彼があなたの誕生日に合わせて、密かに旅行の計画を練ってくれていたらとても幸せな気分になりますよね。
今回は、そんな楽しい気持ちをぶち壊しにされてしまった女性のエピソードをご紹介しましょう。
◆プロポーズされたいアピールをすると…
盛田亜沙美さん(仮名・29歳/派遣社員)は、大知さん(仮名・31歳/メーカー勤務)とお付き合いを始めて1年になります。
「最近私と同じ歳の女友達から、彼氏に『もうすぐ私の誕生日でしょ?プレゼントはプロポーズがいいな』とプロポーズの予約のような宣言をしておいたら、実際誕生日に指輪をプレゼントされたという話を聞いたんですよ。そしたら妙に私も焦ってきてしまって」
しかもその宣言をした時のリアクションで、その男性が自分と結婚を考えているかどうか明確に分かると聞き、亜沙美さんは「確かにもし結婚する気がないのならはやく別れたほうがお互いのためだし、ちょっと怖い気もするけど私も思い切って大知に試してみよう」と決意したそう。
「そしてある日大知の部屋で一緒に食事をした後で、私も全く同じセリフでプロポーズの予約をしてみたら『実は今度の亜沙美の誕生日に1泊旅行の予定を立てていたんだ。だからその時を楽しみにしていてね』とはにかんだ笑顔で言ってくれたので『やった!』と心の中でガッツポーズしましたね」
◆プロポーズ旅行の始まりは完璧
何も言わなくても大知さんが旅行の計画を練っていてくれたことが嬉しかったですし、リアクションも完璧だったので亜沙美さんはホッとしました。
「そして旅行先は大知が推していた江ノ島になり、私は『きっと海を見ながら…夕日の沈む砂浜とかでプロポーズする気なんだろうな』と勝手に想像してニヤニヤが止まらない日々を過ごしました。
SNSにも『旅行中に彼からアレされちゃう予感』などとつい自慢投稿をしたりして(笑)。女友達がいろいろとツッコミを入れてくれて盛り上げてくれました」
そして旅行当日、江ノ島に着いた2人は大知さんがおすすめだという高台の食堂に行ったそう。
「お天気にも恵まれて、海が一望できる絶景テラスで風に吹かれながら食べる生しらす丼とビールは最高に美味しくて、私も大知も超ご機嫌で最高のプロポーズ旅行の始まりって感じでしたね」
◆幸せの絶頂からドン底に
そして食事を終えた大知さんがトイレに立ち、亜沙美さんがひとりテラスでまどろんでいると、なぜか見知らぬ女性が隣に座ってきて…。
「最初は席を間違えちゃったのかな?と思ったのですが『亜沙美さんですよね?私、実は何度も大知くんとここでデートしでるんですよ』とスマホの待ち受け画面を見せられて…。確かにそこには大知とその女性がテラスで微笑む姿がありました」
亜沙美さんは混乱のあまり現状を理解することでいっぱいいっぱいになり、ただ呆然と彼女の話を聞くしかありませんでした。
「その女性が『とにかく大知くんはあなた以外にも私という女がいて、このままだと苦労するから別れた方がいいよ』としきりに言ってくるので、だんだんと悲しくなってきてしまい…。
なんでプロポーズしてもらえると浮かれていたのに、急にこんなドン底に突き落とされるような目に合わなくちゃいけないの?と思った瞬間、大知が鬼の形相でこっちに駆け寄ってきたんです」
◆3人で話し合い
すると大知さんが「なんでてめーがここに居るんだよ!ストーカーか」とその女性の腕を強引につかんで引きずるようにお店から出そうとしました。
すると女性は「プロポーズなんて絶対させない!!私との方が長く付き合っているのに~なんで~」と泣きじゃくりながら床を転げ回り大暴れしだし、ちょっとした騒ぎになってしまいました。
「なんだか同じ女性としてそんな彼女の姿を見ていたら、きっと本当に大知のことが好きでいつか結婚できると信じていたのに、裏切られた絶望が胸に突き刺さるように感じられて辛くなってしまったんですよね」
そしてお店の人達に謝り、外に出て3人で話をしたそう。
「どうやら大知は、私と付き合う前からその彼女に『別れてくれ』と何度も言っているようでしたが、結局は『絶対に別れない』と粘る彼女と定期的に会っては体の関係も続いていたみたいでした。大知は『そんなの嘘で、こいつの妄想話だ』と私に言い訳してきましたが、直感的に私は嘘をついているのは大知の方だと思ったんです」
◆彼氏の本性がかいま見えた瞬間
そしてその彼女に対する大知さんの冷酷な態度に、亜沙美さんは引いてしまいました。
「いくら揉めているとはいえ、その彼女を力任せにねじ伏せたり足蹴にしたり罵倒したりと…。それがいつもやっていますよって感じの慣れきったナチュラルな暴力というか、あぁこれが本性なんだろうなと怖くなってしまったんですよね」
実際のところ亜沙美さんは大知さんから暴力を受けたことは一度もありませんでしたが、今回の件をきっかけに大知さんと別れてしまったそう。
「私が『もう別れたい』と言って旅行の途中で帰って、そのまま大知からの連絡を無視する形で終わったのですが…」
さていったい何が起こったのでしょうか?
