暑い夏に求められる熱中症対策 運動不足は熱中症を誘発する?
2022年7月は、暑い日が続いています。東京都では、1875年の統計開始以来観測史上最長となる9日連続猛暑日を2022年7月3日に記録しました。猛暑日が始まった6月25日以前は、20℃以下が4日あり、30℃を超えたのは3日しかありませんでした。涼しい日が続きまだ暑さになじんでいない時期に、突然暑くなりましたので、体温調節に労力を使います。熱中症に注意してクーラーを使用し始めた方が多いと思います。体温の上昇を防ぐために使用するクーラーは、一時的には良いですが、外気温との差が大きいため、屋外と屋内を出入りしているうちに、疲労が生じます。猛暑日が1~2日なら問題ありませんが、今回のように9日も続くと、内臓疲労が生じます。最近来院している患者様の話を伺うと、7月4日から数日間を起点に体調を崩している方が多い印象です。7月4日から涼しくなりましたが、それにも関わらず引き続きクーラーを使用し、飲食時に冷たい物を頻繁にとっている人は、免疫力が低下して来ます。
過去最長の8日連続猛暑日を記録したのは、2015年7月31日~8月7日です。過去の観測では、6月の猛暑日は殆どありません。6月末から35℃を超えるのは、地球温暖化が進んでいる証拠と言えます。また、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者も7月上旬から急増し、第7波に入りました。夏は、熱中症と感染症の2つに対して、予防策を講じる必要があります。厚生労働省は、熱中症対策をホームページ上に掲載しています。 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html
内容は、日常テレビ等で目にする情報です。 熱中症を発症する人は、 1.体内の水分量が低下している人 2.筋力が低下している人 に良く見られます。
1.に見られる人は、大量に汗が出ている人です。また、汗が出ていることに気づきにくい高齢者は、熱中症を引き起こしやすいと考えられます。
2.の人は、運動量が低下している高齢者、まだ筋肉量が少ない若年者、コロナで運動不足な大人の人です。筋肉は水分を貯留していますので、筋肉量が減少している人は、脱水状態を起こし易いので、要注意です。テレワークが中心になっている人は、筋肉量の低下を防止するため、毎日運動する必要があります。
体調管理にご興味がおありの方は、JIJICO内にある下記コラムを参考にして戴きたく思います。 「朝風呂や朝のシャワーは自律神経のバランスに影響?入浴で気を付けるべき習慣とは」
「免疫力アップに必要な体温維持。ウィルス対策に最適な室温維持と暖房機器の使い方、運動など」
就寝時のクーラー使用は注意が必要? 理想的な温度設定は何℃か
最低気温が25℃を下回らない熱帯夜が続いています。寝苦しいと感じている人も多いと思います。毎日クーラーの中で生活していると、体温調節する機能が低下していますので、窓を開けて寝ることが出来ない環境の人は、クーラーを使用して就寝することに違和感を覚えない人が多いようです。臨床経験上、常時クーラーの中にいる人は体調を崩しやすいと考えます。特に、就寝時にクーラーを一晩中利用している人は、以下の印象です。
31℃~28℃ あまり体調に変化を感じない 27℃~26℃ 体調不良を覚える 25℃~24℃ 腰痛や寝違えなど各関節に痛みを感じる 23℃~22℃ 内臓の不調を感じる 21℃以下 感染症を発症しやすい
設定する温度で体調に違いを生じているようですので、上記を参考にして戴きたいと思います。クーラーを使用していると、睡眠中体温を維持するために熱が生じますので、体内深部の温度が高くなります。そのため、暑くて目が覚めます。途中で目覚めた時は、体にほてりを感じます。ほてりを治めるには、団扇(うちわ)や扇子(せんす)が有効です。すぐ体温が下がりますので、入眠を得やすくなります。窓を開けることが出来ない環境でお休みの人は、扇風機を使い、寝室にそよ風が入る様な環境作りも、有効です。クーラーが苦手という人は、別な部屋でクーラーを付け、寝室のドアを開けて冷気がやんわり入るような方法を選択している人も、多く見られます。住環境に合わせた工夫の必要性を感じます。
