大学入学共通テストのプレテスト実施。結果をふまえ難易度設定見直しの方針
大学入試センターは、2020年度から始まる大学入学共通テストに向けて昨年11月に試行調査(プレテスト)を実施した。テストの結果を踏まえてセンターは出題の難易度設定を見直す意向だ。
記述式は現行のセンター試験のマークシート式では十分に測れない思考力や表現力を測る狙いがあり、国語、数学各3問ずつ出題された。
国語は、それぞれ三つか四つある正解の条件全てを満たした解答は問1が43.7%、問 2が73.5%、問3が0.7%で、字数が増えて条件が複雑化するほど正答率が下がる傾向が出た。数学は正答率は2.0%、4.7%、8.4%。いずれの問題もほぼ半数が無解答だった。
東大は民間試験を合否判定に使わない方針、全国への影響も
また、大学入学共通テストで英語の「4技能」を測るため導入される予定の民間試験について、東京大は合否判定に使わない方針を明らかにした。民間試験の目的や基準が異なるなか、入試に必要な公平性の担保などに疑問があるためという。
民間試験の活用は大学入試改革の目玉の一つだが、東京大が合否判定に用いなければ、他大学の方針にも影響を与えるとみられる。
勉強方法・試験対策は暗記中心では厳しくなる見込み
2020年度から実施予定の大学入試改革については様々な議論がなされているが、まだこれといった方針が定まっていないのが現状だ。大学入試の出題傾向がどのような形になるか見えないまま、学校現場では様々な対策が検討されているが、これといった解決策は見えず右往左往している、
大学入学共通テストに関して英語や国語、数学などで入試本番までまだ試行錯誤がありそうだが、本質的な対策、勉強法において、これまでと変わるところはあるのだろうか。また、現時点で注目すべきことや学生が把握しておいた方が良いことなどはあるのだろうか。
端的に言うと、今までの暗記中心の偏差値教育では残念ながら太刀打ちできないのが現実だ。今回のプレテストの結果を見ても歴然としているように、今の学校教育では、相手の意図を理解し、自分で考え、自分の意見に基づいて論理的に解答を導くプロセスを学習する機会はほとんどない。
教育のスタイルが変わったと認識し基礎学力を徹底的に身につける
ゆとり教育の誤った解釈や現場での指導力不足により、基礎学力の低下は負の財産としていまだに学生の上に根強く影を落としている。今までの共通一次テスト、センター試験においてもマークシート方式を採用し、考える力がなくても暗記力中心の学習で高得点を取れば二次試験の点数が低くても国立大学でさえ合格することが可能だった。
今回の大学入試改革は暗記型から思考型へ、受動型から能動型へと教育を変えることを目的としている。トップダウン型教育から協働型教育に教育のスタイルを変えるための入試スタイルの変更と考えるべきだ。
ここで、これからの勉強法で留意しておくことがある。今後必要とされる人材を育て教育するのが大学の役割である以上、グローバル化・AI化していく社会に対応できる人材を育て教育することが大学の使命となる。
したがって、自分の意見を述べる時には、思いつきや身勝手な推測ではなく、根拠に基づいた論理的な考えを示す必要がある。今まで以上に考えの基礎となる知識・情報を処理する能力が求められるようになるだろう。語彙も豊富でなければならない。相手の言葉を理解し、考えに同調する能力も必要となってくる。そのためには基礎学力を徹底的に身につける必要がある。
身につけた基礎学力をTPOに合わせて応用し使いこなせるようにならなければならない。まず基礎知識を十分に学習し、与えられた知識を鵜呑みにせず、単なるまる暗記ではなく一度自分なりに吟味し、自分のものとする訓練を常に心がけることが重要になってくることを念頭に勉強に取り組んでもらいたい。
(栢原 義則/進学塾塾長)