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杉野遥亮がTwitterアカウントを削除した“まさかの理由”。ファンも驚く正直者っぷり

女子SPA! 2023年3月29日 17時48分

『杉野遥亮の今夜もオフトーク』(TOKYO FM)の2023年3月14日放送で、パーソナリティの杉野遥亮が、Twitterのアカウントを削除することを発表した。

 意外な理由なのかなと思いきや、いやはや、いかにも杉野君らしいのだ。放送後、アカウントはちゃんと削除されている。この生真面目さあっての、『罠の戦争』(関西テレビ、毎週月曜日よる10時放送)蛯沢眞人役だと感じた。

「イケメンと映画」をこよなく愛する加賀谷健が、アカウント削除に込められた杉野遥亮の心境から、いよいよ最終話を迎える『罠の戦争』のクライマックスを考える。

◆アカウントを削除した“正直者の気持ち”

「この放送の後に、ツイッターアカウントを終了して、退会しようと思います。(中略)僕の仕事って、自分のことを自分で宣伝して、反応をチェックするんじゃなくて、自分自身に向き合って、出た表現で、みなさんにお届けすることだと思うんですよ」

 これが、Twitterのアカウントを削除した理由だ。この杉野遥亮らしさ、嫌いじゃない。SNSがコミュニケーションの中心にすらなっている今の時代、「怖いって思った」杉野は、そこから「その人っていう人を制限しているような気がして、そこから抜け出たいなと思った」とも言及。そこには文明批評的な鋭さがあるし、何より正直な人だなと思った。筆者も同意する。

 でも正直者が得をする時代ではない。大抵の人は、SNSをツールとしてうまく活用しようとする。ましてや芸能人だ。でも杉野君にはそれができない。中途半端が嫌いなんだろう。彼が感じる「怖い」は、ひとりの俳優が人間として感じた実感に基づく。嘘偽りのない、“正直者の気持ち”が何とも清々しい。

◆屈託のない純粋な選曲

 とは言え、「真面目か!」と思わずツッコミを入れたくもなる。それが杉野の微笑ましく愛嬌のあるところ。彼のピュアで、生真面目な性格は、インタビュー記事を読んでいると、よく伝わってくる。

 車好きの杉野が、「今、ドライブに誰かを誘うとしたら?」と質問されて答えたのが、「弟かな」だった(webメディア『JAF Mate』インタビュー記事より)。いいなぁ~、このシンプルな回答。質問されたときに感じた正直な気持ちが、弟とのドライブだっだけのこと。おまけに、同インタビューでは「夕焼けの中をドライブするときに聞きたい5曲」というドライブソングまで選曲してくれている。

 サンセット・ドライブ気分のプレイリストなら、全米チャートのTOP40ナンバーとか、すこしはチルかメロウなR&Bでも入れて大人な雰囲気を漂わせてほしいものだが、彼は違う。フォークスタイルの竹原ピストルの「Forever Young」など、骨太ロックを選んでくるあたり、カッコつけようなんて全然考えていない。屈託のない純粋な選曲だなと思った。



◆前髪のさりげないイメチェン

 カッコつけず、気取らない杉野の正直者キャラは、そのまま彼が演じる役柄にも通じている。演じる本人が実際に真面目で、役柄も誠実。こんな日本の俳優って、まさか高倉健以来?

 いよいよ緊迫の最終話を迎える『罠の戦争』では、杉野の性格がそのままストレートに表現されたような印象を受ける。彼が演じるのが、議員秘書見習い蛯沢眞人。名前からしてすでに正直者な感じ。ドラマ序盤での眞人は、大臣に陳情が聞き入れられずに自殺した兄の復讐を誓っていた。草彅剛演じる鷲津亨の周到な策謀によって大臣が失脚したあと、今度は議員に立候補し、当選した鷲津を献身的に支えることを約束し、私設秘書になる。

 第7話、事務所にいる眞人の髪型が、前髪を下げたマッシュから前髪を分けたスタイルに変わる。おでこが出て快活に、ぐっと爽やかさが溢れ出す。このさりげないイメチェンには、視聴者も好感度を急上昇させただろう。

◆眞人屈指の名場面

 眞人の誠実キャラを強調するのが、豊富な植物の知識である。外出中に植物を見ると、つい専門的な説明をはじめるのだが、これが何度も鷲津のピンチを救ってきた。大臣への復讐を果たしたあとは、鷲津から大学院に戻ることもできると提案された。ここまで親身になってくれた鷲津に今度は自分が恩返しをするんだと眞人は心に決めた。前髪をさりげなくイメチェンしたのは、眞人の誠実な決意表明の鮮やかな表現だった。

 鷲津の一人息子を階段から突き飛ばした犯人を探す途中でも眞人らしい瞬間があった。実は密かに恋心を寄せている先輩秘書の蛍原梨恵(小野花梨)と昼食をとる場面。その日はちょうど眞人の誕生日前日だった。聞き込みがてらのファミレスでも眞人は嬉しい。しかも蛍原のおごり。

 眞人は、自分の誕生日を覚えてくれていたことを心底喜び、しょうが焼き定食を頬張る。口元に肉の油がついているのに、蛍原の誕生日を気にする健気さが可愛すぎる。大きい身体を縮こまらせてソファ席に座り、すこし上目遣いなのもいい。食べることにも正直な愛されキャラが炸裂した眞人屈指の名場面だ。



◆ドラマを完結させる杉野&眞人

 でも、眞人は、肝心なことを知らない(はずだった……)。兄の陳情を直接聞いて事務的に処理していたのは、実は鷲津だった。それを知らず、鷲津への恩返しだけでここまでついてきた眞人が、真実を知ったとき、どうなってしまうのだろうかとずっと気がかりだったのだが。

 追う側から追われる側になった鷲津は、誰も信じられない四面楚歌の状態にある。蛍原や同僚議員の鷹野聡史(小澤征悦)など、仲間構わず疑いの目を向ける。眞人には早く真実を打ち明けるべきだった。息子の一件が収束したものの、鷲津は、眞人へ真実を打ち明けるタイミングを完全に逃してしまった。

 まだ真実を知らないかに見えた第10話のラスト、鷲津への内部告発的な嫌がらせの文書を書いていたのが、まさかの眞人だったと明かされる。鷲津に対する敵意をむき出し、糾弾の言葉を噛み締めるごとに息をふるわせる。眞人が「絶対に許さない」とはじめて声を荒げる瞬間、ああ、杉野君の気持ちがこの役にどんと乗ったなと感じさせる。それこそ、「自分自身に向き合って、出た表現」ではないか。

 誰よりも誠実であろうとする彼の魂の叫びだけが、鷲津の目を覚ましてくれるのか。ここにきてこの見せ場ありのクライマックス、杉野&眞人が、ここにドラマを完結させる。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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