人気落語家で、朝の情報番組の司会を務める立川志らくさんの妻が、弟子と不倫関係にあったと週刊誌が報じました。これを受け、番組で本人が「離婚することはない。この程度のことで家族の絆が崩れることはない」と述べました。
元アイドルの妻は、56歳の志らくさんより18歳年下の38歳。2人の子どもの母親で、落語家志らくさんの弟子を取り仕切っており、以前にも別の弟子と不倫関係になり、その際、この弟子は破門にされたようです。
妻の複数回に及ぶ不倫に際して、「私の監督不行き届き」としながら、「かけがえのない妻を世間の目から命がけで守る」と発言したことの真意が取りざたされています。
実際の夫婦間の事情は不明ですが、一般に夫が年上の年の差婚では、妻の浮気に対して、夫はこうも寛容になれるのでしょうか。
そもそも、年の差婚で陥りやすい心のすれ違いは、どこから生じるのでしょうか。また、年下妻の不倫から、離婚を回避するには、今後どのような努力が必要でしょうか。夫婦の浮気問題に詳しい村越真里子さんに聞きました。
寛容な夫と見える一方、自分を優位な位置において妻の逃げ場を封じ「離婚を言い出せなくなる状況」を作ったとも
Q:「この程度のことで家族の絆が崩れることはない」との発言について、自分が許せば離婚は回避できると思っているようにも取れますが、浮気をされた側のこのような発言には、どのような心理が働いているのでしょうか? -------- まず、自分が司会を務める番組の冒頭で、個人的な話と断りつつ「離婚はない。妻を守る」と宣言したことに、志らくさんの賢明で慎重な人間性を見た思いです。おそらく志らくさんは、「ここまで速やかに話したのだから、今後むやみに質問は受け付けない」と、ある意味宣言をしたのでしょう。
それと同時に、これは浮気をした妻に向けてのメッセージとも取れます。もし妻の方が離婚したいとしても、夫に離婚する意思がなければ、妻から言い出すことができなくなります。
また、公の場でのこのような発言は、妻の立場からすると、厳しい言い方ですが「一生、懺悔しろ」とでも言われたようなものです。オセロで言うと、四角を取って逃げ場を封じたような形です。
もし、そんな意図があるとしたら、志らくさんは、寛容すぎて情けない夫などではありません。モラハラ夫とは言わないまでも、むしろ自分の立ち位置を優位に置いた知能犯と言えるでしょう。
Q:複数回の妻の浮気について「妻の方は離婚したいのではないか」という世間の声がありますが、年齢的なすれ違いは避け難いのでしょうか? -------- あたり前のことですが、「物の道理」で考えると、包容力と安定した収入のある年上夫とは、相手に頼りがいを求め専業主婦を望むような従順な女性が、最も収まりが良いカップルになります。
ただ、道理はどうあれ、必ずしもそうではない相手に惹かれたりするものです。はじめの頃は、年齢差や性格の違いがかえって刺激的に思えても、時間とともに「素地」の違いが現れ、すれ違いが起こるのは当然です。
しかし、いくら「相性が良くない」「夫にモラハラがある」という場合でも、ほとんどの妻は何度も浮気を繰り返すようなことはできません。お互いの人生観の違いを融合する覚悟のようなものが緩かったのかもしれません。
Q:「かけがえのない妻を世間の目から命がけで守る」と発言したことは、寛容な愛情表現のようにも思えます。その真意は? -------- 本当に愛情に満ちた寛容さを持って発言したのなら話は別ですが、おそらくは「あきらめた」のではないでしょうか。被害者である夫が、妻を責めずに「許す」と言っているようで、実は反省や謝罪を含めて、相手に求めることを半ばあきらめたように思います。
離婚を回避するため、目をつぶることにして、実は許す側と許される側という構図を演出しているのです。しかし優位のはずの志らくさんの方が譲ったように見えて、夫婦間で不利なのは、志らくさんの方なのかもしれません。
本当に仲むつまじい結婚生活を続けたいなら、「許す」とか「許さない」の立場に立たないこと。妻が本当は何を求めているのかを知る努力をすることです。
夫は「なぜ、被害者の自分が努力をしなければならないのだ」と、憤慨するかもしれません。しかし、夫婦の間では、離婚されては困る、仲良く暮らしたいと強く思っている方が、より努力するべきなのです。
「なんなら別れてもいい」と思っている方は努力などしないでしょう。残念ですが、志らくさんの妻も反省をしているかどうかは疑わしいです。
Q:夫が年上の年の差婚で、破綻の危機に際しても結婚生活を継続していくためには、何が必要ですか? -------- 夫が理論的なのに対し、妻が感覚的、直観的、しかも肉体的な勢いにも差があり、年齢を重ねるごとに若い妻の方が「夫婦生活に物足りなさを感じている」などはよくあること。
志らくさんの場合、元アイドルの妻は、脚光を浴びていたステージから降りて家庭に入った途端、主役から脇役になってしまったようなもの。
一門を率いる立場の夫から理詰めで指図をされると、承認欲求が強いタイプの人なら、窮屈に思うことが多かったかもしれません。おそらく妻の浮気の動機は「もっと褒められたい」というものだったのではないでしょうか。
志らくさんの今後の浮気防止策は、妻をもっと褒めてあげて、主役にさせてあげることです。
一般に、結婚生活を円満に継続する秘訣は、自分の望む結婚生活についてイメージを明確にし、初心を忘れないこと。 年齢を重ねても、夫はスキンシップなどの愛情表現を怠らず、精神年齢を相手に合わせていく努力が必要です。
こういう努力と相互の理解が自然とできる夫婦なら、年の差はあまり関係ないのかもしれません。
(村越 真里子/)