組織率が低下している「労働組合」
「労働組合」と聞くと、一般的にどのようなイメージを持つのでしょうか。昭和であれば、徒党を組み、ハチマキを頭に巻いてプラカードを持ってデモ行進して会社と闘う姿をまず思い浮かべるかもしれません。
しかし、昭和20年代には50%以上だった労働組合の組織率が、20%以下に減少した今では、「労働組合」と聞いてもよくわからない人も多いと思います。そもそも「労働組合」とは、弱い立場である労働者が、労働条件の改善をめざして会社と対等の立場で交渉するために結成された組織です。
日本の労働組合には4つの形態がある
日本の労働組合には
1.企業別の労働組合 2.産業別の労働組合 3.職業別の労働組合 4.誰でも加入できる合同の労働組合などがあります。
会社から不当な扱いを受けたときに、①②③のいずれの組合にも加入できない人は、④の合同組合に加入し相談することになります。
労働組合は簡単に作ることができます。組合ですので一人では組合になりませんが、仲間が一人でもいて規約を作ってしまえば労働組合として認められます。
労働組合として認められれば、会社に団体交渉を申し入れることができ、会社は誠意を持って交渉に応じなければなりません。会社から不当な扱いを受けて、個人でいくら交渉をしても受け入れられなかった場合でも、労働組合に加入して組合の代表者から交渉を申し入れてもらえば、会社と対等な立場で話し合うことができるわけです。
どこにも相談できない人、どこに相談したらわからない人にとっては、とても門戸が広くて敷居が低い、高級ブランド店ではなくてコンビニのような存在です。
合同労働組合は個人商店のようなもの 悪質な組合に注意!
しかし、合同労働組合は個人商店です。コンビニのように、どこに加入しても一定のサービスが受けられるわけではありません。相談者の話に耳を傾け、就業規則、雇用契約書や給与明細などから客観的事実を調査し、理性的に交渉に臨んでくれるところもあれば、まともに話もきかずに丸腰で会社にどなりこんで、結局は相談者がもっとつらい想いをするということもあります。極端な例かもしれませんが、まともに話し合おうともせず、会社を脅してお金だけ取ろうとするような合同組合も存在します。
簡単に作れて誰でも加入できるということは、悪質な労働組合でも簡単に作れてしまうということです。合同労働組合に相談せざるを得ない状況になってしまったら、安易に誰でも受け入れてくれるところに駆け込むのではなくて、ホームページなどで調べた上で、信頼できそうな合同労働組合を選ぶことが大切です。
お互いに助け合う気持ちを持って加入しよう
また、組合とは加入している人達がお互いに助け合うものです。労働組合も例外ではありません。自分が困ったときに助けてもらうのですから、他の組合員が困っているときには、自分も組合の一員として活動するのは当然のことです。自分の利益だけを考えて加入するのではなく、仲間の利益のことも考えることを前提に加入を決めることが必要です。
(小倉 越子/社会保険労務士)