デジタル機器の普及で、文字を書く機会は格段に減ったが、それだけにここぞというときは好きなインクと好きなペンできちんと想いを届けたい……そんな背景もあってインクペンとインクの人気が高まっています。
28万人以上がチャンネル登録する人気YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」で文房具を熱く語り、ファンも多い有隣堂の文房具バイヤー・岡﨑弘子さんとチャンネルのMCであるミミズクのパペット、R.B.ブッコローに定番から香り付き、オリジナルなど素敵なインクを紹介してもらいました。
(本稿はYouTube「有隣堂しか知らない世界」と書籍『有隣堂名物バイヤー岡﨑弘子の愛すべき文房具の世界』の内容を抜粋、一部編集しています)
◆いろいろな種類から選べるのもインクの楽しさの一つ
ブッコロー:岡﨑さんってインク好きですよね。
岡﨑:好きなんですよ。
ブッコロー:インクって、ガラスペンにつけたり万年筆に入れて使っていくものですよね。「インクなんて買わなくても、ボールペン買えばインクは中に入っているものだし」と思うと、なかなか一歩踏み出せないんですよね。
岡﨑:想いを込めて書きたいときに、いろんなインクから選べる楽しさがあるので、どんどんほしくなっちゃうんですよ。まずはペリカンのロイヤルブルー。これは皆さんよく使います。
ブッコロー:ド定番。王道中の王道ですよね。(書いてみて)ちょっと薄めの紺って感じですかね。
岡﨑:陰影がハッキリするので、お客様のお試し書き用にも使っています。
ブッコロー:じゃあインクオブインクだ。
◆インク好きが選ぶ「本当にきれい」な色は?
ブッコロー:ボールペンとかサインペンじゃありえないくらい「本当にきれい」って色はありますか?
岡﨑:これ。
ブッコロー:ファーバーカステルのターコイズじゃないですか。六角形の鉛筆を世界で初めて作ったと言われるドイツのファーバーカステルですね。
岡﨑:ある方からいただいてテンション上がっちゃったんです。
ブッコロー:そうですよね。1個4000円ぐらいしますものね。
岡﨑:よくご存じですね。すごくきれいですよ。
ブッコロー:こんなきれいな色をプレゼントする人って、相当心もきれいで素敵な方なじゃないですか。
岡﨑:(小さな声で)ブッコローですね。
ブッコロー:アッ……私があげたやつでしたっけ……?
岡﨑:そうですね。
ブッコロー:やだなー! 忘れちゃってた。
岡﨑:これを選ぶってことは、もともとインクがお好きなんですか?
ブッコロー:いやいや違うんですよ。岡﨑さんがインク好きだから、インクあげときゃ喜ぶかなーと思って。
岡﨑:選ぶ楽しさってどうでした?
ブッコロー:選んでいるときは、悔しいけど楽しかったですよ。
◆ふんわり甘い香り。はちみつそっくりのインク!?
岡﨑:私もラブレター書いてきたんです。
ブッコロー:え? 私に? ありがとうございます。
岡﨑:これ、開けたときにふわっと香りませんか?
ブッコロー:なんか甘い匂いします。
岡﨑:さあ、なんでしょうか。
ブッコロー:カステラ? カステラの匂いのインク?
岡﨑:惜しいなぁ。はちみつカステラの中には入っています。
ブッコロー:……はちみつ。
岡﨑:正解です。
ブッコロー:地獄だよ。そのヒントで答えたときのこっちの気持ち考えたことある? はちみつの匂いがするインクなんてあるんですか。
岡﨑:こっちはアカシアです。いろんな色があって、そのはちみつに似せてあります。
ブッコロー:(書いてみて)ちょっとやっぱり薄いですね。太めのペンで書かなきゃダメですね。
岡﨑:匂いを楽しみながら書けるので、相手に贈ってもいいですよね。
◆好みの色のインクをオーダーすることもできる!
岡﨑:こちらはどうですか? 作ってもらったインクで「血の色」。
ブッコロー:なんで急に殺人鬼みたいなこと言うんですか。血の色がほしくて作ってもらったってこと?
岡﨑:そうです。源光庵の血天井っていう天井の色を再現してくださいってお伝えしました。
ブッコロー:(コワ……)すごく和っぽい赤ですね。インクって作れるんですか。
岡﨑:セーラー万年筆さんにインクをブレンドする石丸さんという方がいて、作っていただいたんです。
ブッコロー:「インクブレンダー」なんて職業があるんですね。
岡﨑:ほかに変わっているものだと「ご当地インク」。
ブッコロー:横浜マリンブルー有隣堂って入っていますよ。有隣堂だけで売っているんですか。
岡﨑:そうなんです。書いてみてください。素敵な色なので。
ブッコロー:素敵な色ですね。書きやすい。粘度が強いっていうか、濃い気がします。これ売れると思いますよ。
◆セーラーの極黒は「気持ちいいぐらいの黒」
岡﨑:次はセーラーの極黒。
ブッコロー:極めて黒いと書いて極黒。
岡﨑:これは本当に黒寄りの黒です。大好きな言葉。
ブッコロー:黒寄りの黒。極めて黒。極めて冷静に書かせていただきますね。
岡﨑:気持ちいいぐらいの黒。重要な書類とかに書きたいっていう黒。
ブッコロー:(書いてみて)まあまあ……、黒ですけどね。ボールペンの黒と書き比べてみましょうか。んん? ジェットストリームのほうが黒くないっすか……?