「その後、風の噂で大知と例の彼女が結婚したらしいと聞いて、正直ゲッと思いました。その瞬間パッと頭に浮かんでしまったのですが、もしかして大知が私に渡そうとしていた指輪を彼女に使い回したんじゃない?って。もしやっていたら本当に最低ですよね」と苦笑いする亜沙美さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
今回は、そんな楽しい気持ちをぶち壊しにされてしまった女性のエピソードをご紹介しましょう。
◆プロポーズされたいアピールをすると…
盛田亜沙美さん(仮名・29歳/派遣社員)は、大知さん(仮名・31歳/メーカー勤務)とお付き合いを始めて1年になります。
「最近私と同じ歳の女友達から、彼氏に『もうすぐ私の誕生日でしょ?プレゼントはプロポーズがいいな』とプロポーズの予約のような宣言をしておいたら、実際誕生日に指輪をプレゼントされたという話を聞いたんですよ。そしたら妙に私も焦ってきてしまって」
しかもその宣言をした時のリアクションで、その男性が自分と結婚を考えているかどうか明確に分かると聞き、亜沙美さんは「確かにもし結婚する気がないのならはやく別れたほうがお互いのためだし、ちょっと怖い気もするけど私も思い切って大知に試してみよう」と決意したそう。
「そしてある日大知の部屋で一緒に食事をした後で、私も全く同じセリフでプロポーズの予約をしてみたら『実は今度の亜沙美の誕生日に1泊旅行の予定を立てていたんだ。だからその時を楽しみにしていてね』とはにかんだ笑顔で言ってくれたので『やった!』と心の中でガッツポーズしましたね」
◆プロポーズ旅行の始まりは完璧
何も言わなくても大知さんが旅行の計画を練っていてくれたことが嬉しかったですし、リアクションも完璧だったので亜沙美さんはホッとしました。
「そして旅行先は大知が推していた江ノ島になり、私は『きっと海を見ながら…夕日の沈む砂浜とかでプロポーズする気なんだろうな』と勝手に想像してニヤニヤが止まらない日々を過ごしました。
SNSにも『旅行中に彼からアレされちゃう予感』などとつい自慢投稿をしたりして(笑)。女友達がいろいろとツッコミを入れてくれて盛り上げてくれました」
そして旅行当日、江ノ島に着いた2人は大知さんがおすすめだという高台の食堂に行ったそう。
「お天気にも恵まれて、海が一望できる絶景テラスで風に吹かれながら食べる生しらす丼とビールは最高に美味しくて、私も大知も超ご機嫌で最高のプロポーズ旅行の始まりって感じでしたね」
◆幸せの絶頂からドン底に
そして食事を終えた大知さんがトイレに立ち、亜沙美さんがひとりテラスでまどろんでいると、なぜか見知らぬ女性が隣に座ってきて…。
「最初は席を間違えちゃったのかな?と思ったのですが『亜沙美さんですよね?私、実は何度も大知くんとここでデートしでるんですよ』とスマホの待ち受け画面を見せられて…。確かにそこには大知とその女性がテラスで微笑む姿がありました」
亜沙美さんは混乱のあまり現状を理解することでいっぱいいっぱいになり、ただ呆然と彼女の話を聞くしかありませんでした。
「その女性が『とにかく大知くんはあなた以外にも私という女がいて、このままだと苦労するから別れた方がいいよ』としきりに言ってくるので、だんだんと悲しくなってきてしまい…。
なんでプロポーズしてもらえると浮かれていたのに、急にこんなドン底に突き落とされるような目に合わなくちゃいけないの?と思った瞬間、大知が鬼の形相でこっちに駆け寄ってきたんです」
◆3人で話し合い
すると大知さんが「なんでてめーがここに居るんだよ!ストーカーか」とその女性の腕を強引につかんで引きずるようにお店から出そうとしました。
すると女性は「プロポーズなんて絶対させない!!私との方が長く付き合っているのに~なんで~」と泣きじゃくりながら床を転げ回り大暴れしだし、ちょっとした騒ぎになってしまいました。
「なんだか同じ女性としてそんな彼女の姿を見ていたら、きっと本当に大知のことが好きでいつか結婚できると信じていたのに、裏切られた絶望が胸に突き刺さるように感じられて辛くなってしまったんですよね」
そしてお店の人達に謝り、外に出て3人で話をしたそう。
「どうやら大知は、私と付き合う前からその彼女に『別れてくれ』と何度も言っているようでしたが、結局は『絶対に別れない』と粘る彼女と定期的に会っては体の関係も続いていたみたいでした。大知は『そんなの嘘で、こいつの妄想話だ』と私に言い訳してきましたが、直感的に私は嘘をついているのは大知の方だと思ったんです」
◆彼氏の本性がかいま見えた瞬間
そしてその彼女に対する大知さんの冷酷な態度に、亜沙美さんは引いてしまいました。
「いくら揉めているとはいえ、その彼女を力任せにねじ伏せたり足蹴にしたり罵倒したりと…。それがいつもやっていますよって感じの慣れきったナチュラルな暴力というか、あぁこれが本性なんだろうなと怖くなってしまったんですよね」
実際のところ亜沙美さんは大知さんから暴力を受けたことは一度もありませんでしたが、今回の件をきっかけに大知さんと別れてしまったそう。
「私が『もう別れたい』と言って旅行の途中で帰って、そのまま大知からの連絡を無視する形で終わったのですが…」
さていったい何が起こったのでしょうか?
「その後、風の噂で大知と例の彼女が結婚したらしいと聞いて、正直ゲッと思いました。その瞬間パッと頭に浮かんでしまったのですが、もしかして大知が私に渡そうとしていた指輪を彼女に使い回したんじゃない?って。もしやっていたら本当に最低ですよね」と苦笑いする亜沙美さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop