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家庭での発達障害児への関わり方

JIJICO 2015年7月16日 13時0分

発達には「社会性」「認知力」「計画力」など様々な側面がある

「会話が成立しない」「こだわりが強い」「突発的な行動をする」。これらは、発達障害者と呼ばれる子どもたちの特徴の例です。

発達には様々な側面があります。相手の気持ちを理解する「社会性」。視覚、聴覚、触覚などから仕入れた情報を処理する「認知力」。物事を順序だてて進めていく「計画力」。これらの能力はどれもが均等に発達するわけではなく、必ず「得意」「不得意」が生じます。発達障害とは、「得意・不得意の差が著しく、発達の偏りが強いことにより日常生活に支障をきたす状態」を言います。

家庭の基本的生活習慣の中にヒントが

では、このような子どもたちに家族はどのように関わっていけば良いのでしょうか。そのヒントが、家庭の基本的生活習慣の中にあります。

かつて子どもたちは家庭の中に役割がありました。弟妹の面倒をみたり、ご飯の準備や掃除を手伝ったり、家事の一部を担っていました。家事には人間の発育を促す様々な要素が含まれています。例えば「ご飯を作る」という家事には、「食べる時間から逆算して作り始め、限られた時間の中で仕上げる」という時系列の認知や計画力といった要素が含まれています。「洗濯物をたたむ」という家事にも、「分類、組み合わせ(靴下)」といった視覚による情報処理力が含まれています。家事の体験が、本人にとって著しく苦手な要素に働きかけ、日常生活に支障を及ぼさなくなってくるのです。

本人の得意分野の才能を信じて見守る姿勢が大切

また、家庭には「心のより所」という機能もあります。外でどれだけ失敗しても、「家庭の中では温かく見守ってもらえる」。その環境が、本人の得意な分野の才能を引き伸ばしてくれる要素にもなっています。かのエジソンが発達障害であったのは有名な話ですが、外からどれだけ非難されても、彼の著しい得意分野での才能を「親が信じて見守り続けた」という背景もあります。親が彼を見限っていれば、エジソンの大発明はなかったでしょう。

考えてみると、生まれた瞬間はみんな「発達障害」の状態です。相手の気持ちを理解する社会性もなければ、仕入れた情報を正しく処理する認知力も皆無に等しい。それを引き伸ばしてくれたきっかけの一つが、家庭の基本的生活習慣です。家庭の中には人の発育を促す要素が無限に存在します。発達障害を抱えた子どもに対しては、家の手伝いや心のより所を意識して関わっていくことが大切です。

その積み重ねが、日常生活での支障を少なからず減少させ、ひいては著しく得意な分野で社会に貢献すると私は考えます。芸術家・研究者などは発達障害者が多いというのも有名な話です。

(中原 崇/社会福祉士)

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