女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「結婚」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2020年6月15日 記事は取材時の状況)
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長年連れ添った夫の浮気。これは女性の人生において、かなり衝撃的な出来事です。しかも、相手が子どもまで身ごもっていたとしたら……?!
そんな昼ドラのような筋書きを実際に経験した真理子さん(仮名・45歳)。すでに夫とは離婚をしており、独身で、両親も20年近く前に亡くなっています。
血縁親族もほぼいないという天涯孤独な身の上の彼女ですが、「私にはもう新しい家族がいるから幸せです」と、ちょっと信じがたい現在の生活を笑顔で語ってくれました。
◆ろくでなしの夫、未成年を妊娠させる
「離婚をしたのはもう10年前のことです。私の元夫は控えめにいって本当にろくでなしでした(笑)。借金するわ、仕事はすぐに辞めて転々としてるわ。あげくの果てに結婚5年目に浮気して、相手の女に妊娠までさせたんですよ。
しかも電話一本で『女に子どもができたから別れて欲しい』って。その場に浮気相手もいるって言うんで、速攻で電話を替わってもらって直接対決をしました」
電話口に出た浮気相手は明日香(仮名)と名乗ったそうです。ところが、なんだか様子がおかしい。明らかに当惑したような震え声で、すいませんすいませんと繰り返すばかり。そのうち嗚咽を漏らし始め、全く会話にならなくなったそうです。
「なんか変だぞ?と思って、2人がいる場所を聞き出してそこに向かいました。駅近くの喫茶店だったのですが、すでに夫の姿はなく、涙を流しているまだ少女のような女性だけがそこにいました。聞けば、彼女はまだ高校を出たばかりの18歳! 1年ほど前にアルバイト先で知り合い、客と店員から顔見知りになってそういう関係になったというんです」
◆さらに耳を疑う言葉が出てくる
しかも、驚いたことに明日香さんは、真理子さんの夫が既婚者だとは全く知らなかったそうです。彼女はすでに彼を親にも会わせており、子どもができたとなればすぐに結婚するだろうと信じて疑っていなかったとか。
「この日のデートで初めて妊娠を明かしたそうです。その時に『そう。じゃあ、妻と別れるわ』と言われてパニックになったみたいですね。電話の時点では完全に混乱していたようです。
電話を切った後で『なんで結婚してるって言わなかったの』と問い詰めたら、『30半ばの男を相手にして独身だと信じ込んでいたお前が悪いんだ』と逆になじられ、そのまま逃げられてしまったそうです」
あまりにも酷い夫の仕打ちに真理子さんは唖然としました。そして泣き崩れる明日香さんを抱え、彼女の自宅まで送り届けたそう。そこで明日香さんのご両親とも対面し「この度はうちの夫が」「いえ、奥様がいるとは知らずこちらこそ」と、お互いに謝り合うなんとも奇妙の状況となりました。
◆記入済の離婚届を置いて夫が失踪
ちなみに、この夫はそれきり姿を現さず。真理子さんが自宅に戻ると記入済みの離婚届が机の上に置かれており、衣類などを持って失踪していたそうです。
「当時勤めていた会社も辞めていました。彼の実家にも連絡しましたが、あまりにダメな奴だったんでそっちからも愛想尽かされてたんですよね。『真理子さんには申し訳ないのですが、もう私たちも探す気もないんです』と年老いたご両親ががっくり肩を落とす姿を見て何も言えなくなりました」
真理子さんはすぐに離婚届を出しましたが、それに恐縮してしまったのは明日香さんとその両親。何度固辞しても慰謝料を払いたいと連絡がきて、その度に話し合いの場を設けたそうです。そうしているうちに、真理子さんと明日香さん一家には不思議な絆が生まれていきました。
◆夫抜きで和解して、出産にも立ち会った
「明日香さんは子どもを産むことを決意していました。会うたびに大きくなる彼女のお腹を見て、なんだか妹か娘が子どもを産むような気分になっちゃったんですよね。結局、いただいた慰謝料についてはその子の養育費として相殺させてもらうことにしちゃいました」
病院で両親と一緒に無事な出産を祈り、生まれた可愛い女の子を誰よりも先に抱かせてもらい、退院後もなにくれとなく明日香さんの元に足を運び、子育ての手助けをしていた真理子さん。お食い初めや七五三、幼稚園や小学校の行事にも今でも必ず呼んでもらっているとか。
長い時を経て、明日香さん一家にとって真理子さんはすっかり無くてはならない家族の一員となってしまったようです。
◆元夫は許してないけど、感謝してることもある
「今も月いちペースであちらのお宅に足を運んでいますし、年に何回かは家族旅行にも出かけます。生まれた女の子も私になついてくれて、最近では2人で遊びに行くこともあるくらいです。元夫のことは今も許してはいませんが、私に新しい家族をくれた。その一点だけにはほんのちょっとだけ感謝しています」
ちなみに、件の元夫については共通の知人をつうじて何とか居場所を突き止めたそうですが、すでに新しい女と暮らしながら何件か別宅を持っているという相変わらずな状態だそう。
「今さら出てこられて、家族をめちゃくちゃにされたらかなわないので、今後も連絡を取るつもりはありません」
―シリーズ「人生の転機で変わったもの、変わらなかったもの」―
<文/もちづき千代子>
【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama
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長年連れ添った夫の浮気。これは女性の人生において、かなり衝撃的な出来事です。しかも、相手が子どもまで身ごもっていたとしたら……?!
