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不妊は低体温が原因?日常生活の改善で不妊治療の成功確率は上がる?

JIJICO 2020年10月16日 7時30分

不妊治療の保険適用はごく一部 助成金は43歳まで

令和2年9月16日に就任した菅義偉首相が、少子化対策の一環として不妊治療に公的保険の適用を指示したため、厚生労働省は、令和4年度の診療報酬の改定に合わせて適用を拡大できるような具体策の検討に入っています。保険を適用する治療法、年齢、治療回数が主な検討課題になると報じられています。男性の精管閉塞や女性の子宮奇形などを手術や薬物療法で治療を行う場合には、既に保険が適用されており、患者の自己負担は3割で済みます。高額な体外受精の保険診療は認められておらず、原因が分からない「機能性不妊」も保険の適用外ですが、地域によっては助成金を支給しています。妻が43歳未満で夫婦の所得が730万円未満の場合、費用の一部が支給される制度となっています。保険を適用するためには、使用薬剤の適応が必要です。しかしながら、「人工授精、体外受精、顕微授精に使用して良い」と明記されている薬剤は、現在ほとんどありません。適応される薬剤は、一部の黄体ホルモンや排卵誘発剤のみにありますが、高度生殖医療に使える薬剤は殆ど無い状況です。そのため、鍼灸治療も保険適用の対象外です。不妊治療の保険適用が困難な背景には、妊娠・出産は病気でないという解釈が根底にあると思われます。妊婦検診、正常分娩には保険適用がありません。消費税3%が導入されたとき、当初出産は、その対象になっていましたが、「出産は消費なのか」という論争が巻き上がり、半年間で対象外となった経緯があります。従来、保険適用は難しい課題と考えられてきました。

身体の冷えや消耗を解消するために生活を見直してみたら受胎が可能に

保険の適用外となっている原因が分からない「機能性不妊」に対して、様々な治療が行われています。西洋医療のみならず東洋医療を行ってみたいという人も少なくありません。当院にも数多くのご夫婦が来院されています。正常な生殖機能を有していながら受胎出来ないご夫婦には、いくつか共通した問題点があります。その一つは、健康維持が難しい生活を、お二人またはどちらか一方がしているということです。妊娠は、女性だけの問題ではありませんので、夫婦の協力が必要です。海外には、男性に対して3か月以上前から酒を断ち、運動をして丈夫な精子が造られる様な指導をしている病院があります。一方女性は、受精卵を育てるために温かい身体であることが必要です。体温は36.5度以上ある人が望ましいと言えます。身体を冷やす生活を改めるだけで妊娠する例は少なくありません。薄着、冷たい物の飲食、身体を冷やす特性がある食べ物の多飲食の改善を当院では、常に薦めています。また、肉体が消耗する行為を避けることも大切です。30分以上の長湯、22時以降の入浴や食事、安静時の28度を下回る室温設定や日の当たらない部屋での就寝などを改善することが大切です。夜勤をしている女性は、妊娠する確率が低いため、日勤に変えることも重要な要素です。不妊治療を開始する前に、是非お試し戴きたいと思います。

規則正しい生活は不妊治療をしている方には必須です 東洋医学に基づいた養(よう)正(せい)治療(生活指導)が経済的にもおすすめ

不妊治療は、心と体と時間とお金の負担が大きいと言われています。心と体を調整する東洋医学は、規則正しい生活を行う際に必要な知恵を有しています。東洋医学に基づいた養生治療(ヨガ治療・生活指導)は、自然に即した生活方法の提案やカウンセリングを行います。日常生活の基本である睡眠・休養・運動・食事・社会環境を見直すことにより、受胎が可能になることは少なくありません。6時間以上の睡眠、1時間の労働中に5分程度の休息、毎日5分程度の運動、規則正しい時間に適度な量の食事、暖かい住居環境での生活を心掛けることにより、格段に受胎する確率は高まります。夜明けとともに行動し、日が暮れたら体を休める生活により、健全な生殖機能を育成することが期待できます。精子の活動が悪い男性には、毎晩酒を飲む・冷たいものの飲食を好む・フローリングに直接裸で寝ている等の生活をしている人が多く見られます。また、排卵日が特定できない女性には、薬物やサプリメントを多飲して内臓が疲労している・41度以上の湯船に毎日30分以上入っていることで体力を消耗している・おへそが出る洋服やミニスカートなどの薄着で生活している人が少なくありません。1つの卵巣が2カ月かけて1個の卵子を作り出します。左右で3個目の卵子を作り出すまでのサイクル期間である7カ月からもう一サイクル分の3か月を加えた10か月程度、規則正しい生活をする必要があると考えます。精子は短いサイクルで生まれ替わっていますが、女性と同等の期間くらい運動を行って身体を鍛え、お酒は控える生活をすることが重要だと考えます。この期間は、新しい命を育むための準備期間です。二人で子の誕生を願い、育児に関する知識を深めることは、親となる自覚を持ちお互いの信頼を強める事に繋がると認識しています。身体作りを行い、基礎体温を付け、規則正しいリズムになった後、排卵日またはその前日に受胎行為をすれば、新しい命を授かる確率は、経験上かなり高いと考えます。高額な高度生殖医療を行う前に、安価またはお手軽にできる改善方法がたくさんあります。具体的な生活指導方法を知りたい方は、東洋医学を専門に診療している医療機関でご相談いただくことも一考です。

不妊治療に対して鍼灸治療に優位性がある学術発表は医学ジャーナル誌等で毎年報告されています

東洋医学に基づいた養正治療・生活指導を行っている間、鍼灸治療を併用することにより、受胎する確率は一段と高くなります。男女ともに生殖機能が正常な場合の受胎確率は、40年近い臨床経験によれば、極めて高いと考えています。鍼治療は、精神状態が不安な方に有効です。妊娠しないことによる精神不安に伴う症状の緩解・消失が可能な医療です。灸治療は、低体温な状態にあり受精卵の着床が困難な方に有効です。お腹にお灸をすることで、腹腔内の深部温が上昇して妊娠する確率が高くなる医療です。生理痛がある方や性周期が不順で血液の流れが不良な方には、瘀血(おけつ)治療が効果的です。週1回半年から10カ月程度の治療で妊娠の手助けが期待できる東洋医療は、自由な時間に治療でき、ご夫婦お二人の健康管理が可能な医療だと思われます。お近くの鍼灸院でご相談されてはいかがでしょうか。お子様を希望される多くの願いが、一日でも早く叶うことを切に願っております。

(清野 充典/鍼灸師)

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