酒質に合わせて色々な酒器を楽しんでみよう
日本酒を飲む際に「酒器」にまでこだわりをみせる方はなかなかの酒飲み通です。どんなタイプの日本酒にどのような酒器が合うのかを伝授いたしましょう。
日々の疲れを癒す晩酌で日本酒を飲むときに、毎回同じグイ呑みやグラス、コップを使っている方も多い事かと思います。使い慣れた酒器を手に持ったときの安心感や、酒器が唇に触れたときの感触の心地よさなどが使い続ける大きな要素ではないでしょうか。酒器の選択にはこのように精神的な要素も多大にあるかと思います。もちろん、大変良いことです。
そんな酒飲みの方でも、もし自宅に形や素材の違う酒器があるようでしたら酒質に合わせて新しい酒ライフを開拓するつもりで色々な器を使用してみることをお勧めします。
日本酒は大きく4タイプに分類され、マッチする酒器は異なる
まず最初に基本的前提として日本酒は以下の4タイプに大きく分けられることを記憶に留めておいて下さい。
薫酒=香りが高く華やかなタイプ=おもに大吟醸、吟醸系 爽酒=軽快で滑らかなタイプ=主に普通酒、本醸造、生酒系 醇酒=芳醇でコクのあるタイプ=主に純米酒、生酛、山廃系 熟酒=熟成したボリューム感のあるタイプ=長期熟成酒、古酒系酒器選びのポイント3つ
上記を前提に酒器を選ぶ際のポイントが3点あります。
1.お酒の色調に合わせて酒器を選ぶ事透明感の高いタイプには透明なグラス、黄色みを帯びたお酒には色合いを引き立たせる白地の酒器を選ぶとよいでしょう。
2.香りから酒器を選ぶ事薫酒系はフルーティーな香りが特徴。ラッパ型やワイングラスの形状で香りをさらに集中的に楽しむことが出来ます。
3.お燗や冷など温度で酒器を選ぶ事冷やして呑むことが多い薫酒系や生酒系には小ぶりの呑みきりサイズがお勧め。冷えた状態が一番美味しく感じさせるものは冷えたうちに呑みきることが大事です。また燗酒には「錫」を使ったグイ飲みや焼き物系の酒器がぴったりです。「錫」は日本酒との相性が良く、錫とお酒が接することに因り味わいがより円やかに変化します。
実はワイングラスは多くの日本酒に合う酒器
色々と条件次第でさまざまな酒器との取り合わせがありますがそんなに多くの酒器はちょっと揃えられないわ…と言う方へのアドバイス。
それは、「ワイングラス」です!
まずはこれ一点からで構いません。醸造酒の世界スタンダードはワインです。世界では日本酒のことを「ライスワイン」と呼びます。同じ醸造酒の仲間です。ワイングラスの形状から色、香り、スタイリッシュ、使用感ともに入門酒器としては一番幅が広くリーズナブルに楽しむことが出来ます。簡単に取り揃えることも出来るはずです。日本酒の様々な酒質への対応も抜群に適しています。
初心者にも「錫の徳利とお猪口」がコスパ良くおすすめ
さらにお勧めがもうひとつ。お燗酒の最高酒器「錫の徳利とお猪口」!初心者にはハードルが高いと思われがちな高価なものですが、実は一度そろえると終生壊れる、割れることなく使えるコスパ最高の優れものです。錫の酒器を使うだけで簡単に上質なお酒へと変わるマジカル酒器。お燗酒ライフが一生変わると思えばお安い買い物です。
たかが酒器…されど酒器。酒器にこだわると日本酒の魅力の幅が一段と広がること間違いなし。愛する人、楽しい仲間とわいわいと酒器談義に花を咲かせてみてはいかがでしょうか。
(鎌田 孝/利酒師)