フランチャイズというビジネス・モデル
1950年代に、米国のケンタッキー・フライド・チキンによって創設され、日本では1960年代に不二家やダスキンによって移植され、1970年代にセブン・イレブンによって開花したといわれているフランチャイズ・システムですが、本質的にはフランチャイザー・サイドのニーズによって発生したということは明らかだと思われます。
一般的に、事業の権利や商標、ノウハウなどを提供する側をフランチャイザー(本部と称される)と呼び、受ける側をフランチャイジー(こちらは、加盟者・加盟店と称される)と呼ばれています。
フランチャイザー(本部)のビジネス・モデルは、より多くのフランチャイジー(加盟店)を獲得し、より多くのロイヤリティ(加盟費、指導料など)を得ることにあります。
一方、フランチャイジーにとってのビジネス・モデルは、フランチャイザーのブランドが簡単に手に入り、開業から運営にいたる指導を受けることで、フランチャイザーの持っているノウハウを充分活用できることで、独自に開業するよりも効率的な展開が実現できることにあります。
しかし、この両者のビジネス・モデルは利害が一致しなくなることも多く、多くはフランチャイザーの利益が優先することが多いものです。
コンビニなどますます発展しているフランチャイズの現状
フランチャイズ産業の代表的なものにコンビニがありますが、従前は“よろず屋”と呼ばれていたような多品種を扱う販売業は、今や独立店ではほとんど成立しなくなったように思えるほど、コンビニがノウハウを集約させました。
店頭展示方法、応答話法などのマニュアルの整備、POS管理。商品開発、広告宣伝、などのマーケティングとプロモーション活動は、独立店では到底対抗できないほどのノウハウを積み重ねてきました。
旧態依然としたフランチャイズもありますが、成功しているフランチャイズは、多かれ少なかれそのような独自性を獲得しているようです。
安易なフランチャイジー化は危険…事業予測をしっかり立てた上で参入を
事業そのものが販売業であろうがサービス業であろうが、その事業体の収支が成否を決定するわけですから、フランチャイザーにとっては立地や客層、競合状態によって成否が分かれることは言うまでもありません。
フランチャイジーからは、適切な助言、指導などが行われるのですが、最終的な収支はフランチャイザーの責任に帰結されるのです。
よって、フランチャイジーが提示した開業段階の収支予測が大きく外れたり、近隣に競合店が出現して収支が悪化したりすることがよく起こります。コンビニの場合では、同じブランドが近くに開業してカニバリズム(共食い)状態になり、問題になることもあるようです。
フランチャイジーに参入するにあたっては、単に儲かりそうだからという安易な思惑で参入するのはたいへん危険で、フランチャイザーとしての事業予測をしっかり立てた上で参入しなければ、思わぬ壁にぶち当たることも多いものです。
(内藤 明亜/経営危機コンサルタント)