クーラーの夜間使用と体調に関してご興味がおありの人は、JIJICO内にある以下のコラムをご参照戴きたく思います。 「就寝中のクーラーは体調不良を引き起こす?体温低下が招く危険性とは」
熱中症はクーラーを使用した室内でも発症する? 熱中症の症状が出たら最初にすべきことは何か
クーラーの中に常時いると、のどの渇きをあまり感じないため水分補給が不足がちになり、クーラーをしていても熱中症になることがあります。浜松市をはじめとした各自治体では、熱中症発生率は室内が一番多いという統計を受け、市民の認識を変えるための広報を行っています。また、発生の一番多い時間帯が午前11時台だということにも力を入れ、学校等に対策をするよう言っています。
熱中症の症状は、以下のようです。 I度 めまい・失神・筋肉痛・筋肉の硬直・大量の発汗 「立ちくらみ」や「こむら返り」が起きたら、熱中症を疑う必要があります。 II度 頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感 からだがぐったりする、力が入らないなどの状態になったら要注意です。 III度 意識障害・けいれん・手足の運動障害・高体温 呼びかけや刺激への反応がおかしい、からだにガクガクとひきつけがある、真直ぐ走れない・歩けないなどの兆候が出たら、救急搬送が必要な状態です。
Ⅲ度の状態であれば、自分で動くことは困難ですので、すぐ救急車を呼ぶ必要があります。Ⅱ度の状態であれば、自力で動けますが、悪化を予感するようでしたら、119番に相談することを勧めます。I度の状態で、体調の異変に気付けるかどうかが、一番重要なポイントだと思います。室外で仕事やスポーツなどに熱中していると、自分の状態に気付けず、深部体温が上がり、脱水状態を引き起こしている事があります。熱中症状態になったら、即座に水分を補給して、体温を下げる対策を講じる必要があります。水は、すぐ体内に吸収されません。ポカリスエットのような経口補水液は体内にすぐ吸収されますので、いざという時のために準備しておくことを勧めます。体温をすぐ下げるために、手足を冷水に浸けると良いでしょう。まず、手を水道水に数分かけ流しをしているだけで、体温の上昇を防げます。可能でしたら、額や後頭部を冷やしてみましょう。脇の下やそけい部(脚の付け根)を冷やすことも有効です。それでも症状が治まらないときは、専門医の受診が必要です。
熱中症を発症しないために日頃からすべきことは何か ヨガ(YOGA)をしませんか?
体温が36.6℃~37℃であることは大前提ですが、自分の体調を冷静に判断し、食欲、便通(1日1回以上)、尿の回数(一日5~6回程度)などに目を向け、自分が健康体であるのかを基準にすることが大切です。 排尿や排便の際異常を感じたことがないのに、尿が出せない、便が硬くて出ない場合や暑いのに汗が出ない状態の時は、水分量の低下を疑いましょう。直ちに、500ml~1ℓ水分補給すれば、脱水症の危機を回避出来ます。体温測定して、37℃を少し超えている場合は、体温の低下に努めましょう。 健康を維持するためには、
●運動…毎日5分程度運動する・週1回1時間以上運動する ●睡眠…毎日7時間半から8時間寝る ●休養…1時間の労働・活動をしたら5分から10分休憩する ●食事…規則正しい時間に食事する・22時以降飲食を控える
ことが基本的な目安になります。まずは、規則正しい生活を心がけましょう。暑い時は、室外での運動が困難です。こんな時は、ヨガ(YOGA)がお勧めです。毎日、5分から10分程度ヨガ(YOGA)をすれば、健康維持に役立ちます。
