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「プリンセスの日常が面白すぎる」三笠宮彬子様の留学記が大バズリ!愛子様ヘアも宮内庁インスタからバズるかも|辛酸なめ子

女子SPA! 2024年5月19日 8時44分

 皇室の扉がついにSNSに向けて開かれました。

 宮内庁がインスタグラムの公式アカウントを開設して約2ヶ月。開設したその日にはフォロワーが16万人を超え、5月中旬の時点では138万人ものフォロワーがいます。

 140万人前後というと、芸能人だと長友佑都、中町綾、山田優、みちょぱ、町田啓太あたりと同じくらいの人数です。今のランキングは195位。目立ちすぎず、奥ゆかしい存在感です。

◆「いいね!で天皇家と秋篠宮家が比較されないよう配慮」説?!

「天皇皇后両陛下のご活動等発信していきます」とプロフィール欄に書かれているように、基本は天皇家ご一家がメインで、園遊会など式典で他の皇族方が少しお写り込みになっている場合があります。

 一説には、「いいね!」の数が人気投票に見えてしまい、天皇家と秋篠宮家が比較されてしまうことに対して配慮されているとも言われていますが、真偽は定かではありません。

「いいね!」が際立って多いのは、「令和6年5月1日(水)、天皇陛下は、ご即位から5年をお迎えになりました」というコメントが付けられた、天皇皇后両陛下の格調高い御写真。見たら自然と「いいね!」を押してしまうオーラがあります。

 ちなみにコメントは基本的にシンプルな文章で、決して「#祝ご即位5年」「#記念写真」「#皇居」といったハッシュタグはつけられていません。ハッシュタグをつけたらもっと若者に届いてフォロワーも増えるかもしれませんが、皇室の品位を保つ点でも難しいところです。

◆「映え」というより、誉れ高い「栄え」

「映え」というより、誉(ほま)れ高い「栄え」の画像が投稿されてる宮内庁インスタ。

 中でも、特命全権大使が陛下に信任状を捧呈する「信任状捧呈式」の動画は、準備の場面から始まり、馬や馬車が木立を通って宮殿に向かうシーンは映画のように美しくて完成度が高く、一流のプロが作っている印象でした。

「園遊会」の動画も、雅楽の調べに乗せてその日出された料理がアップで映っていて、国民の興味や関心をひく構成でした。サーモンなどの前菜やお寿司やクッキーが整然と並べられていたのが印象的でした。

 天皇皇后両陛下と愛子様が栃木県の御料牧場を散策されている様子も投稿されていました。

 にこやかにうなずかれたり何か話されたりしているご一家。愛子様も笑顔で風景をご覧になっていて、三つ編みを一つ結びにされたヘアが上品でかわいいです。

 今、国民の人気が高い愛子様の動画は注目度が高く、このヘアスタイルもバズる可能性を秘めています。

 それにしてもご一家の会話が聞こえないほど、シャッター音が終始鳴り響いているのに驚かされました。

 皇族の方々はこんな風に多数のカメラに囲まれ、毎秒シャッターを切られ続ける中、自然に振る舞われるお姿を見せなければならないという、庶民には計り知れない大変さが伝わってきました。

◆三笠宮彬子様「プリンセスの日常が面白すぎる」とバズり

 いっぽう、自然体の文章がバズったのは三笠宮彬子(あきこ)様が2015年に出版された「赤と青のガウン オックスフォード留学記」。

 ドイツ在住の日本人女性がXの投稿で、「プリンセスの日常が面白すぎる」などと紹介した投稿がバスって、それがきっかけで文庫として再販されることに。彬子様が出版社に直談判されたことも手伝って、2024年4月にPHP文庫から出版され、話題になっています。

 女性皇族としてはじめてオックスフォード大学で博士号を取得された彬子様。天皇陛下と同じ、オックスフォード大学マートン・コレッジに留学されました。

 その経歴から、まじめで意識高い系の本かと思いきや、留学中のちょっとしたハプニングや論文執筆の大変さなどがユーモアを交えて書かれていて、とてもおもしろく読み応えがあるエッセイでした。

 論文は300ページものボリュームだったそうですが、この本も約400ページもあり、読みやすくて知的な文体で書かれていて、彬子様のお人柄や頭の良さが伺い知れます。章のタイトルも「苦学力行」「合縁奇縁」「一念通天」「日常茶飯」と、全て四文字熟語になっています。