そんな昼ドラのような筋書きを実際に経験した真理子さん(仮名・45歳)。すでに夫とは離婚をしており、独身で、両親も20年近く前に亡くなっています。
血縁親族もほぼいないという天涯孤独な身の上の彼女ですが、「私にはもう新しい家族がいるから幸せです」と、ちょっと信じがたい現在の生活を笑顔で語ってくれました。
◆ろくでなしの夫、未成年を妊娠させる
「離婚をしたのはもう10年前のことです。私の元夫は控えめにいって本当にろくでなしでした(笑)。借金するわ、仕事はすぐに辞めて転々としてるわ。あげくの果てに結婚5年目に浮気して、相手の女に妊娠までさせたんですよ。
しかも電話一本で『女に子どもができたから別れて欲しい』って。その場に浮気相手もいるって言うんで、速攻で電話を替わってもらって直接対決をしました」
電話口に出た浮気相手は明日香(仮名)と名乗ったそうです。ところが、なんだか様子がおかしい。明らかに当惑したような震え声で、すいませんすいませんと繰り返すばかり。そのうち嗚咽を漏らし始め、全く会話にならなくなったそうです。
「なんか変だぞ?と思って、2人がいる場所を聞き出してそこに向かいました。駅近くの喫茶店だったのですが、すでに夫の姿はなく、涙を流しているまだ少女のような女性だけがそこにいました。聞けば、彼女はまだ高校を出たばかりの18歳! 1年ほど前にアルバイト先で知り合い、客と店員から顔見知りになってそういう関係になったというんです」
◆さらに耳を疑う言葉が出てくる
しかも、驚いたことに明日香さんは、真理子さんの夫が既婚者だとは全く知らなかったそうです。彼女はすでに彼を親にも会わせており、子どもができたとなればすぐに結婚するだろうと信じて疑っていなかったとか。
「この日のデートで初めて妊娠を明かしたそうです。その時に『そう。じゃあ、妻と別れるわ』と言われてパニックになったみたいですね。電話の時点では完全に混乱していたようです。
電話を切った後で『なんで結婚してるって言わなかったの』と問い詰めたら、『30半ばの男を相手にして独身だと信じ込んでいたお前が悪いんだ』と逆になじられ、そのまま逃げられてしまったそうです」
あまりにも酷い夫の仕打ちに真理子さんは唖然としました。そして泣き崩れる明日香さんを抱え、彼女の自宅まで送り届けたそう。そこで明日香さんのご両親とも対面し「この度はうちの夫が」「いえ、奥様がいるとは知らずこちらこそ」と、お互いに謝り合うなんとも奇妙の状況となりました。
◆記入済の離婚届を置いて夫が失踪
ちなみに、この夫はそれきり姿を現さず。真理子さんが自宅に戻ると記入済みの離婚届が机の上に置かれており、衣類などを持って失踪していたそうです。
「当時勤めていた会社も辞めていました。彼の実家にも連絡しましたが、あまりにダメな奴だったんでそっちからも愛想尽かされてたんですよね。『真理子さんには申し訳ないのですが、もう私たちも探す気もないんです』と年老いたご両親ががっくり肩を落とす姿を見て何も言えなくなりました」
真理子さんはすぐに離婚届を出しましたが、それに恐縮してしまったのは明日香さんとその両親。何度固辞しても慰謝料を払いたいと連絡がきて、その度に話し合いの場を設けたそうです。そうしているうちに、真理子さんと明日香さん一家には不思議な絆が生まれていきました。
◆夫抜きで和解して、出産にも立ち会った
「明日香さんは子どもを産むことを決意していました。会うたびに大きくなる彼女のお腹を見て、なんだか妹か娘が子どもを産むような気分になっちゃったんですよね。結局、いただいた慰謝料についてはその子の養育費として相殺させてもらうことにしちゃいました」
病院で両親と一緒に無事な出産を祈り、生まれた可愛い女の子を誰よりも先に抱かせてもらい、退院後もなにくれとなく明日香さんの元に足を運び、子育ての手助けをしていた真理子さん。お食い初めや七五三、幼稚園や小学校の行事にも今でも必ず呼んでもらっているとか。
長い時を経て、明日香さん一家にとって真理子さんはすっかり無くてはならない家族の一員となってしまったようです。
◆元夫は許してないけど、感謝してることもある
「今も月いちペースであちらのお宅に足を運んでいますし、年に何回かは家族旅行にも出かけます。生まれた女の子も私になついてくれて、最近では2人で遊びに行くこともあるくらいです。元夫のことは今も許してはいませんが、私に新しい家族をくれた。その一点だけにはほんのちょっとだけ感謝しています」
ちなみに、件の元夫については共通の知人をつうじて何とか居場所を突き止めたそうですが、すでに新しい女と暮らしながら何件か別宅を持っているという相変わらずな状態だそう。
「今さら出てこられて、家族をめちゃくちゃにされたらかなわないので、今後も連絡を取るつもりはありません」
―シリーズ「人生の転機で変わったもの、変わらなかったもの」―
<文/もちづき千代子>
【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama