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中小・小規模事業主が活用できるコロナウイルス対策の助成金、資金繰り支援まとめ

JIJICO 2020年3月25日 16時30分

新型コロナウイルス感染症拡大に対する自粛モードが広がり、多くの中小企業が影響を受けています。そんな中、国主導の中小企業支援策として資金繰り支援、助成金などが動き始めています。さまざまな支援策がある中、これだけは押さえておきたいポイントをお伝えいたします。

以下の新型コロナウイルス対策支援策をについて獲得の仕方や申請の仕方についても説明しています。 ①資金繰り支援:お金を借りて、危機を乗り越えよう ②ものづくり補助金で中国輸入対策を ③持続化補助金で販路開拓、ネット販売強化など ④IT導入補助金でこれを機にテレワーク導入や効率化へ ⑤テレワーク導入・休業の助成金の活用で人件費負担軽減

・補助金…主に経済産業省系の政策。すぐれた事業などを審査して交付されるもの。 ・助成金…主に厚生労働省系の政策。限られた条件にマッチすると交付されるものが中心。

ポイント①資金繰り支援:お金を借りて、危機を乗り越えよう

中小企業融資には信用保証制度と公的融資という大きく2つのルートがあります。

・信用保証制度…中小企業への融資が行いやすいよう、公的機関が保証を行います。返済が困難な状態に陥った際に、中小企業に代わって民間金融機関に対し代位弁済を行います。 ・公的融資…主に日本政策金融公庫や地方自治体による融資です。

新型コロナウイルス対策に使える信用保証制度と融資制度について 「セーフティネット保証4号」「セーフティネット保証5号」という二つの金融支援の政策が出されています。 また、日本政策金融公庫では「新型コロナウイルス感染症特別貸付」という制度が設けられ、小規模事業主に対する貸付が行われています。

それぞれについて説明します。

【セーフティネット保証4号】 幅広い業種で影響が生じている地域について、一般枠とは別枠 (最大2.8億円)で借入債務の100%を保証する制度です(※売上高が前年同月比▲20%以上減少等の場合)。

【セーフティネット保証5号】 特に重大な影響が生じている業種について、一般枠とは別枠(最大2.8億円、4号と同枠)で借入債務の80%を保証(※売上高が前年同月比▲5%以上減少等の場合)。

※保証の枠について注意ですが満額を借りることができるわけではありません。必ず適正金額を考えたうえで申請しましょう。保証協会の審査現場では満額申請が多く、手戻りが生じているようです。

セーフティネット貸付とは、外的要因により一時的な売上減少や取引高の減少などの業況悪化に対して国が設ける融資制度です。今回、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置として要件が緩和され、「売上高が5%以上減少した」といった要件に加えて、今後の売上減少が見込まれる事業者も融資対象に含まれます。

セーフティネット保証を受けるためには、市町村の窓口で認定証を受ける必要があります。売上の減少を確認するための形式的なものです。金融機関に行く前に準備するといいでしょう。

持参すべき書類は <法人の場合> ・昨年の合計残高試算表(毎月の売上が記載されているもの) ・前期の確定申告書ならびに決算書 ・今年の直近1カ月分の売上実績&今後2カ月分の売上予測表 上記4つです。

<個人事業主の場合> ・昨年の確定申告書 ・直近1カ月の売上がわかる資料(試算表があれば試算表) ・今年の直近1カ月分の売上実績&今後2カ月分の売上予測表 上記3つです。

【新型コロナウイルス感染症特別貸付】 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的に業況悪化を来している方で、 次の(1)又は(2)のいずれかに該当し、かつ、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれる方。

(1)最近1カ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方 (2)業歴3カ月以上1年1カ月未満の場合は、最近1カ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方 ① 過去3カ月(最近1カ月を含みます)の平均売上高 ② 令和元年 12 月の売上高 ③ 令和元年 10 月から 12 月の平均売上高

要件を満たせばフリーランスも対象となります。この制度では、設備資金、運転資金に対して無担保で融資が行われます。中小事業であれば当初3年間基準金利から▲0.9%、4年目以降は基準金利で融資を受けることができます。

また、業況悪化に応じて段階的な融資制度を行っています。さらに売上高が減少している場合には、特別利子補給制度を用いて無利子に近い融資を受けることが可能になります。

【マル経融資の金利引き下げ】 小規模事業者経営改善資金融資といって、商工会議所等の経営指導員による指導を受けた小規模事業主に対して、日本政策金融公庫が無担保・無保証人で融資を行う制度です。この制度に対して当初3年間通常の金利から▲0.9%引き下げに加え、措置期間を運転資金で3年、設備資金で4年以内に延長する特例措置を行っています。

ほかに旅館業や飲食業を営む方を対象にした「衛生環境激変対策特別貸付」制度などもあります。

うまく融資を受けるコツ 融資の基本は「返せる会社に貸す」ということです。慈善事業ではありません。ですので、紹介した制度は融資の基本に反した慈善事業的なものとも言えます。これはリーマンショックの際にも打ち出された政策で、急激な不況を防ぐために効果的な政策と言えます。

事業者にとってとてもありがたい制度ですが、信用保証制度は何よりも民間金融機関にとってもありがたい制度です。彼らは融資額の目標を持っています。今がチャンスとばかりに、通常の保証制度では貸せなかった既存顧客にアプローチをしています。これまで民間金融機関との取引がなかった事業者にとって、金融機関との取引を始めるには絶好の機会と言えるでしょう。

