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近年の二世俳優は単なる“七光り”ではないと言える理由。有名俳優・歌手の息子たちから考察

女子SPA! 2024年3月19日 15時46分

 1次審査真っ最中のジュノン・スーパーボーイ・コンテストで、今年は早くもひとりの応募者が話題を集めている。

 どうやら、その苗字、「谷原姓」にみんな反応してるよう。谷原章介の長男・谷原七音(20歳)が、ここに新たな二世俳優の才能として登場というわけだ。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメンサーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、二世俳優の黄金期の今、期待を寄せる逸材とは?

◆“二世俳優”が長く残れるかは本人次第

 二世俳優という言葉はあんまり好きじゃない。この言葉の響きはすぐ尾を引いて、あの嫌らしい表現を引き出すからだ。二世といえば七光り。七光りといえば二世みたいな。

 二とか七とかそんなのどっちだっていい。重要なのは、そう呼ばれてしまうにも関わらず、独自に輝こうとする(二世)俳優たちの努力と才能だ。二世だろうが、七光りだろうが、俳優の実力が試されるフィールドは、絶対的に平等。

 この世界、そんな甘くはないから。チャンスは他の俳優より多いかもしれないが、その後も長く残れるかは本人次第。するとどうだろう。最近の二世俳優たちは、皆が皆、揃って才能を持続的に開花させている。

◆“二世俳優の黄金期”到来か?

 筆頭格は、宮沢氷魚と佐藤緋美。そもそも二世だなんて前提で話を進めて申し訳ない……。彼らが、逸材中の逸材であることに、もはや異論はないだろう。

 宮沢は、元THE BOOMのボーカルだった宮沢和史を父に持つ。佐藤は、浅野忠信とCharaの息子。西島秀俊主演の『さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜』(TBS系・2024)で、チェリスト役を演じているが、静謐(せいひつ)な空気感は、浅野の朴訥(ぼくとつ)さに負けちゃいない。

 あるいは、市村正親と篠原涼子の長男である市村優汰も最近注目を集めている。どうやら2024年は、空前の“二世俳優の黄金期”に突入中じゃないだろうか。むしろ、二世万歳(!)の時代がきたのだ。

◆腹が据わったコメントに注目

 そんな時代の勢いを背景に、まだまだ他にも頼もしい才能がざくざくきている。今年もジュノン・スーパーボーイ・コンテスト(第37回)のエントリーが締め切られ、審査が始まっているが、ひとりの応募者が注目を集めている。

 ライブ配信サービス「SHOWROOM」で1審査中のその人の名は、谷原七音。プロフィールには、「俳優をやっている父の影響」と書かれ、谷原の苗字からネット上で考察が飛び交った。そう、彼は谷原章介の長男なのだ。

 対して彼はInstagramの投稿で「中には、生まれのことだったり、親に関することだったり、いろんなDMとか質問もいただいたんですけど、そこは僕は当たり前のことだと思っていますし、僕は僕なので、これからも自分がやるべきことは何も変わらないのかなと思ってます」と言及。

 筆者は特に「当たり前のこと」の部分にグッときた。好奇の眼差しにさらされようと、あまり気にしない。むしろ自分に関する事実それ自体が「当たり前」と言い切る、腹が据わったコメントとして読解すべきだ。

◆実父はいしだ壱成

 SHOWROOMプロフィール記載の好きなドラマには、『未成年』(TBS系・1995年)があげられていて、これは谷原出演作。主演はいしだ壱成。谷原といしだは兄弟役を演じたのだが、いしだこそ、谷原七音の実父だという事実。

 同プロフィールにある「父」とは、母の再婚相手である谷原でもあるだろうし、いしだでもあるというダブルミーニングなのだが、いや、それも本人にとっては当たり前のこと。

 ここ数年の応募者で、こうした芸能トピックを1次審査段階から提供するというのは珍しいし、“若手俳優の登竜門”と呼ぶにはすでに権威が下がっていると言わざるを得ない同コンテストに再び活気をもたらすかなとも思った。

 試しに過去10年間の応募者総数の推移を確認してみる。2013年から2017年までは増加。そこから2020年までは横ばいぎみに推移し、2021年からは減少傾向にある。数字から見える事実は、1988年から開催されている歴史同様に重く受け止めなければ。

◆コンテストでドラマが生まれることに期待

 2008年にファイナリストとなったのが、菅田将暉だった。稲葉友がグランプリに輝いた2009年のことは記憶にあるが、以降、めぼしい才能が輩出されたかというと、やや首を傾げてしまう。

 人気オーディション番組ならまだしも、お祭り的な審査ムードのコンテストに対して、SNS世代は、もはやあまり好機を見出さないんじゃないか。イケメン研究を続けてきた筆者にとって、コンテスト自体をオワコンと断じるのは保留にしたいところだけれど。

 昭和、平成と続き、令和に開催する意義を問い直す必要がある。2024年は、谷原の思わぬエントリーで話題が提供されたけれど、さっきの気骨ある気概のコメントは、コンテストの救世主を意味するかもしれず。

 彼が過去の実力派の才能に匹敵する逸材かどうかの議論は別にしろ、すくなくとも同コンテストが然るべき才能を輩出する未来にはつながる。二世俳優黄金期の真打ちに他ならない谷原七音が久しぶりにドラマを生んでくれるんじゃないかと、淡い期待を寄せてしまう。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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