災害時に「避難所に行けば大丈夫」とはならない可能性がある
首都圏で大地震などの災害が発生した際に、避難予定者数 約700万人に対して、避難所のゆとりは460万人分。240万人は、自宅避難を余儀なくされます。いまや報道から垣間見る「避難所生活のプライバシーのなさ」「トイレ環境の不整備」など、安心して身をおける環境ではないことは周知。とはいっても…「避難所に行けば、水も食料も寝床も、なんとかなる!」と、アタマの片隅で思っていらっしゃいませんか?
被害を最小限にとどめ、大切な家族を守る!そのために、自宅で、身の安全と安心な避難生活ができるよう工夫と準備をしておきましょう。内閣府による防災情報ページでは、首都直下地震避難対策等専門調査会によるレポートがまとめられていますので、参考にしてみてください。
参照:内閣府:首都直下地震避難対策等専門調査会
食料より重要な「排泄」!1か月分のトイレ対策が必要
突拍子ない例えかもしれませんが、海でヨット漂流した方が、何十日間も生き延びるという話を耳にします。ということは、乳幼児やシニア、病弱な方以外は、食料がほぼない状態でも、生き延びる可能性はあります。海ならば、そのままおしっこもできますが、マンションではさて、どうでしょう。
ライフラインで、水道が復旧するまでに何日くらいかかるでしょう。あらためて、考えてみてください。東京都の想定は、上下水道の復旧は約1ヶ月。でも、阪神淡路大震災では、上下水道90日ストップした事実があります。1ヶ月以上、水が流れないわけですから、トイレも1ヶ月分の対策を練らなければなりません。
1か月で排泄する尿の量は45リットルにも!
災害時には、余分な水分は取れないと思いますが、換算してみましょう。日本腎臓学会によると、成人した健常者が1日で排泄する量は1リットル~1.5リットルとのことです。大まかにイメージしてみると、1日5回×300㏄=1.5L 。1か月分では、それが30本。または500mlのペットボトルとすると“90本分”にも及ぶ量になります。
参照:一般社団法人 日本腎臓学会
トイレにはゴミ袋より【湯桶】がおすすめ・ベストアイテム
一般的には…「トイレに、不透明なゴミ袋(黒やブルー)(45L)を二枚重ねで敷き、 消臭凝固剤を入れる」とよく書かれています。
でも、45Lの大きなゴミ袋では、扱いにくくありませんか? ワタシには、とても扱いにくく、家族4人分の尿を持ち上げると思うと…毎日、悲壮感が漂ってきます。そこで、えみ流にトイレ備蓄をお勧めしているベストアイテムが【湯桶】です!さらに、夏場になると、臭いが大変! そこでストック用に【カーゴ】を準備。さぁ…こんな感じでいかがでしょう。
ひとりで楽々!湯桶を使ってトイレ臭を最大限に抑える方法
では、具体的に湯桶を使った排泄処理について方法を解説します。
1.湯桶にあわせた【ポリ袋】を二重にかぶせる。
(ご注意:湯桶の直径にあわせたポリ袋を用意すると、小さくきつくて、かぶせられないケースがあります。円周のゆとりを考えたサイズを購入下さい。)
2.【湯桶】(片手で持てるタイプ)→さっと差し込み、ここに用を足す。湯桶は、100均にいろいろありますが、底がななめになっているものではなく、平らなタイプのほうが、置いたときに安定しています。
3.【トイレ凝固剤】で固める→個別包装で、袋ごと溶けるタイプが、手も汚さずハサミも使わず便利です。(1人あたり1日5回×30日=150袋用意しておきましょう)
4.ポリ袋を縛り、【臭いの出ない消臭ゴミ袋】へ入れる。(1日5回×30日=150袋)なお、使用するゴミ袋の大きさは家族の人数によって異なります。
5.さらに【厚手ゴミ袋】にまとめる→薄いゴミ袋では、破れて悲惨なことになりかねません。
6.ベランダや敷地の外に【プラスチックのカーゴストッカー(カーゴトランク)】を設置し、その中に貯めておく!
※排泄には、「便」も想定して、トイレットペーパーやウエットティッシュの備蓄を心掛けたいです。
以上です。以前は、「片手鍋」や「持ち手つきのサラダボウル」をあてて使っちゃう!と考えていましたが、さすがに料理で使うものですから、【湯桶】がベストに君臨したというわけです。
湯桶を使う理由は「手間がかからずラクになる」から
湯桶を使う理由・・・それは、トイレそのままより、「受け」があった方が、手間がかからず、絶対にラクだからです! 夏は強烈な臭いを覚悟! 普通のゴミ袋じゃ、薄いと破れちゃう! 破れると大変! だから、【厚手】のゴミ袋と防臭袋で対策しなきゃ…と工夫をこらしてみました。
(橘田 えみ/整理収納コンサルタント・防災備蓄1級プランナー)