「ヨガは心身に良い」と言われていますが、それはどのようなものでしょう。ヨガの実践によって得られるものは、落ち着き、安心感、溢れる活力、幸福感、自然体、など、メンタル面での効能が重宝されています。今回は、ヨガをすることで身体面にどのようなメリットがあるのか具体的に解説します。
身体がかたくてもヨガは出来るのか? ヨガを始めるかどうか検討されている方から、「身体がかたくてもヨガは出来るのでしょうか?」という質問をよくいただきますが、大丈夫ですとお答えしています。身体のかたさの度合いは個人の感覚によって異なりますが、かたいと感じる人ほどヨガをおすすめします。運動能力や柔軟性は、加齢だけでなく運動不足や偏った姿勢、生活習慣などによって失われていきます。今の生活に支障はなくても、身体の可動域が狭まることで老廃物が溜まったり、循環を阻害したり、基礎代謝や内臓の働きに影響を及ぼします。「健康」が損なわれる過程を「未病」と言い、その先に「病気」が待ち構えています。病気は、貴重な人生の時間と財産だけでなく、労力や精神的豊かさを損なう原因となります。ヨガは、健康で快適な人生を送るために、5000年前から我々子孫に継承され続ける先人からの贈り物です。筋力と柔軟性をバランスよく整えるので、意識して少しずつヨガの練習を実践すると、身体はどんどん健康になります。
未来を見据え、統合医療として注目される古典ヨガ インド政府には、2014年に発足したAYUSH省という伝統医学を推進する省があります。神奈川県は、米国ハーバード大学医学部などと共に、インドAYUSH省との連携・協力の覚書(MOU)を締結しており、今後さらにヨガが自然療法として生活に生かされる時代がやってきます。 ※AYUSHとは、Ayurveda(アーユルヴェーダ)、Yoga(ヨガ)、Unani(ユナニ医学)、Siddha(シッダ医学)、Homeopathy(ホメオパシー)の頭文字を表ます。
ヨガは、身体と精神の統合、思考と行動の制御、人と自然との調和を実現する療法として、時代や国を問わず伝承され続けています。しかし現代は、単なるエクササイズ的なヨガも多く、ヨガ本来の効能を提供できるヨガ指導者を選ぶことが大事です。少なくとも、ヨガ指導者本人の心身が健康かどうかはひとつの判断基準となります。健康とは?詳しくはこちらの記事をご覧ください。 古典ヨガを活用しての肉体と精神の健康づくり
ヨガ教室で、どんなことをするの? 基本的なプログラムをご紹介します 筆者のヨガ教室では、60分から90分かけてゆっくりしっかりと心身を整えます。椅子やプロップス(補助具)を使った練習も行います。 ① ヨガの座学:禅でいう法話。思考に気づきをもたらす ② 呼吸を整える:快適な座り方と呼吸法 ③ 準備:パワンムクターサナ。関節系を開放する ④ アサナの練習:シュクシュマビヤアヤマ。太陽礼拝・前後屈などの準備。アジャスト(お直し) ⑤ 太陽礼拝:12ステップで背骨や循環を整える(※太陽礼拝は基本準備運動ですが、慣れるまで少しずつ練習) ⑥ アーサナ:バランス、ツイストなど または フロー ⑦ リラックス:シャバーサナ(屍のポーズ) ⑧ 呼吸を整える:瞑想 ヨガは、子どもから高齢者まで老若男女を問いません。ヨガを始めてから身体が楽になったと言う感想を聞きます。教室を出て行く時の笑顔と歩き方を見ると、不調が改善されていることを感じますね。
身体機能の摩訶不思議 人間は、600以上の筋肉が体重の約半分を占め、骨は約200個、臓器は6個、全身に循環する血管を繋げると10万キロに及ぶと言われており、全体の60%が水分です。脳の指令により、その一つ一つの働きが相互に作用して、全体的(ホリスティック)に機能しています。ヨガの練習によって、目には見えない気の流れを促しながら、使っていなかった身体箇所への気づきをもたらし、内臓や脳を活性して全身を整えます。
ヨガによる身体的なメリットは、下記の通りです。 〈筋肉・骨格・関節〉腰、首、肩、膝痛などの緩和、コアマッスルの強化、柔軟性、腹部の引締め、姿勢矯正、骨盤調整、適正体重の維持など 〈脳・神経〉自律神経安定、免疫向上、集中力の向上など 〈肺・心臓〉肺の強化、全身への酸素量の増加、細胞活性、血色の向上、 適正な血圧、代謝促進、弾力のある血管、冷え性緩和など 〈分泌〉ホルモンバランスを整える、ストレスの緩和、良質な睡眠など 〈消化〉腸の活性、快便による美肌、老廃物のデトックスなど ↓健康な食べ方については、こちらをご覧ください 食事における食べ方を工夫することによって健康的な肉体を作る!
まとめ ヨガで身体が快適になると、健康不安が減少し、穏やかさ、幸福感などを味わうことが出来ます。顔色がよくなったり、瞳がキラキラ輝いたり、はじめは出来なかった練習がどんどん面白くなるのもヨガの良いところです。 こつこつ通える教室、信頼できるヨガ指導者を探してみて下さいね。メリットはゆっくりと現れるので、結果を急がず気長に、自分の身体と向き合う過程をお楽しみ下さい。 参考文献:『メディカルヨガYoga as Medicine』DR.Timothy McCall
(中里 えみこ/ヨガインストラクター)