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「ぼく、もう死にたい…」小3の息子から出た衝撃の言葉。その“まさかの理由”… <漫画>

女子SPA! 2024年6月6日 8時45分

 2024年2月29日に出版されたコミックエッセイ『親子で不登校になりました。』(竹書房)の著者、最上うみみ(さいじょう・うみみ)さんは、一人息子を育てるシングルマザーです。

 本作は、最上さんの息子さんをモデルにした「ねむ君」が小学校3年生から不登校になってからの親子の様子や、最上さん自身がかつて不登校だった経験が、同じ悩みを抱えた人から聞いたエピソードなどを織り交ぜながら描かれています。

 本記事では本作から第1話を紹介。最上さんに、息子さんの不登校のきっかけや、不信感を感じたという学校とのやり取りなどについて聞きました。

※本記事は全5回のうちの1本目です

◆息子の「もう死にたい」にショック

――ご自身や息子さんの不登校の体験を、漫画に描こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

最上:3年くらい前に、この作品の原型のような漫画をXに投稿したんです。反響が思った以上に多く、200人くらいだったフォロワーが1日で1万人くらいになりました。

こんなに興味がある人が多いんだとビックリしたし、「不登校で悩んでいる人が多いのかな」と、本気で描いてみようと思いました。その頃描いた漫画を書籍化できないかと編集者さんに相談して、この本が生まれました。

――当時は読者からどんな反応があったのでしょうか。

最上:小学校3年生の息子が学校に行きたくないと言い出したとき、「死にたい」と言ったことに皆さん注目されたようでした。私自身、その言葉を聞いたときはショックが大きかったです。母親が隣にいるのに「この世から消えたい」というのは、私が支えになっていないということですから。「それくらい今この子はつらいんだ」と衝撃を受けました。

でも同時に、子どもからのSOSだと受け取ったので「ショックで終わらせちゃいけない、何が原因でこうなったのかしっかり考えなければ」と思いました。

――前兆はあったのでしょうか?

最上:それまでは学校の話をしてくれたり普通に過ごしていたのですが、本当に急に言い出したんです。漢字の書き取りの宿題を「できない、文字が書けない」と言い出して、「何かおかしい」と思いました。

「学校の先生が怖い、怒られる」と言っていたけど、本人が怒られたことはないんです。クラスの元気過ぎる子に先生が強めに注意するのを見て「自分もそうされるんじゃないか」と受け止めていたようでした。

◆頑張り屋で、クラスの人気者だった

――最上さんから見て、息子さんはどんなお子さんなのでしょうか。

最上:真面目で頑張り屋です。周りのことをすごく考える子で、無理しやすいところがあります。不登校になる前は世間一般で言う、いわゆる“いい子”で、周りのママさん達から「すごい大人だよね、しっかりしてるね」とよく言われていました。

クラスでも人気者で、参観日に「自分の好きなもの」を順番に発表することになったとき、1人の子が「僕が好きなものは◯◯君です」と言い出して、そのあと皆が「僕も好き」「私も好き」と言ってくれるくらい好かれていました。多分、自分のことより人のことを優先してあげるような子だったんだと思います。

そんな感じだったので、不登校になってから他の保護者から「あの◯◯君が学校に来なくなるなんて信じられない。あんなに仲良くしていたのにどうして?」と言われたことが何回かありました。

だけど年齢にそぐわない無理をしたからこそ、学校に行けなくなったり私に反抗するような態度になったりしたんだろうなと思います。

――頑張り屋だからこそ、不登校になるまで弱音を吐くことができなかったのでしょうか。

最上:息子は私に対して一番気を遣ってくれていたんだと思います。それが癖になって学校でも過ごしていたのが、限界がきて崩れたのかもしれません。

「学校に行きたくない」と言い出した時期というのは、精神的につらく起き上がるのも大変だった私が少しずつ持ち直し、職業訓練に通い始めたりと安定してきたタイミングだったんです。

私自身、それまで離婚や、弟が突然自死したことなどが重なり、うつ状態で余裕がありませんでした。そんな状態だったので、息子のつらさを読み取ることができなかったのかもしれません。

◆スクールカウンセラーとの面談で驚愕

――学校の先生の対応はどうだったのでしょうか。

最上:担任の先生は、「児童たちにこういうふうに声かけしてみますね」とか、「クラメイトが〇〇と言ってると、息子さんに伝えてもらっていいですか?」と提案してくれましたが、アドバイスなどは特にありませんでした。原因が分からなかったし、先生も困っていたんだと思います。

副校長先生や校長先生と面談しましたが、「学校を守るために言っているんだな」という印象でした。すべてが空回りというか「うちはやるべきことをやっています」というポーズとしか思えなかったです。

――スクールカウンセラーの女性が、同じ学校の教員かつ保護者だったというエピソードに驚きました。

最上:スクールカウンセラーとして現れたのが顔見知りの同学年の保護者で、その人は同じ学校の教員でもあったんです。すごくモヤモヤしたので調べたんですけど、カウンセラーの世界では、カウンセラーと相談者が「カウンセラーとクライエント」以外の関係性を持つことは、倫理的に良くないとされているそうです。

そんな人に「家庭の状況を話せ」といきなり言われても、「この人はあのお母さんとも繋がってるし、他の人にも話すかもしれない」「そもそも学校側の人だし……」と不信感を抱いてしまい、何も話せませんでした。

<取材・文/都田ミツコ>

【都田ミツコ】
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。

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