◆有隣堂オリジナルの「YOKOHAMA」シリーズは全部で4種!
岡﨑:このYouTube「有隣堂しか知らない世界」のインクの回は3年前に公開したのですが、有隣堂オリジナルの「YOKOHAMA」シリーズは数が増えて、今4つあります。「海」「空」「港」「風」。ブッコローがうちのオリジナルインクで特に「海」がいいって言ってくださって。
ブッコロー :「風」があるんですか。
岡﨑 :ええ。でも「海」がぶっちぎりで人気ですよ。「動画でブッコローがいいって言っていたインクってなんでしたっけ」ってお客様に聞かれますよ。私が見せると「これこれこれ」って。みんな知っているんです。
ブッコロー :ええ! 僕が動画で「いい」って言ったから? いやいやそんなことないでしょ!
岡﨑:【インクの世界】の回といえば「ファーバーカステル」ですね。
ブッコロー :番組のプロデューサーと「YouTubeのチャンネル登録者数が1万人になったのは、岡﨑さんのおかげだよね」って話してて。岡﨑さんに何かプレゼントを買おうと2人で六本木のミッドタウンをうろうろしてたときに、たまたまファーバーカステルのお店があったんです。ぱっと見は香水屋さんみたいなんだけど「なんだこれ」と思ってよく見てみたら「ファーバーカステル! 聞いたことある!」って。お店がすごく良くてね。陳列がきれいで、しかも「直営店は六本木にしかありません」って言われて。確か50万~60万円したんだよね。……あ、違うか。
岡﨑 :YouTubeで言ってるじゃないですか。インクだけど4000円もするって。買ったこともないし、もちろんいただいたこともないのですごくうれしくて。本当にびっくりしました。プレゼントであげたら喜んでくれるようなインクを作りたいなって思うようになりました。
ブッコロー :この頃より今のほうがインクって流行ってますよね!
現在発売中の岡﨑さんが大好きな文房具を紹介する本でも、鮮やかな色から繊細な色まで、さまざまな色のインクを紹介していますので、ぜひお気に入りのインクをみつけてみてください。
<文/岡崎弘子・有隣堂YouTubeチーム>
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28万人以上がチャンネル登録する人気YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」で文房具を熱く語り、ファンも多い有隣堂の文房具バイヤー・岡﨑弘子さんとチャンネルのMCであるミミズクのパペット、R.B.ブッコローに定番から香り付き、オリジナルなど素敵なインクを紹介してもらいました。
(本稿はYouTube「有隣堂しか知らない世界」と書籍『有隣堂名物バイヤー岡﨑弘子の愛すべき文房具の世界』の内容を抜粋、一部編集しています)
◆いろいろな種類から選べるのもインクの楽しさの一つ
ブッコロー:岡﨑さんってインク好きですよね。
岡﨑:好きなんですよ。
ブッコロー:インクって、ガラスペンにつけたり万年筆に入れて使っていくものですよね。「インクなんて買わなくても、ボールペン買えばインクは中に入っているものだし」と思うと、なかなか一歩踏み出せないんですよね。
岡﨑:想いを込めて書きたいときに、いろんなインクから選べる楽しさがあるので、どんどんほしくなっちゃうんですよ。まずはペリカンのロイヤルブルー。これは皆さんよく使います。
ブッコロー:ド定番。王道中の王道ですよね。(書いてみて)ちょっと薄めの紺って感じですかね。
岡﨑:陰影がハッキリするので、お客様のお試し書き用にも使っています。
ブッコロー:じゃあインクオブインクだ。
◆インク好きが選ぶ「本当にきれい」な色は?
ブッコロー:ボールペンとかサインペンじゃありえないくらい「本当にきれい」って色はありますか?
岡﨑:これ。
ブッコロー:ファーバーカステルのターコイズじゃないですか。六角形の鉛筆を世界で初めて作ったと言われるドイツのファーバーカステルですね。
岡﨑:ある方からいただいてテンション上がっちゃったんです。
ブッコロー:そうですよね。1個4000円ぐらいしますものね。
岡﨑:よくご存じですね。すごくきれいですよ。
ブッコロー:こんなきれいな色をプレゼントする人って、相当心もきれいで素敵な方なじゃないですか。
岡﨑:(小さな声で)ブッコローですね。
ブッコロー:アッ……私があげたやつでしたっけ……?
岡﨑:そうですね。
ブッコロー:やだなー! 忘れちゃってた。
岡﨑:これを選ぶってことは、もともとインクがお好きなんですか?
