夫のことがストレスで妻が体調を崩す「夫源病」
タレントの上沼恵美子さんが、8年前からめまいを感じ病院に行き、ストレスの原因が定年後、家にいる夫に対し、仕事をしながら家事もこなす妻としてのジェラシーがストレスの原因「夫源病」と診断されたそうです。
これは昔からよく言われることで、仕事一筋で来た男性は定年して、一気に時間を持て余し、外との関わりがなくなり妻へまとわりつくという女性である妻の立場からの見解はよく聞くのですが、男性側の見解も示されました。
大阪大学招へい教授で医師の石蔵文信氏も過日の講演で夫の言動が原因で体調不良となる「夫源病」と提起され「熟年離婚と夫源病(ふげんびょう)~妻に捨てられないための五箇条」と題し夫婦関係を長く続けるコツを語られました。
この講演を聴いたトヨタレンタリース佐賀専務 秋葉秀則さんの夫側からの見解は妻のお荷物にならないように、料理教室にも行こう・・・とは、非常に貴重な声で、妻とのコミュニケーションを増やす事にもなると、素直な意見を書いてらっしゃいます。
参考:佐賀新聞LiVE(http://www.saga-s.co.jp/articles/-/194157)
60の手習い…今さら、料理は妻に適うはずはないけれど、そうしたことに気付いてくれる「気持ち」が妻には嬉しいのです。もちろん、夫が台所に立つことを喜ばない妻もいます。そんな事をして台所を汚す?より、家の掃除を手伝ってくれた方が助かるという妻の場合も、話せばそれくらいの希望は解ります。
「話せばわかる」ことはとても多い。コミュニケーションの重要性
女性は一日2万語しゃべらないとストレスがたまると言います。片や男性は6000語。妻の悩みには「夫が話を聞いてくれない」というのも多い。朝刊を顔の前に立てて広げ、妻の話に、新聞越しで相槌を打っていた夫は、新聞を置いてゆっくり妻の話に耳を傾ける時間はあるはず。時には、妻も夫とランチデートしたいかもしれない。夫には余り興味のない植物園めぐりを付き合ってほしいかもしれない。要はそんなことぐらい、話せば解るのです。
すべての基本は、コミュニケーションだと思うのです。私の知人で、妻が「おいしい牛乳」を買ってきて、と夫にお使いを頼みました。
そして夫が普通(他のメーカー)の牛乳を買ってきたので、ちょっと揉め事になりました。妻は「おいしい牛乳」という銘柄のものを指定したつもりだったが、夫は「どの牛乳でもおいしいだろ」と考えたと言い、妻はいつも冷蔵庫にあるのは「おいしい牛乳」という銘柄だと揉めたというのです。
男性はそんな細かいところは見ていないのですが、妻は伝わるだろうと思っているのです。これもひと言、「某メーカーのおいしい牛乳という銘柄の物を買ってきて」と言えば済むのですが、相手は言わずとも解っているはずという誤解です。
ストレスの原因は、大部分、分かり合えないという事から構成されます。解りあうためには、コミュニケーションが大切だと、世の男性が最近はわかってきています。それなら妻も「話し方」が上手くなる必要があります。
「どう話せば相手が理解しやすいか?」を考えて工夫しよう
私も時々、相談者の妻は何を伝えたいのか苦労することがあります。事実を伝えたいなら、時系列で話して欲しいのですが、長い夫婦の歴史の中に、「こんな風に思ったのに夫がわかってくれなかった」という感情の話が混在し、事実と想像と感情が混じり、お話がとても渋滞します。
女性の話は、とかく話し方が下手であっちこっち行きます。友人になら「それで何が言いたいの?」という風に言いたくなります。声のトーンも大切で、キーキー声はもっての他。
伝える側は、相手が苦痛にならない話し方を心がけないといけません。
妻は「どうして分かってくれないの?プンプン」ではなく「どう話せば理解がしやすいだろうか?」という工夫が大切です。
夫源病が、医療名かどうかはともかく、そこに至らない為には、夫婦の相互理解が鍵になります。もし夫が料理教室に通うなら、妻は「話し方教室」で、自分の意思が人にはどう伝わっているか?診断してもらうのも、いいかもしれません。
夫も不器用。妻も下手くそ。でも、お互い悪い人じゃないし、悪気はないのです。ケーキ入刀…結婚式で司会者が夫婦始めての共同作業といわれたように、50、60の手習いは本当の意味での共同努力。
今一度、これにチャレンジしてみませんか?でも、男性がエプロンをして慣れない手つきで包丁を握る姿って可愛いと思いませんか?お互いの努力を、「オッ!頑張っているな」と微笑ましく見てあげると、少なくとも「病」と名のつくものにはならないのではないでしょうか。
(村越 真里子/夫婦問題カウンセラー)