も気にしておく必要があります。
怒りっぽい人は気持ちを理解してほしい欲求がある
怒りっぽい人上司には不用意に近づかないでおくことも必要と書きましたが、それはあくまでも自分への被害を最小限に留めるため。仕事をするうえでは、上司と良好な関係を構築できたほうが良いですよね。そのためには、コミュニケーションをとることが必要です。
上司の怒りの裏にある感情を理解できれば、上司へ声をかけることにもチャレンジしてみましょう。疲れているというのは、表情にも出やすいのでチャンス。
「〇〇部長、お疲れではないですか?」
こういう一言といっしょに栄養ドリンクを渡してみるといった、気の利いた行動は効果的ですね。実は怒りっぽい人には、もっと自分の気持ちを理解してほしい、わかってほしい、という承認欲求が強い人が多くいます。
怒りっぽい上司への声かけは勇気がいるかもしれませんが、こうすることで自分の気持ちを部下がわかってくれたという安心感や信頼感へつながっていきます。そうなれば今後仕事をしていくうえで、上司と比較的良好な関係でいられる可能性が出てきます。
怒りっぽい上司とも工夫して良好な関係を築いて、良い仕事をしていきましょう。
(稲田 尚久/アンガーマネジメント講師)