◆エリザベス女王とお茶などプリンセスならではのエピソード

 エリザベス女王にお茶に招かれアフタヌーンティーをご一緒した話や、日本ではいつも一緒にいる側衛官が英国ではつかないのでさびしく感じる心境、寮のお風呂に入れる温泉の素を「侍女さん」に頼んで日本から送ってもらった話、といったプリンセスならではのエピソードにも憧れが高まります。

 お正月は皇室では「御菱葩(おひしはなびら)」という「丸い御餅の上に菱形の小豆の御餅、甘く煮たごぼうと白味噌が挟んである」やんごとなき和菓子(花びら餅の原型)をいただく、という風習もはじめて知りました。白い御餅は「お盆」といって食べないそうです。

◆驚きの伊勢神宮での参拝服のマナー

 また、皇室の風習で驚いたのは伊勢神宮での参拝服のマナー。神宮に正式参拝するときは、長服、帽子、靴,ハンドバッグなどは清浄で新しいものでないといけないという決まりがあるそうです。

 全部新調せずとも、前の神宮参拝で着用したものならOKで、神宮で着用した参拝服を他の神社にお参りするときに「おろす」ことはできても逆は絶対に許されない、とのこと。神宮の正式参拝は皇族にとっては特別なもの、と書かれていました。

 テレビや新聞で何気なく目にする、皇族が神宮に参拝されたニュースですが、その裏側にはこんな約束事があったとは。いち庶民ですが、先日、着古したZARAのワンピースで伊勢神宮を正式参拝してしまったことを思い出し、血の気が引きました。

◆論文執筆中は「おうどんやどんぶりなどの簡単なもの」

 彬子様の留学記は、やんごとなきエピソードだけではなく、庶民も共感できるエピソードもたくさん書かれています。

 論文執筆中は寮の部屋にこもって「おうどんやどんぶりなどの簡単なもの」を自炊。「お」とつけられているところにお育ちの良さが。でも、孤独な執筆作業でストレス性胃炎になってしまわれ、彬子様は「博士論文性胃炎」と表現されていました。

 大英博物館の日本セクションのボランティアとして働かれ、法隆寺金堂障壁画の貴重な模写を倉庫から発見される、という成果もあげられています。日本美術の展覧会場では何も準備ができていない会場に3日前に案内され「疲労困憊で、意識朦朧」になりながら、なんとか展示作業を完了させる、といった功績も。

 もしかしたらMETで仕事をしたい眞子様にとっても参考になる箇所かもしれません。

◆ちらし寿司を作ったら「これはスシじゃない」

 彬子様が招かれるのはセレブな会食だけではありません。友人の部屋に遊びに行って出された紅茶などに、うっすら洗剤らしきものの膜が張っていることを発見。「『あぁ~』と少し涙したくなる気持ち」になられたこともあったそうです。

 持ち寄りパーティで彬子様ご自身が友人に料理を振る舞われることもあります。でも、ちらし寿司を作ったら「これはスシじゃない」と言われ、白玉団子を出したら「ん~、ガムみたい」と英国人に評されたというエピソードも。日本ではこんな無礼を働いたら大事です。

◆電車で爆睡などスリリングな失敗も

 あるときは忘れ物をして寮に戻り、携帯電話を持たない指導教官に連絡できず、焦りながら一時間遅刻。動揺して質問にもうまく答えられない、という体験を読むと、庶民と同じくプリンセスにもついていない一日があるんだと親近感が高まります。

 他にも、電車で爆睡して、気付いたら車内に誰もいなくて暗い野原を爆走していたとか、フランクフルト国際空港に行こうとしたら、フランクフルト・ハーン空港という野原の真ん中にある空港に到着してしまった、といったスリリングな失敗談も。

 部屋の鍵を閉める習慣がなく、深夜に酔っぱらった別の部屋の男性が間違えて入ってきたときは、思わず「あなた、この部屋に住んでいる人ですか?」とやさしく声をかけたら、謝って出て行った、という話も印象的でした。

 危険を感じる場面でも怒ったり声を荒げたりすることなく、丁寧な応対をされるところにプリンセスの気品と、トラブルを円満に解決する秘策が表れています。

◆徳でバズっているインスタグラムや留学記

 宮内庁のインスタグラムや、「赤と青のガウン オックスフォード留学記」のバズられ方を見ると、話題のニュースや商品の力を借りず、徳でバズっているように思えます。

 届くべき人に届いて、深く心に残るのが、消費されない理想のバズり方かもしれません。

<文・イラスト/辛酸なめ子>

【辛酸なめ子】
東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著書は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。

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