無茶ぶりは成長につながることもあるが、キャパオーバーでつぶれることも
仕事というのは、必ずしも給料と正比例ではありませんし、平均的に配られるものでもありません。時には「無茶ぶり」と感じる仕事量や内容が降ってくることもあるでしょう。
がんばって期待に応えることで、自分自身の成長につなげることもできますし、上司や会社からの評価を上げるチャンスととらえることもできますが、一方でキャパシティーオーバーにより、一人で抱えてつぶれてしまう可能性もあります。
今季「獣になれない私たち」という日本テレビのドラマで、ガッキーこと新垣結衣さん演じる深海晶という女性は、いつも笑顔で仕事は完璧、誰からも好かれ、頼りにされています。そのため、会社では自分の業務範囲を超えた仕事がバンバンとトップダウンで降ってきますが、身を削る思いでこなしていきます。そんな彼女の姿に若干憧れる人はいるでしょうけど、幸せそうに見える人はほとんどいないでしょう。
「無茶ぶり」にはどう対応し、判断していくことが大切なのでしょう。
無茶ぶりかどうかは受け手がどう感じるかによって決まる
仕事を任せるとき、ちゃんとした上司ならいろいろなことを考えます。
・成長につながるのか
・やり遂げられそうか
・無理だった場合どんな回避策があるのか
・場合によってはチームを育てるチャレンジになりそうか
なかには、ノープランで自分の負荷軽減のために仕事を任せる人もいるでしょう。しかし、無茶ぶりかどうかは、結局のところ「受け手」がどう感じるかです。心理学で、ストロークというものがあります。人が人に対する反応をストロークといいます。表情、言葉、行動などです。そして、プラスのストロークか、マイナスのストロークかは、受け取る本人が「どう感じるか」によって決まります。
上司ができることは、普段から関係性を築くことくらいで、さじ加減は相手がどう感じるかなのです。関係性が築けていれば、意図の伝達や経過の「ホウレンソウ(報連相)」もちゃんとできることでしょう。
無茶ぶりされやすい人は自己愛が強いタイプ?
前述のドラマの主人公もそうですが、「自分って気づかい屋さん!」って思っている人で勘違いしていることがあります。それは気を使っている対象が相手ではなく、「自分がどう見られるか?」ということを気にしている自己愛が強いタイプです。
そういう人は、破滅の道に向かうとしても断れず引き受けてしまうので、結果として頼まれやすくなってしまいます。頼まれて、「こんな大変な私ってカワイソウ」なんて思っていても、その根源は自分で作っているのです。
無茶ぶりに対して本当の覚悟ができるかどうかが問題
信頼できる本当の覚悟というのは、「死んでもいい」とか「倒れてもいい」「自分はどうなってもかまわない」といった破滅的な覚悟ではありません。自分の最高のパフォーマンスを「継続」できるかどうかという覚悟です。前者は一見熱意っぽいですが、冷静に見れば信頼できないことが分かります。
本当の覚悟ができないのであれば、「相談」したうえで断ることです。いろいろな自責の念に駆られたとしても、自分の人生の責任を取れるのは、結局自分だけです。
本当の覚悟ができて引き受けるのであれば、結果に関係なく価値ある経験になるでしょう。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)