Infoseek 楽天

肉は洗っていい?意外とやってる、食中毒を引き起こすNG調理

女子SPA! 2024年7月8日 8時46分

梅雨から夏、食中毒が心配な季節がやってきますね。

先月、鶏肉が洗えるとした某商品の宣伝に対して、「生肉は洗わないで!」と農林水産省と内閣府(食品安全委員会事務局)がXですぐに投稿し、ちょっとした話題になりました。

理由は「水洗いすると菌が飛び散るから」。Xでは「知らなかった!」という反応も結構ありました。

そこで、公的機関の情報をもとに、改めて注意すべきことをおさらいします。

◆生肉に付いた菌が体内に入ると、何が起きる?

生肉の表面に多くの菌が付着していることは、みなさん知っていますよね。政府広報オンラインでは、食中毒の発生件数の多いものとして、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌(O157、O111など)を挙げ、次のように説明しています。

カンピロバクターは鶏や牛の腸管内にいる細菌で、生の鶏肉や牛肉の表面に付着しているほか、肝臓の内部にも存在しているようです。菌が体内に入ると1~7日で発熱や腹痛、下痢、吐き気を起こします。

腸管出血性大腸菌は主に牛の腸内に存在する細菌で、カンピロバクターと同様に少量に菌からでも感染します。2~7日ほどで発熱や腹痛、下痢、血便、吐き気や嘔吐といった症状を引き起こし、とりわけ抵抗力の低い子供や妊婦、高齢者では重篤になりやすいため注意が必要です。

◆生肉を洗うと、シンクに菌が飛び散る

その他にも細菌やウイルスなどが生肉の表面には付着していて、水洗いをするとシンクに限らずキッチン全体に水滴と一緒に飛び散ってしまうことになるそうです。

シンクからの二次感染として、実際に「サラダや調理の必要のない料理をシンクで取り扱った際に、生肉に付着していた菌がシンクを介して付いて食中毒が起きた」(東京保健医療局)という例があったそうです。

こうした理由から霧吹きで水を吹きかけることも含め、水洗いは控えた方がよさそうですね。肉から出たドリップ(赤い液体)が気になる場合は、「キッチンペーパーなどで拭き取ること」(農林水産省)が推奨されています。

◆肉のトレイを洗う、調理箸の使い回しも要注意

生肉そのものの他にも気をつけるべきものがあります。

ひとつは生肉が乗っていたトレイです。生肉に付着していた菌がトレイにも移っている可能性が高いので、これも水洗いは危険だそう。分別に出すために洗うという人もいるかもしれませんが、そのままゴミとして破棄するか、料理が終わってから洗ってしっかり乾燥させるというのが望ましいみたいです。めんどくさいですね…。

また、「調理中の調理箸やトングを生もの用と分けて使用することも予防のひとつ」(東京都保健医療局)とのこと。生肉には専用の調理箸やトングを使うようにして、包丁やまな板もこまめに洗剤で洗うことが薦められています。

順序として、まずサラダなどの生モノを切って、そのあと肉を切ったら包丁・まな板を洗う、という習慣をつけるとよさそうです。

◆冷蔵庫や買い物袋では、肉から出る汁に注意

シンク以外に、冷蔵庫や買い物袋を介した二次感染もあり得ます。

冷蔵庫内で肉の汁が漏れて、他の食品に付着してしまうことがあるので、「生肉はビニール袋や容器に入れる」(厚生労働省)ように注意喚起されています。また、買い物のときに、お肉のパックを薄いビニールに入れたとしても、外袋自体を他と分けたほうがよさそうですね。

生肉を直接触るとき以外でも、シンクや冷蔵庫は定期的に掃除して、きれいに保つことが大切。まぁ、わかっちゃいるけど、ついサボっちゃうんですよね…。

湿気や熱さのせいで食べ物の足が速くなる時期。見逃しがちな菌やウイルスの感染にも対策を忘れず、安全にも注意しておいしい料理を作りたいですね。

<文/織田繭 写真/PAKUTASO>

【織田 繭】
製薬会社でMRを4年間経験。「自分がやりたかったことはこの仕事なのか」と疑問に感じ、悩んだ結果、幼少期からの夢だった「文筆家」を目指すことを決意し、退職。2021年にライターに転身

この記事の関連ニュース