Infoseek 楽天

「残業は勉強の時間でしょ?」自称・部下思いのモンスター上司の“理不尽すぎる言動”にア然

女子SPA! 2024年7月5日 8時47分

ブラック企業という言葉が広く知られるようになり、企業側も社員の士気を高めるような施策を講じることが多くなりました。

残業をさせない、成長できるなどを売り文句とした、いわゆる“意識が高い”会社も目立ちますが「その実際には要注意です」と旅行会社に勤める詩織さん(仮名・38歳)は言います。

ホワイト企業への転職を目指して参加した業界の交流会で、詩織さんが出会ってしまったモンスター上司とは?

◆「部下に残業はさせない」熱い上司への違和感

零細企業の激務に嫌気がさした詩織さんが、転職活動の一環として交流会に参加したときのこと。マネージャー職だという男性Aさんと知り合いました。

「メンバーの成長が何よりの喜び。チャレンジできる環境を惜しみなく提供する」「僕が徹夜で代わってでも、部下には残業させない。その時間をスキルアップの勉強に充ててほしい」「僕のチームは何度も表彰されている」と、部下への思いを熱く語る姿に強く惹かれたと言います。

「以前の職場は、法令ギリギリの残業は当たり前。クライアントの都合に振り回されることもしょっちゅうで、上司は部下を守るどころか無理難題を押し付けるような状態でした。業界的にどこも同じだろうと思っていたのですが、Aさんの下でなら、健全に働けて、キャリアアップもできるのではないかと感じたんです」

その後、Aさんと何度か面会を重ね、会社との面談も経て転職。詩織さんはAさんの部下として働くことになります。

「規模の小さい会社で部署内の人数も少なめでしたが、メンバー同士助け合っていて働きやすい環境だと感じました」

ところが仕事に慣れはじめた頃から、部署内の雰囲気に違和感を覚えるように……。

◆仕事を断ると不機嫌に。「部下の成長が喜び」じゃないの?

入社から半年ほど経った頃に、異変は起こりました。

「Aさんがリーダーを務めるプロジェクトで、他部署の方と一緒に進める企画を任されました。私にはマネージャーになれる素質があるから、他部署との調整や進行管理もやってみないかと言われたんです」

期待に応えるべく、自身のタスクをこなしながら初めてのマネジメント業務にも奮闘する日々。他部署のメンバーも不慣れな詩織さんを常に気にかけ、サポートしてくれたと言います。

一方、Aさんはというと、突然詩織さんを呼び出しては次々と新たな仕事を振ろうとするだけ。プロジェクトと関係ない業務も多く、手が回らないからと断るとあからさまに不機嫌になったそう。

◆残業代ナシの実態が発覚「業務外の仕事は勉強でしょ」

「Aさんは多方面から調子よくいろいろと引き受けて、なんとか終わらせるために、小間のように部下を動かしていただけでした。

仕事を頼むときは『成長できるチャンス』と言いながら、実際は納期をせっつくだけの完全放置で、アドバイスすらありません。断れない人はターゲットにされて、雑用をどんどん押し付けられていました」

さらに追加業務のために残業を申請しても、「僕は“スキルアップのための勉強時間”を業務だなんて思わないけどなぁ~」と、オーバーリアクションで驚かれたのだとか。彼にとって残業は“スキルアップしている時間”という認識なのです。

「申請した残業のほとんどは“勉強の時間”にすり替えられました。結局、彼の部下の残業代が少ないのは、あれこれ難癖をつけて認めないからだったんです。実際はみんな持ち帰ってやっていましたよ。つまりはサービス残業です」

◆「部下思い」のはずがチームの成果を独り占め

成長のチャンスと偽り、部下を思いどおりに操ろうとするAさん。さらには「成果や評価につながるものは取り上げる」と詩織さんは言います。

「成果が出た企画の報告書を作成しようとしたら、『僕がやっておくから』と代われたんです。珍しいと思いつつ、効率を考えてお願いしたのですが、後日、自分の力で成功させたかのように上層部へ報告していたことがわかりました」

詩織さんが自身で考えた企画のたたき台をAさんに持っていった際も、「あ~これね。この程度のものは、ずいぶん前に僕が提案してるんだよね~」と一蹴。しかし、数日後のミーティングで、脚色したものを自分のアイデアとして提出したそうです。

こうして部下を小間使いにして大量の業務をサバき、成果を自分のものにしていたAさんは、会社の周年記念パーティでマネージャーのMVPに選ばれたとのこと。

「舞台の上では部下への感謝を涙ながらに語っていました。内情を知らない他部署の人は『部下想いで仕事もできる素敵な上司』と絶賛していましたが、部署内のメンバーは全員ドン引きですよ。『みんなで勝ち取ったMVP』なんて言ってましたけど、賞金の50万円は独り占め。お菓子1個すら配られませんでした」

MVP受賞後のAさんは「社内初の2冠を目指すぞ!」と一人で盛り上がり、横暴ぶりが悪化しているとのこと。

「MVPを獲るような自分に育てられているウチの部下は幸せだ、と本気で思っているみたいで、もうつける薬がない状態です」

詩織さんらは、そろそろ人事か外部機関に相談しようかと部署内で相談しあっているのだそう。

<文/はつ>

【はつ】
各々が遭遇した小説より奇なる日常にスポットをあてるフリーライター。趣味は心理学的観点からの人間観察と全国の赤提灯巡り

この記事の関連ニュース