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19歳年上のアナウンサー兼弁護士と結婚…当時23歳の大学生が覚悟を固めた「意外な決め手」

女子SPA! 2024年7月7日 15時46分

 2024年元旦、SNSで婚姻を報告した弁護士の青木美佳さん(43歳)と、司法修習中の甲斐友貴さん(24歳)。20歳近く年が離れた2人はどのように知り合い、結婚することになったのか? 後編では交際から結婚開始までの過程、また2人の結婚観に迫ります。

◆初めてDMを送って約半年後、東京駅での初対面

 友貴さんが美佳さんに初めてSNSでDMを送って約半年後の2022年12月、就職活動のため友貴さんが上京することになり、2人は東京駅のカフェで対面を果たします。

 日頃は初対面の相手を警戒しやすいという友貴さんですが、法律という共通の話題もあったためか、話題に困ることなく時間があっという間に過ぎたとのこと。

「楽しかったのでまた会いませんか」と美佳さんに持ちかけます。ここで初めて美佳さんの口から飛び出したのが、「結婚」の二文字でした。

◆結婚の決め手は「ポアソン分布」?

美佳:私は結構真面目で、同時並行で複数の男性と会うのも抵抗がありますし、遊びの恋愛もできないタイプです。なので、交際するなら結婚が前提で、と伝えました。

 美佳さんと交際したい思いはあったものの、学生であったため「すぐに結婚というのは考えていなかった」という友貴さん。一旦は解散し、その後は「Web期日」と2人が呼ぶオンライン会議を通して話し合いを続けました。結婚を前提に交際をするかどうか意見が分かれる中で、決め手となったのは友貴さんが行った「ポアソン分布」を用いた確率計算でした。

「ポアソン分布」とはある確率でランダムに起きる出来事が、一定の期間内に起きる回数と確率の関係を示す統計学の概念です。たとえ美佳さんと結婚しなかったとしても、この先ほかにも魅力的な女性に出会う可能性はある。その確率について計算してみたところ、「確率は0にはならないが低い」という結果であることがわかり、「自分に最も合う女性は美佳さんだ」と決心がついたと友貴さんは言います。

◆対面から約半年でスピード婚

 2023年1月、東京ディズニシーでの2回目のデート後、閉園間際に友貴さんが美佳さんに「結婚を見据えて付き合ってください」と伝え、正式に交際がスタート。

 遠距離恋愛だったため日頃は電話やWebで連絡を取りながら、会える時は東京スカイツリーや神戸の夜景を見にいくなど、カップルらしいデートを重ねました。2人でいると話が合い、ジェネレーションギャップが気になることは互いにありませんでした。

 一方で、子どもを持つかどうかについては、結婚前に慎重な話し合いを重ねました。

美佳:結婚を考えるにあたって、年齢と同じく妊孕性(妊娠するために必要な能力)を重視する男性は多いと思います。もし相手が「子どもが欲しい」と思っていた場合、年齢的に可能性はギリギリですし、私にとってもプレッシャーは大きい。幸い彼は子どもは積極的に望まない考えでしたが、「私ぐらいの年になったら、子どもが欲しいかどうかの気持ちは変わるかもしれないよ、それでもいいの」と何度も確認し、その上で婚約へと至りました。

◆夫が妻に苗字を合わせた理由

 大学を卒業する前に友貴さんの内定が決まり、2023年4月頃、正式に婚約。「年の差婚」において関門となりやすいのが親の承諾ですが、いざ話を切り出してみると、大きな支障はありませんでした。

友貴:我が家は進路選択でも何でも、基本的に子どもの自由を尊重してくれる家庭なんです。結婚においても、咎められるようなことは何もありませんでした。

美佳:私は1人っ子で大切に育てられた分、彼の家庭に比べれば言いづらかったです。両親にはGWに帰省した時に伝えようと思っていたのですが、結局最終日まで持ち越しました。最初は「どんな相手なのか」と聞かれたりもしましたが、実際に会って彼の優秀さを理解してからは「うちの子でいいのか」と相手に尋ねるまでになっていました。

 2人は2023年6月に結婚します。当時、美佳さん42歳、友貴さん23歳、直接対面してから約半年のスピード結婚でした。特徴的なのが氏の選択。婚姻届の提出とともに新たな戸籍を編成する際には、美佳さんが戸籍の筆頭者となり、友貴さんが妻の苗字(青木)に合わせる道を選びました。

友貴:(妻は)弁護士もアナウンサーも「青木」の名前で仕事をしていたので、苗字を変えると不利益がすごく大きい状態だったんですね。一方自分は弁護士としてのキャリアもこれからスタートするので、苗字を変えたところで特に困ることはない。それなら自分の方が名前を合わせようというのは、交際時から決めていました。

美佳:これまで出版した本には「青木」の名前を使っていますし、社外役員の仕事では登記時など本名と仕事上の名前が違うと困る場面が出てきます。それだけに夫が苗字を自分に合わせてくれたのは、本当にありがたかったです。

◆卑屈にならないことが大切

 入籍してから約1年。結婚後の生活について、「家に帰ってきた時に好きな人がいるのが嬉しい。毎日幸せだなと思っています」とのろける友貴さん。美佳さんも、「『少年には可塑性(変わっていく可能性)がある』という、少年法の基本的な考え方があります。ニュアンスは異なりますが、彼は若いですから、今後何にでもなれる。彼のこれからの可能性を見届けられることは、大きな喜びです」と語ります。

 年齢、収入、学歴など、結婚において「条件」面に目が向いてしまうケースは少なくありません。なぜ2人は、世間一般の価値観にとらわれず相手を選ぶことができたのでしょうか。

友貴:男性の方が年齢が上、結婚しても苗字はそのままというのが、日本の結婚ではある意味伝統的。自分が上でいたいとか、女性に名前を合わせて欲しいという、男性特有のプライドも関係しているかもしれません。でも、結婚というのは突き詰めて言えば個人と個人の問題。だから最終的には社会の価値観ではなく、自分自身の価値観を重視して決める方がいいと思っています。

美佳:年の差を気にするかは、男性側の問題も大きいとは思います。ただ「どうせ私なんて」という態度だと、傍から見ても魅力を感じにくい。出産は生物学上如何ともし難い部分はありますが、結婚の「適齢期」には個人差があり、年齢などの指標のみで一律に決まるものではないはず。私が申し上げるのはおこがましいかもしれませんが、常識や他人の声が無意識のうちに足かせになったり、自分で自分に限界を設けて卑屈になったりするのはもったいないと、婚活中の女性には伝えたいですね。

「弁護士」という一つの職業にとらわれずに活動する美佳さんと、数々の難関国家資格に挑戦し、その中で最も就きたい職業を選んだ友貴さん。「結婚とはかくあるべき」という価値観に縛られず2人が一緒になることができたのは、自身が信じる道を進み切り拓いてきたという、日頃からの生き方が大きく関わっているように感じました。

<取材・文/松岡瑛理>

【松岡瑛理】
一橋大学大学院社会学研究科修了後、『サンデー毎日』『週刊朝日』などの記者を経て、24年6月より『SPA!』編集部へ。博士課程まで進学したレアな経歴から、高学歴女子の生態に関心がある。Xアカウント:@osomatu_san

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