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ボーナスに固執して損してない? 副業からはじめて“複業”にする起業方法

JIJICO 2021年12月2日 16時30分

今年も冬のボーナスの時期が迫ってきました。昨年は金額を大きく下げた業種も多かったようで、「今年はどうなの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。それにしても、ボーナスがあることは大きな魅力ですが、大企業でもいきなり大きく減額となったり、中には急にゼロになってしまったりする企業もあります。それならば、このボーナス分を他の方法で得た方が将来大きく伸びる可能性があり、自由な生き方につながるのではないかと思っています。ここでは、副業からはじめて“複業”に発展させるという起業方法を紹介します。

2021年冬のボーナス見込み

一般財団法人労務行政研究所が発表したデータによれば、東証1部上場企業の2021年冬のボーナスの妥結額平均は、71万5553円(全産業平均)でした。これは対前年同期比では1.9%減となっています。実は19年以降、3年連続の減額です。3年連続と言うのですから、新型コロナ前から下がっていたことになります。では、一般的な民間企業はどれくらいなのかと言えば、第一生命経済研究所調べでは0.7%増の38万3千円。やはり東証一部上場企業との差は歴然で、数字を見て肩を落としている方も多いかもしれません。それなら、違う考え方をしてみましょう。

ボーナス分を副業で稼ぐという発想転換

ボーナス金額を毎月副業で稼げば、ボーナスが出なくても年収としては変わらなくなりますし、これを上回れば年収を上回る金額を得ることになります。「何十万円も稼げるわけがない」と考える人もいますが、そうでしょうか?仮に、第一生命経済研究所が発表した金額38万3千円が夏にも出されるとするならば、年間のボーナス額は76万6千円となります。これを12か月に分けると1月あたり約6万4千円。それほど難しい額ではないことがお分かりいただけると思います。

工業デザイナーがやりたい仕事をとはじめた副業

ある例を紹介します。30代の男性です。彼はもともと、工業デザイナーとして企業に雇われていました。デザインが好きではじめた仕事だったものの、数年たった頃から、「機能重視の工業デザインは面白みに欠ける」と感じるようになっていました。そしていつの日からか、「デザインをするなら、自由度の高いWEBデザインがやりたい」と感じるようになります。彼の月給は基本給と役職手当などを合わせて25万円。これに残業代がついて、月26~30万円程度(額面金額)を受け取っていたそうです。ボーナスは夏が1か月分と冬が1.5か月分。基本給に対して起算されるので、冬のボーナスでも37万5千円。月給に少し足したくらいの金額を受け取り、物足りなさを感じるようになります。そこで一念発起。かねてからやりたかったWEBデザインを独学で勉強し、副業をはじめることにします。冬のボーナスをすべて使って、高スペックなパソコンとソフトを購入。3か月間、ひたすら個人学習をし、必要なスキルを身に付けます。最初は実績がなく集客ができないので、個人のスキルを売り買いできる「ココナラ」と言うサイトに出品。最初は安い価格設定にして実績を作り、その後、徐々に価格を上げていきます。結局、当初の目標であった月10万円の売り上げをあげるために、月に1客集客すればよい状態になりました。

副業から“復業”へ

副業としてスタートする最大のメリットは、一定額の収入が確実に得られる状態から始められるという点です。起業したからと言って、必ず成功するわけではありません。そのため、最初に仕事を辞めて起業してしまうと、うまくいかなかったとき、生活費を得るためにアルバイトをすることになり、結局起業した仕事に集中できません。これでは本末転倒です。しかし、副業にはデメリットもあります。それはやはり、副業にさく時間が少ないこと。副業からもそれなりの収入を得られるようになってくると、そのバランスを考えなければなりません。それが、「メインの仕事とサブでする副業」という位置づけから、「複数の仕事をする体制」に変えること。つまり、副業から「複業」に変えるということです。

前出の男性の場合、WEBサイト作成の仕事の受注額をもっと高くしても月に1件の集客が可能だと感じた瞬間がその時だったと言います。そして彼は会社に退職を伝え、アルバイトとして週に4日働きはじめます。なぜ週4日だったかと言えば、当時の社会保険は正規雇用の4分の3以上の勤務が条件だったから。4日働くしかなかったのです。今後は令和6年にかけて社会保険の加入条件が段階的に緩和されるので、もっと少なくてもよくなります。注目すべきなのは、アルバイトの職種は「WEBデザイナー」だったこと。すでに世に送り出したサイトが10サイト以上あったので、経験者として採用され、時給も一般よりはかなり高かったそう。その後、彼はアルバイトも辞め、今では法人化してデザイナーやディレクターとして仕事をしています。収入は工業デザイナー当時の賞与を合わせた額の倍程度になっています。

副業からスタートするのに向いている業種

当然ですが、仕事内容によっては副業で取り組むのに向いていないものもあります。では、副業からスタートするのに適した仕事とは、どのような特性のものでしょうか?まずは、時間を問わずできる仕事。本業が終わってから取り組むのが副業の鉄則なので、夜間や週末が中心になります。それでも問題のない仕事にしなければなりません。また、将来的に単価を上げられるものにする必要があります。実績がない間は安い金額で受注する必要があるかもしれませんが、経験を積んだ後は、単価は上げたいもの。例えば、データ入力などは単価を上げにくく、収入を増やそうと思うと件数をこなすしかありません。これは避けるべきです。では、どのような職種が向いているのでしょうか? ここでは2つ挙げたいと思います。

クリエイティブ系の仕事

この記事で紹介した男性はWEBデザイナーでした。打ち合わせはメールやチャットですればよく、仕事をする時間は何時でも構いません。これは副業に適した仕事です。他にもライターやイラストレーター、プログラマーなどもあります。ただし、最低限のスキルと実績がなくては安定して仕事を受けることはできません。まずは、スキルを磨くことと、分かりやすい実績をどうやって作るかを考えてください。

講師業

講師業にもさまざまありますが、WEBを活用する場合でも、リアルに会う場合でも、相手と時間を合わせることが必要となります。そうなると、多くの人が仕事をしている時間以外の時間、例えば早朝と夜の時間を有効に使うことになります。この場合、社会人を対象にした自己啓発であれば、仕事が終わった後に受けたい人が多いですし、趣味のジャンルなら週末のオフを活用してやりたいという人が多くなります。大切なのは、受講生が「受けてよかった」と感じること。単に時間的に都合がよいからという理由でジャンルを選ぶと成功しません。

まとめ

ボーナスを得るのは素晴らしいことですが、それに固執することで、却ってチャンスを逃すことになっているケースもあります。ボーナスの額を見たうえで、自分のやりたいこととやりがい、将来的な可能性を考え、起業18式の“複業”を目指してみてはいかがでしょうか?

(新井 一/起業コンサルタント)

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