今回は、中国の人たちとの宴席時の着席、お酒やタバコのマナーについて解説します。
宴会時はホストが上座、そして割り勘はありえない
個室での場合もそうでない場合でも、ホスト(=お金を支払う人)が必ず上座に座ります。
上座は入口から一番遠いところとおさえておけば問題ありません。グラスに他より大きなチーフが指してある場合もあります。ホストの両隣からゲストが座っていくというシステムです。
中国での宴席に「割り勘」はありえません。中国の人たちは「面子」をとても重視します。「ご馳走になるのは申し訳ないので、私にも払わせてください。」というのはご法度。楽しく料理やお酒を楽しみ、感謝すると大変喜ばれます。
中国の「干杯」は一気に飲み干すことが基本
中国では明るくおしゃべりをしながら料理やお酒を飲むということを重んじます。いくらビジネス上の会食だからと言ってビジネスの話ばかりは嫌われています。中国の人たちは、飲食をともにすることで個人的信頼関係を築きたいと考えています。食事に誘われるのは「個人的にも友だちになりたい」と思っているとみて間違いありません。
日本では乾杯ですが、中国では干杯(カンペイ)です。もし、列席者からお酒を注がれて「干杯」と言われたら、一気に飲み干すことが基本です。お酒の種類は、ビール・ウィスキー・ワイン・白酒や茅台酒(穀物こうりゃんを原料とする高アルコール度の蒸留酒)なんでもありです。
中身がなくなったことを確認するために、飲み干したあとは相手にグラスの底を見せましょう。盛り上がりが最高潮になると、お互いに腕を組みながら杯を空ける場面も出てきます。これらはすべて友情の証です。「私の杯を空けてくれた。」と喜んでくれます。
日本とは違う宴席でのタバコ事情
中国ではたくさんの人がタバコを吸います。上海ではレストラン等では全面禁煙となりましたが、それ以外の地域では食事とお酒とタバコはセットです。
面子を大切にする中国の人たちは、高級なタバコを嗜み、人にふるまうことが多いです。友情の証として、円卓に座る全員にタバコを振舞い、火をつけてくれます。結婚式に列席すると、箱ごと配ります。ときには、タバコを投げてくることもありますが、これは決して失礼なことではありませんので「謝謝!」の一言とともにありがたく受け取りましょう。タバコを吸わない方にも進めてくる場合が多いですが、火をつけてもらい吹かすだけでも相手は喜んでくれると思います。
日本とは大きく状況が異なることもあります。中国の人たちの宴席では、気を遣いながら食事をするより、食事をしながら会話を楽しむ方が相手にも喜ばれます。美味しいと思うものをどんどん食べると喜ばれます。その場を楽しむことで、ホストや参加者たちとの関係性も深まることでしょう。
(北 宏志/中国ビジネスアドバイザー)