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まさかうつ病の予兆だとは…「ドラえもんを見るとヘコむ」から始まった

女子SPA! 2024年6月30日 15時46分

ストレス社会を生きる私たちの身近に潜むうつ病。平成14年に68.5万人だった患者数が平成29年には127.6万人と、倍増しているそうです(厚生労働省「患者調査」。気分<感情>障害、躁うつ病を含む)。

ですが、人によってストレス耐性の差はありますし、もしうつ病になったとしてもその症状も千差万別です。食欲がなくなる人もいれば、異常に食べたくなってしまうという人もいますよね。

◆うつ病で休職した私が感じた、最初のサインとは

私は新卒で製薬会社に就職し、医薬品の営業担当として働いていました。ところが、2年目にうつ病になってしまい、休職した経験があります。「おかしいな」と思い始めた時にはすっかり落ち込んでしまっていたということも多いうつ病。私もまた大きな失敗をするまでは、自分がうつ病かもしれないなんて思いもしませんでした。ですが、思い返すと予兆はあったのかもしれないと考えることがあります。

◆「サザエさん症候群」じゃなくて「ドラえもん症候群」

日曜日の夜に、翌日から始まる1週間を考えて憂鬱になってしまう人は多いですよね。その時間帯がテレビアニメ『サザエさん』の放送時間(日曜・午後6:30)と重なることから、よく言われる「サザエさん症候群」です。

私も翌日から始まる仕事のことを考えて「やだなー」なんて言いながらサザエさんを見ていました。とはいえ、このころはまだまだやる気に溢れていて、「やだなー」と言いつつ仕事に対しては精力的でした。

取引先に訪問するために朝7時には出社、自己学習や翌日以降の準備で夜11時まで会社に残り、振替休日のない休日出勤や日本各地への出張が増えたりしてストレスも溜まっていきました。そうなると徐々に心身ともにおかしな変化が起こります。

月曜日の出勤に対して憂鬱になる時間が、日曜日の夜から朝に、日曜日の朝から土曜日の夜に…というように早くなっていったのです。ついには、仕事が終わる金曜日の夜に「また月曜日が来ること」が憂鬱になって落ち込んでしまっていました。

当時、『ドラえもん』が金曜日の夜7:00に放送されていたことから、私は自分のこの現象を「ドラえもん症候群」と名付けていました(現在は土曜午後5時~放送です)。

◆金土日の間、「次の出社がイヤ」と思い続ける

多くの人は、日曜夜に憂鬱になりながらも、翌日の準備をして眠りますよね。ですが、私のドラえもん症候群は、金曜に仕事が終わると同時に次の出勤を考えて憂鬱になるので、休日の間は心も体も休まりません。

平日の睡眠を取り返そうと長く眠るのですが、睡眠の質が悪いので疲れは取れないし、起きた時には午後4時なんてこともザラです。起きている間もネガティブな感情でいっぱいになってしまうので、出かけたり体を動かしたりする気力も起きなくなります。気分を変えようとしても体が動きません。元気なころは週に一度近所のテニスクラブでレッスンを受けていましたが、次第に足が遠のき、行かなくなってしまいました。

洗濯物なんかも土日にまとめて洗って干すまではするのですが、たたむことができなくて、着替えは洗濯物の山から引っ張り出して着ていました。最低限を何とか保ちながら、しかし他には何できずぼーっと過ごしたりずっと横になったりして、せっかくの休日を潰してしまっていました。リフレッシュなんてとてもできるような状態ではありませんでした。

◆趣味が楽しくなくなってきたらヤバい

休日なのに心が休まらないと、普段楽しいと思っていたことでも何も感じなくなっていきました。元気な時は、体を動かすほか、読書やドラマ・映画鑑賞が好きだったのですが、こうした趣味を楽しむ気力や体力がなくなっていたのです。

こうなると休日はただ横になるだけの時間で、リフレッシュできないし思考回路がネガティブになって、「みんなはやっていることなのに」と他人と自分を比べて自己嫌悪に陥ります。でも、気力がないから行動は起こせません。完全に悪循環でした。

このころから上司を含めた周囲から「大丈夫?」と声をかけられはするのですが、仕事を止めることはできなので、ただ私は「大丈夫です」と答えるしかありませんでした。

その後、私のうつ病はひどくなっていきました(その話はまた別の機会に…)。

もしドラえもん症候群のタイミングで「おかしいな」と気づけていたら、精神科や心療内科のクリニックや病院を受診して適切な治療を受けられたかもしれません。同じように感じたことのある人は一度自分のメンタルヘルスにも目を向けてみてもよいかもしれません。

多くの場合、まずは睡眠を十分にとることを医師に勧められます。なかなか眠れないとか、変な時間に起きてしまうとかも相談して、適切な睡眠薬を使うことも悪いことではないでしょう。

とはいえ、経験する人が多くないことを祈ります。

<文・イラスト/織田繭>

【織田 繭】
製薬会社でMRを4年間経験。「自分がやりたかったことはこの仕事なのか」と疑問に感じ、悩んだ結果、幼少期からの夢だった「文筆家」を目指すことを決意し、退職。2021年にライターに転身

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