ここで、どんな企業は借りることができないのか、どこの金融機関に行くべきなのかといった疑問が生じると思います。

巷では、返済猶予(リスケ)や税金滞納中の企業は借りることができないとも言われています。しかし、担当者の情報ではどうも一概には言えないそうです。今の状況だけでなく、これからどのように業績を改善していくかを考え、説明できる企業であれば個別に判断されているそうです。

どこの金融機関に行くべきかですが、「なんでうちに来たの?」と不審がられないことが重要です。例えば、メインの取引先であること、預金口座を持っている金融機関、事業所の最寄りの金融機関であることが挙げられます。

ポイント②ものづくり補助金で中国輸入対策を

製造業の事業者であれば、材料が届かずに製造ラインが止まってしまうこともあるでしょう。それであれば国内で部品生産を始める必要が出てきます。または新たなビジネスチャンスとして部品製造に乗り出す企業もあるかもしれません。

そのための工作機械を購入する際に活用できるのが「ものづくり補助金(リンク)」です。経営革新等認定支援機関のサポートのもと事業計画書を作成し、審査を通ると補助事業として投資額の1/2が支給されます(最大3000万円)。例年の採択率は40%程度ですが、このたびのコロナ騒ぎで申請が減るようであれば、チャンスとなります。

2020年3月10日に公募開始、3月31日が1次締め切りとなっています(年間4回程度の募集)。経営革新等認定支援機関のサポートと押印が必要です。

ポイント③持続化補助金で販路開拓、ネット販売強化など

こちらも補助金の対象となります。店舗運営などのビジネスをされている方は販売促進の方法を見直す必要があるでしょう。こちらは「小規模事業持続化補助金(リンク)」が活用の対象となります。新規顧客獲得などへの投資であれば、投資額の2/3(最大50万円)が支給されます。例年の採択率は80%程度です。ご自身で申請することができますが、専門家のサポート・アドバイスを受けることをおすすめします。

2020年3月10日に公募開始、3月31日が1次締め切りとなっています(年間4回程度の募集)。地域の商工会・商工会議所を通じて、日本商工会議所への申請となります。

ポイント③④について共通しますが、補助金審査員を行った経験からお伝えすると、あくまで事業計画勝負なので「この投資をすると顧客に喜ばれる、ニーズがある」という視点の有無で大きく差が付きます。また社員数に見合わない壮大な計画だと作文感が出てしまうので、高い点は付けにくいものとなります。実現可能性を意識していきましょう。

ポイント④IT導入補助金でこれを機にテレワーク導入や効率化へ

新型コロナウイルス対策を機に、テレワークの仕組みを導入しようとする企業に対して助成を行っています。

【IT導入補助金】 中小企業のIT導入を支援する補助金です。従来は認定支援機関のサポートのもと、事業計画などを作成するものでしたが、2019年より、決まったIT製品に限定され、ベンダーが手続きを代行するものに変わっています。申請が急増した関係で、採択率は10%程度まで落ち込みました。

今年は新型コロナウイルス対策の意味合いもあるので、採択率は上がるのではないかとの予想もあります。こちらはソフトウエアベンダー主導の申請になりますので、ソフトウエアを選ぶ際に対象となる製品かを確認しましょう。上限は150万円です。

2020年3月13日に公募開始、3月31日が1次締め切りとなっています(年間4回程度の募集)。ITベンダーを通じての申請となります。定型フォーマットになります。

ポイント⑤テレワーク導入・休業の助成金の活用で人件費負担軽減

【時間外労働等改善助成金特例コース(テレワークコース)】 「時間外労働等改善助成金」に、新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取り組みを行う事業主を支援する特例コースが時限的に設けられたものです。

(1)対象事業主 新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規(※)で導入する中小企業事業主 ※試行的に導入している事業主も対象となります。労働者災害補償保険の適用中小企業事業主であることが必要です。

助成対象の取り組みは ・テレワーク用通信機器(※)の導入・運用 ・就業規則・労使協定等の作成・変更 ・労務管理担当者に対する研修 ・労働者に対する研修、周知・啓発 ・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング等です。

企業あたりの上限は100万円です。対象実施期間は2020年5月31日まで、申請期限は5月29日です。

【雇用調整助成金】 自治体の長が緊急事態宣言を出した場合や小学生の保護者の休暇取得に対し、有給休暇とは別に休業させた場合に給与の一定割合を補填するものです。休業者一人あたり日額8,330円が上限です。初めて申請する場合は、雇用調整を開始する日の2週間前までの申請となります。

なお、上記の2つの制度は急いで申請するのは禁物のようです。専門家の間での情報では、これまでしっかりと労務管理をしていなかった企業は申請時に労務管理の不備を指摘されてしまい、焦点が移ってしまうケースがあるそうです。まずは厚生労働省系助成金の専門家である社会保険労務士に相談し、社内の労務管理のルールなどを整える必要がありますので注意してください。

その他自治体別の取組(リンクhttps://j-net21.smrj.go.jp/support/tsdlje00000085bc.html?fbclid=IwAR2R4-Q-U1kTFrDUNQT6aXFtwCxvGp1ZGVplXApvUZOEDEzs1EnB98dDaiQ)

まとめ:補助金、助成金の積極的活用でコロナウィルスを乗り切ろう

以上ご紹介した補助金、助成金は毎年公募されているものも含まれています。今回のコロナウィルスがきっかけで知った人もいるかと思いますが、補助金や助成金は市況や政策に応じ毎年何かしらの支援策が公募されています。

まだ余裕があるという事業者でも積極的に活用していきましょう。焦らず早めに専門家に相談することをおすすめします。

(鈴木 崇史/中小企業診断士・経営革新等認定支援機関スモールM&Aアドバイザー)

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