健康維持に五感は大事!? 「体性感覚」って何? 2023年の立夏は5月6日(土)です。5月は、徐々に暑くなる季節です。 これから、夏日、真夏日、猛暑日という言葉が良く使われるようになる季節です。
夏日 1日の最高気温が25℃以上の日 真夏日 1日の最高気温が30℃以上の日 猛暑日 1日の最高気温が35℃以上の日
この言葉に聞き慣れると、猛暑日と聞いただけで、暑い日と思い込み、熱中症を恐れて冷たい物を飲み過ぎてしまう人が多いような印象を持っています。確かに35℃は暑いですが、35℃でも海沿いで風が強いところや山の木陰で強い風が吹いているところでは涼しく感じる場合があります。逆に、28℃でも湿気が多いと暑苦しく感じる事があります。暑さや涼しさを感じる感覚を、「体性感覚」と言います。「体性感覚」とは、触覚、温度感覚、痛覚の皮膚感覚や筋、腱、関節などに起こる深部感覚の事です。内臓感覚は含みません。目(視覚)・耳(聴覚)・鼻(嗅覚)・舌(味覚)などの感覚器以外で感知する五官(五感)感覚の一つです。真夏日や猛暑日という言葉だけ耳にして、自分の「体性感覚」を無視していると、体調を崩します。夏日、真夏日、猛暑日という言葉に惑わされず、自分の感覚(五感)を大切にした生活をする事は、健康維持の基本です。
ただし、病気をしている時は、感覚異常になっている事も考えられますので、健康な人と比較して感覚が大きくかけ離れている時は、体温測定してみる事も大切です。35℃を下回る低体温や発熱して38℃以上になっている事もあります。そばにいる人との感覚が異なっている時は、自分の「体性感覚」を疑ってみる事も大切です。
寒い部屋で生活している人や基礎疾患がある人は「体感温度」に狂いがある? 健康な人は、「体性感覚」に従えば、暑さや寒さを正常に感じる事が可能ですので、適正な生活環境の選択が可能だと思います。しかしながら、だんだん暑くなる環境の変化に順応するには、数日を要すると考えられています。その間は、「体性感覚」の一つである「体感温度」を大切にして、生活環境を注意する必要があります。環境の変化に早く順応するための対策としては、以下の事が考えられます。
1. 18℃未満の部屋で生活しない 2. 冷房を日中28℃未満で使用しない 3. 薄着をしない 4. 日光の当たらない部屋を寝室にしない 5. 冷たい物を飲みすぎない
5~6月は、体が暑さに順応していない季節です。基礎疾患を持っている人は、警戒レベルに達する気温が低い段階でも熱中症を発症しやすくなりますので、注意が必要です。暑さに体が順応していない状態で急激に体を冷やす事は、「体性感覚」に狂いを生じ、病気の誘発に繋がります。エアコンを使用する前に、
(1) うちわ 扇子や扇風機を使って風を起こす (2) 苦瓜(ゴーヤ)などの植物カーテンを利用して建物への直射日光を避ける (3) ゆったりした通気性のある服装を心がける (4) 運動して汗を出す
等、「体感温度」を下げる工夫をして、気候に順応する体を作り上げる事が大切です。 気候が安定しない時期は、気温や湿度に注意して、「体感温度」を大切した生活を心がける事が大切ではないかと思います。電力消費を抑えた自然に優しい生活は、体にも優しさを与えてくれます。
「体性感覚」が正常かを判断する方法はあるの?
「体性感覚」が正常かどうか自分で判断する事は難しいですが、目安として、自分の体に触って皮膚の感覚を確かめてみる事が大切です。
A. お腹が冷たい B. お尻が冷たい C. 太ももが冷たい
皮膚の上記部分が冷たい人は、深部温(体内の温度)の低下を意味しています。上記のいずれかもしくはすべてが当てはまる人は、暑さや寒さの変化に〈順応〉していない事が考えられます。 長年の臨床経験から、 冬期の室温は 安静時26~28℃ 食事時22~25℃ 活動時19~21℃ が良いと考えています。夏と冬の寒暖差は4℃が望ましいと考えられていますので、 夏期の室温は 安静時30~32℃ 食事時26~29℃ 活動時23~25℃ が良いのではないかと思います。28℃未満及び就寝時の冷房使用は、「体性感覚」に狂いが生じやすい傾向にありますので、目安にして戴きたく思います。
熱中症は外よりも室内で発症する人が多い事が分かっています。夏の室温については、JIJICO内にある下記コラムをご参照戴きたく思います。 「低体温の人は暑がり?クーラーの中で生活する本当の怖さとは?」 「就寝中のクーラーは体調不良を引き起こす?体温低下が招く危険性とは」
気候順応に鍼灸治療やヨガ(YOGA)療法は有効です 暑くなる季節や寒くなる季節は、気候の寒暖差が激しいため、体調管理が大変です。急激に気温が上昇すると暑く感じやすいので、クーラーを使用したくなる時期です。一般的に、気候順応には2~3週間程を要すると考えられていますが、鍼灸治療をする事によりその期間を短縮する事が出来ます。体温維持が難しいと感じている人や低体温でお悩みの方は、是非鍼灸治療(内外科治療)をお試し戴きたく思います。薬物治療(内科治療)や外科手術(外科治療)をした後に体調不良を感じている人は、身体の外側から内臓機能に働きかける事が可能な鍼灸治療(内外科治療)が有効ですので、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療提供施設にご相談ください。気候に順応出来る体作りには、運動法や呼吸法が有効です。ヨガ(YOGA)療法をご希望の人は、清野メディカルヨーガもしくはお近くのヨガ教室にご相談頂きたく思います。
(清野 充典/鍼灸師)