日中、気温が上がってきたら、室外にいる人は、特に午前中の直射日光を避け、日陰を探して体温の急激な上昇を避けるようにしましょう。大量に汗が出るようなら、要注意です。室内にいる人は、定期的に室温をチェックし、体感温度とのずれを確認しましょう。こまめに、水分補給することも大切です。定期的な換気も必要です。30分毎に5分くらいのこまめな換気がお勧めです。深呼吸をして、体が正常に働くように酸素を取り込みましょう。体温の上昇を感じたら、33℃程度の水でシャワーを浴びると、体温が下がります。一番気温が高い午後2時頃に浴びることが出来れば理想的です。赤ちゃんは、自分で水分を補給することが出来ません。泣いているとき、お腹の皮膚をつまんですぐ戻るようなら大丈夫ですが、3秒以上戻らないようなら脱水状態です。直ちに水分を補給する必要があります。授乳中であれば、母乳の補給が一番です。近年は、乳幼児用の経口補水液がありますので、いざという時のために用意しておくと便利です。
ここで、注意すべき点は、体を冷やし過ぎないことです。ビールや氷を入れた飲み物、冷やし中華、そうめんやアイスクリームなど、冷たい口当たりの良いものに手が伸びがちですので、体温の低下や胃腸の機能低下に注意が必要です。また、クーラーの使用は28℃以上にすることが大切です。身体を冷やし過ぎて、体温が低下すると、白血球の活動が低下します。免疫力の低下は、体内にあるウィルスの増加につながります。臨床経験上、20℃程度のクーラー内で毎晩風呂上りに冷えたビールを飲んでいるような人は免疫力が落ちがちです。免疫力が低下することで、新型コロナウイルス(COVID-19)や帯状疱疹ウイルスの感染症を発症している印象です。熱中症対策は必要ですが、免疫力の低下は様々な病気を誘発しますので、無理ない体温維持を検討する必要があります。
また、夜間の水分摂取は、内臓の疲労を引き起こします。22時から5時頃までは、体内に飲食物を入れず、内臓を休ませる必要が有ります。寝る直前や夜間に水分補給する事は、あまり好ましくはありません。眼が覚めるごとに水分を補給していると、腎臓や心臓の機能低下に繋がりますので、基礎疾患をお持ちの方は、夜間の水分補給に注意が必要です。扇風機を使用して体温の上昇を防ぐ、パジャマの素材を検討して体温の維持に努める等して、発汗を最小限に抑える工夫が求められます。
クーラーの使用に関してご興味がおありの人は、JIJICO内にある以下のコラムをご参照戴きたく思います。 「低体温の人は暑がり?クーラーの中で生活する本当の怖さとは?」
熱中症の治療に鍼灸治療が有効
熱中症を発症し、救急搬送された方は、退院後体調不良が続き、体力回復に1年以上要している人もいます。体のだるさや頭痛など日常生活に支障を感じる症状がある人には、鍼灸治療が有効です。治療をご希望の方は、お近くの鍼灸院か鍼灸師が勤務している医療機関にお問い合わせいただきたく思います。また、清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。 当院では、毎週木曜日にヨガ(YOGA)教室を開催しています。 清野メディカルヨーガ ヨガ(YOGA)は、いつでもどこでも出来る手軽な健康法です。開設して38年経過していますが、ヨガ(YOGA)の生徒さんは、皆元気に過ごしています。ヨガ(YOGA)をご希望の方は、お近くの教室を探して、運動する習慣を身に付けてみてはいかがでしょうか。
2021年11月より新型コロナウイルス後遺症に対する鍼灸治療や瘀血(おけつ)治療を行っていますが、鍼灸治療をする事で、体力の回復や症状の緩解が確認されています。また、帯状疱疹ウイルスを発症した際の神経痛に鍼灸治療や瘀血治療は有効です。体調管理をご希望の方は、是非、東洋医療をご検討戴きたく思います 帯状疱疹の治療に関してご興味がおありの人は、JIJICO内にある以下のコラムをご参照戴きたく思います。 「帯状疱疹に伴う神経痛になったときに選択する治療法について」
(清野 充典/鍼灸師)