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コンビニの労働時間問題 営業時間短縮以外に考えるべきこと

JIJICO 2019年3月24日 7時30分

コンビニの本部が24時間営業にこだわる理由

コンビエンスストアの24時間営業契約を巡って、オーナーと本部の食い違いが話題になっています。労働時間短縮を柱の一つに掲げている働き方改革に逆行し、これだけ人手不足による過剰労働が問題視されているというのに、なぜ、本部は24時間営業にこだわったのでしょうか。

外から見ていると、「深夜なんてどうせ利用客が少なくて暇なのだから、営業しなくたって大して売上も落ちないだろう」と考えるのが一般的だと思います。しかし、コンビニのスタッフは、深夜は何もせずにレジカウンターに立って、いつ来るかわからない利用客を待っているだけではありません。コンビニには深夜にしかできない仕事(作業)がたくさんあるのです。

私は、長年大きなスーパーに勤務していました。店の規模こそコンビニとは違いますが、コンビニで販売している食品や日用消耗品には、衣料品や住居商品と比べて発生する作業が大量にあります。

例えば、入荷した商品の陳列です。コンビニで扱う食品や消耗品は、衣料品や住居商品の何倍も商品が回転(入れ替わり)します。棚に売れた分だけ商品を補充しなければ、店内はスカスカになってしまい、利用客は、せっかく来店しても欲しい商品が品切れしているため、がっかりして帰る破目になります。

しかも、商品は、ただ並べればいいというわけではありません。商品の陳列には「先入れ先出し」という大原則があります。先に入荷した商品を前に、後から入荷した商品を後ろに並べないと、賞味期限が短い商品がずっと在庫として残ってしまいます。通路いっぱいに段ボールを広げて行うこの陳列作業は、利用客が多い昼間の時間よりも深夜に行うほうがはるかに効率的ですし、利用客の買い物のじゃまになりません。

また、お弁当やお惣菜、パン等には消費期限があります。消費期限が切れた食品は廃棄(捨てる)処理をしなくてはなりません。捨てると言っても、ただごみ箱に放り込めばいいだけではなく、在庫数や金額の変更管理などの事務処理も発生します。そして、コンビニ客の多くが購入する雑誌には、販売期間が過ぎたものを出版元に定められた期限までに返品するという作業もあります。

他にも、店内の清掃とか段ボールの処分とか利用客には見えない作業があるのがコンビニ(というよりも小売全体)の仕事で、その多くが利用客の少ない深夜の時間帯に行われているのです。

営業時間短縮に加えて生産性向上を考えることが不可欠に

私が働いていた大型スーパーも、一時は24時間営業を積極的に行っていましたが、多くの店舗が24時間営業を取りやめました。しかし、陳列などの作業は、閉店後の深夜や開店前の早朝にも行っていました。お店を締めることによって利用客は減りますが、作業ができない時間帯が増えることによって、陳列や廃棄などの商品の管理が追いつかなくなり、利用客が離れていく可能性は多分にあると思います。

昼間のコンビニの品揃え、陳列状態を維持するためには深夜の作業は不可欠です。24時間営業の廃止は簡単でも、24時間体制を前提に作られた作業オペレーションの改革は容易なことではありません。

しかし、今は超人手不足と労働時間短縮の時代です。深夜の人員を昼の時間帯に投入して作業を行うなどの対応策を取る必要があります。深夜は時給が高くなるので、よりお金を稼ぎたい人にとっては、昼間の時間帯の勤務は好ましくないかもしれません。であれば、昼間の時給を上げることも考えるべきでしょう。清潔な店内に商品が豊富に陳列されていれば、間違いなくお客様は来てくれます。

働き方改革が謳っている生産性(作業効率や売上)を上げて、賃金(時給)も上げる。そんな仕組ができればいいのですが、とても難しいことは私も経験で知っています。しかし、今はそれを目指さなければいけない時代ではないでしょうか。

24時間体制が前提の作業オペレーションを見直すことが必要

私が働いていた大型スーパーも一時は24時間営業を積極的に行っていましたが、多くの店が24時間営業を取りやめました。でも、陳列などの作業は閉店後の深夜や開店前の早朝にも行っていました。少ないと言っても、利用客がいる限りはレジなどの接客対応はしなければなりません。

そして、その間は当然作業が中断されます。閉店によって売り上げは多少減るかもしれませんが、閉店している間は作業効率が上がり、少ない時間で作業を完了させることができるので人手不足の解消につながる可能性はあると思います。

しかし、24時間体制を前提に考えられた作業オペレーションの仕組みを変えるのは容易なことではありません。24時間営業の廃止はできても、作業を行わなくても済む時間帯を作るためには、現在の作業オペレーションの仕組みを見直すことが必要です。

(小倉 越子/社会保険労務士)

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