消費税10%に 知っておきたい新制度
10月1日、消費税が10%に引き上げられました。今回の増税では、増税によって家計が圧迫され消費が冷え込むことを懸念して、軽減税率やポイント還元といった新しい制度も同時に導入されました。それぞれどのようなものなのか確認しておきましょう。
軽減税率とは
生活必需品の税率を8%据え置きとする「軽減税率」。対象となるものは次の通りです。
●飲食料品
精米、野菜、精肉、鮮魚、乳製品、パン類、菓子類、ミネラルウォーターなど、食品表示法第2条第1項に規定する食品(酒税法第2条第1項に規定する酒類を除く)が対象。
●新聞の定期購読
一定の題号を用い、政治・経済・社会・文化等に関する一般社会的事実を掲載する新聞の、定期購読契約に基づく提供が軽減対象。なお、ここでいう新聞は、週に2回以上発行するものに限ります。
●一体資産(食品と食品以外が合わさったもの)
一体資産とは、食品と食品以外の資産が合わさって一つの資産になっているものをいいます(例:紅茶&ティーカップセット)。あらかじめ一体資産を形成していて、全体の価格のみを掲示している商品に限られるため、「よりどり3品○○円」のように顧客が自由に組み合わせられるものや、個々の価格を内訳として提示している詰合せ商品などは除外されます。
●テイクアウト
テイクアウトとは、飲食料品を持ち帰りのための容器に入れたり包装を施したりして行う販売のことをいいます。飲食設備のある場所で飲食料品を飲食させる役務の提供に当たらない単なる飲食料品の販売に該当するため、軽減税率の対象となります。
●出前・宅配
単に飲食料品を届けるだけで、指定された場所での加熱・調理・給仕等を伴わないため、軽減税率の対象となります。一方、ケータリング、出張料理は、加熱・調理・給仕等のサービスの提供に該当するため、軽減対象となりません。
●学校給食、老人ホームの食事提供
有料老人ホームや小中学校などで提供される食事(給食等)で、これらの施設で日常生活・学校生活を営む者の求めに応じて、その施設の設置者等が調理をして提供するもののうち、一定の基準を満たすものが対象。
軽減税率適用なのかどうか?線引きがわかりづらいもの
外食は軽減対象となりませんが、外食に当たらない飲食の提供は軽減対象となります。外食に該当する要件として、場所要件「テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備がある」、サービス要件「飲食料品を飲食させる役務を提供している」の両方を満たすという決まりがあり、要件を満たせば、食品衛生法上の飲食店や喫茶店以外による提供も外食に該当するため、軽減税率は適用されます。例えば、ファーストフード店でのテイクアウトは軽減税率が適用されますが、店内飲食は適用されません。
ポイント還元制度とは?
中小・小規模事業者からの購入などでキャッシュレス決済手段を使ったときにポイント発行がされます。実施期間は消費税率が10%に引き上げられる2019年10月1日から2020年6月までの9カ月間となります。還元率は5%(フランチャイズなどの場合は2%)です。
まとめ
消費税8%のまま購入できたり、ポイントが還元されたりと家計に嬉しい新制度ですが、軽減税率は適用の有無の線引きがわかりづらかったり、ポイント還元は大企業は実施対象外だったりと、注意が必要です。また消費税だけでなく、人件費や原材料費の上昇などによる物やサービスそのものの値段が上がっていることも、私たちの家計や将来を考えるうえで見逃せません。こうした景気の動向に常日頃から関心をもっておくことが、貯蓄力や家計管理力を向上させます。
(今村 浩二/ファイナンシャルプランナー)