9月〜10月、不登校児童・生徒などの子ども達のサポートをする者としては、この時期は、最も子ども達の動きと心に目を向けなければならない時期です。というのも、以前から夏休み明けの前後は子どもの自殺が増える傾向があります。現実に、私が代表を務めるフリースクール「こころ応援塾」でも、9月〜10月が 相談や入塾の数が最も多くなります。
不登校となり、私の元へとやってくる子ども達は、性格はそれぞれですが、「不登校になってやったぜぃ!いえ〜い!」という子は、当たり前ですがいません。
「間違った引け目」を持ってしまいがちな不登校児と親御さん
全員に共通しているのものがいくつかあります。そのうちの一つが、「間違った引け目を感じている」という事。学校に行かない自分は悪いことをしている。ダメな人間だ。サボっていると思われていないか?などなど、マイナスな感情を抱いてきます。この「間違った引け目」は、一緒に来る親御さんにも多くみられます
この「間違った引け目」の原因は何でしょうか?それは 「義務教育の意味を間違っている」からです。多くの子どもは、義務教育とは「子どもは 学校に行く義務(決まり)がある」と思っていますが、そうではありません。
義務教育とは、我々大人・社会が、子どもが学びたい!と思った時に、いつでも平等に学べる環境を与えてあげるというものだと、私は理解しています。
そう考えると、今は学校には行けない(行かない)と言う 子ども達には 何の責任もありません。また保護者側も、きちんと制服を買い、ランドセルを買い、鉛筆や体操服まで準備をし、いつでも学校に行けるサポートをしているのであれば、何の責任もありません。
そう、不登校は、子どもも、親も、「悪い」ということはないのです。もし、学校に行きたいという子どもを羽交い締めやタックルをかまし登校を妨害する大人がいれば、それは やっつけなければなりません。
まずはこの事を理解してもらう事で、子ども達・保護者の「間違った引け目」を取り除くことが 私が行う応援のスタート地点です。
学校に行かないことでの将来への不安…それはなくて大丈夫!
共通しているもう一つが、「学校へ行かないことでの、自分の将来への不安」です。口では「学校なんて意味がない」「勉強しなくても構わない」「友達なんていなくても」と口にする子どもも居ますが、本音では、「学校に行かなくて ちゃんと大人になれるの?」「自分の未来は大丈夫?」と考えている子どもは多いです。
この本音に対しても 最初にきちんと伝えます。
「このまま1日も学校に行かなくとも、卒業証書はもらえます!」
「学校に行こうが、行かまいが、君の人生にマイナスもプラスもない」
学力が人生のプラス材料になるのであれば、世の中には 優れた参考書も溢れ、ネットでも勉強はでき、最高の学習塾だってあります。自分なりの勉強をすれば良いのです。
友人関係が人生のプラス材料になるのであれば、学校以外にも習い事や、公民館でのサークル活動などなど、世の中にはたくさんの仲間づくりに繋がる活動があります。
もちろん「年齢が幼いと、日中の面倒は誰がみてあげるの?」などなど、現実的な問題もありますが、それを除いての意見として、もう一度言います。
「学校に行こうが、行かまいが、子どもの人生にマイナスもプラスもない」
私は、そう思います。
時間の使い方を大事に、「成長すること」を手放さないで
ただ、学校に行かない子どもも、サポートする側も考えないといけないことがひとつあると思います。それは「時間」というものは「過ぎる」ものはではなく、「使う」ものということです。
学校に行かない選択をするのは自由。ただ、「成長すること」を手放してはいけないと思います。行かないなら、行かないなりの学校では学べない、行かないからこそ成長できる学び、自分に合った成長できる時間の使い方は忘れてはいけません。
子ども達のゴールは「今」ではなく、「未来」です。
未来に向けて 「今」「できる事」は 必ずあるのです。
不登校は決してマイナスなものばかりではありません。自分自身や未来を見つめ直し、成長できる時間として 少しでもプラスな目線から時間を使って欲しいと思います。
もし、子ども自身、親子で時間の使い方が分からない場合に、我々のようなフリースクールや行政が行う支援機関があるんです。遠慮なく使って欲しいと 心から思います。
今、時代は学びの変換期に来ています。全員が同じ学校に行って、同じ学び方をするのは、時代遅れになってきているのかもしれません。
子ども達が、自分のペースや性格に合わせた学びを選べるようになるまで もう少し時間がかかりそうですが、「自分らしく」「今」「できる事」一緒に探してみませんか?
(つだ つよし。/心理カウンセラー)