ブッコロー:いやいや違うんですよ。岡﨑さんがインク好きだから、インクあげときゃ喜ぶかなーと思って。
岡﨑:選ぶ楽しさってどうでした?
ブッコロー:選んでいるときは、悔しいけど楽しかったですよ。
◆ふんわり甘い香り。はちみつそっくりのインク!?
岡﨑:私もラブレター書いてきたんです。
ブッコロー:え? 私に? ありがとうございます。
岡﨑:これ、開けたときにふわっと香りませんか?
ブッコロー:なんか甘い匂いします。
岡﨑:さあ、なんでしょうか。
ブッコロー:カステラ? カステラの匂いのインク?
岡﨑:惜しいなぁ。はちみつカステラの中には入っています。
ブッコロー:……はちみつ。
岡﨑:正解です。
ブッコロー:地獄だよ。そのヒントで答えたときのこっちの気持ち考えたことある? はちみつの匂いがするインクなんてあるんですか。
岡﨑:こっちはアカシアです。いろんな色があって、そのはちみつに似せてあります。
ブッコロー:(書いてみて)ちょっとやっぱり薄いですね。太めのペンで書かなきゃダメですね。
岡﨑:匂いを楽しみながら書けるので、相手に贈ってもいいですよね。
◆好みの色のインクをオーダーすることもできる!
岡﨑:こちらはどうですか? 作ってもらったインクで「血の色」。
ブッコロー:なんで急に殺人鬼みたいなこと言うんですか。血の色がほしくて作ってもらったってこと?
岡﨑:そうです。源光庵の血天井っていう天井の色を再現してくださいってお伝えしました。
ブッコロー:(コワ……)すごく和っぽい赤ですね。インクって作れるんですか。
岡﨑:セーラー万年筆さんにインクをブレンドする石丸さんという方がいて、作っていただいたんです。
ブッコロー:「インクブレンダー」なんて職業があるんですね。
岡﨑:ほかに変わっているものだと「ご当地インク」。
ブッコロー:横浜マリンブルー有隣堂って入っていますよ。有隣堂だけで売っているんですか。
岡﨑:そうなんです。書いてみてください。素敵な色なので。
ブッコロー:素敵な色ですね。書きやすい。粘度が強いっていうか、濃い気がします。これ売れると思いますよ。
◆セーラーの極黒は「気持ちいいぐらいの黒」
岡﨑:次はセーラーの極黒。
ブッコロー:極めて黒いと書いて極黒。
岡﨑:これは本当に黒寄りの黒です。大好きな言葉。
ブッコロー:黒寄りの黒。極めて黒。極めて冷静に書かせていただきますね。
岡﨑:気持ちいいぐらいの黒。重要な書類とかに書きたいっていう黒。
ブッコロー:(書いてみて)まあまあ……、黒ですけどね。ボールペンの黒と書き比べてみましょうか。んん? ジェットストリームのほうが黒くないっすか……?
◆有隣堂オリジナルの「YOKOHAMA」シリーズは全部で4種!
岡﨑:このYouTube「有隣堂しか知らない世界」のインクの回は3年前に公開したのですが、有隣堂オリジナルの「YOKOHAMA」シリーズは数が増えて、今4つあります。「海」「空」「港」「風」。ブッコローがうちのオリジナルインクで特に「海」がいいって言ってくださって。
ブッコロー :「風」があるんですか。
岡﨑 :ええ。でも「海」がぶっちぎりで人気ですよ。「動画でブッコローがいいって言っていたインクってなんでしたっけ」ってお客様に聞かれますよ。私が見せると「これこれこれ」って。みんな知っているんです。
ブッコロー :ええ! 僕が動画で「いい」って言ったから? いやいやそんなことないでしょ!
岡﨑:【インクの世界】の回といえば「ファーバーカステル」ですね。
ブッコロー :番組のプロデューサーと「YouTubeのチャンネル登録者数が1万人になったのは、岡﨑さんのおかげだよね」って話してて。岡﨑さんに何かプレゼントを買おうと2人で六本木のミッドタウンをうろうろしてたときに、たまたまファーバーカステルのお店があったんです。ぱっと見は香水屋さんみたいなんだけど「なんだこれ」と思ってよく見てみたら「ファーバーカステル! 聞いたことある!」って。お店がすごく良くてね。陳列がきれいで、しかも「直営店は六本木にしかありません」って言われて。確か50万~60万円したんだよね。……あ、違うか。
岡﨑 :YouTubeで言ってるじゃないですか。インクだけど4000円もするって。買ったこともないし、もちろんいただいたこともないのですごくうれしくて。本当にびっくりしました。プレゼントであげたら喜んでくれるようなインクを作りたいなって思うようになりました。
ブッコロー :この頃より今のほうがインクって流行ってますよね!
現在発売中の岡﨑さんが大好きな文房具を紹介する本でも、鮮やかな色から繊細な色まで、さまざまな色のインクを紹介していますので、ぜひお気に入りのインクをみつけてみてください。
<文/岡崎弘子・有隣堂YouTubeチーム>
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